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第2話「ガーディの再起動」

リョカに導かれ村へ向かう前に、イツキはガーディの起動を試みる。

セーフティモードで復旧したガーディだが、リリとの戦い以降のデータは失われていた。

そして新たな会話モード設定は――。

困惑するイツキに、森から生命反応が迫る。

「さあ、私に着いてきて」


そういうと、リョカが歩き出そうとした。


「ちょっと待ってほしい。少し試したいことがあるんだ」


それを聞いたリョカは怪訝な表情を浮かべた。


オレは、握りしめていたガーディを耳に装着し、機器が作動するか確認しようと起動ボタンを押した。


(確かガーディは、オレの脳に埋め込まれた神経モデムとも通信が可能なはず。これが使えれば――)


しかし何度もボタンを押しても反応を示さなかった。


(ダメだ、全く反応がない。ん、そういえば、確かセーフティモードがあったはず。起動方法は――)


オレは起動ボタンとその横の緑色をした小さなボタンをしばらく押し続けた。

そのとき『‥‥ガガ‥‥』と機器が反応した。オレはガーディに話しかける。


「ガーディ、聞こえるか?」


『‥‥ガガ‥‥リ‥‥リ‥‥』


「ガーディ、リリがどうしたんだ?」


『‥‥ガガガガガ‥‥再起動を行いセーフティモードに移行』


機器から光が消え、また点灯した。


『‥‥再起動完了。セーフティモード、高負荷演算不可、簡易演算処理のみ』


「ガーディ!聞こえるか?オレだイツキだ」


『やあ、イツキさん。どうしたんですか、今日は珍しくあなたが装着しているんですね』


「そんなことより、リリはどうした?」


『リリお嬢様ですか?どうかしたのですか?私の保持しているデータでは、お嬢様はこれからディモスとの戦いに向かう予定と伺っていますが』


「ディモス?それ以降のデータは存在しないのか?」


『申し訳ないですが、現在保持しているデータはそこまでです。何らかの高負荷処理によりデータが破損したのかもしれません』


「何それ、おもしろいものを持っているのね。精霊でも宿っていて会話することができるのかな?」

新しいおもちゃを見つけた子供のようにリョカの目が輝いていた。


しかし、その質問はオレには届かなかった。

ふっと溜息をつく。

つまり、"あのとき"からのことは何も分からないってことだ。

でも、ガーディが使えるのは大きい。


「ガーディ、ここがどこか分かるか?状況がさっぱりわからない」


『それが、私の方でも位置情報を調べようとしているのですが、通信系が応答なしです。それにこの場所は有意な搬送波も観測できないようです。それ以外にも様々な環境値に異常性が認められます。これは、センサ故障によるものなのかどうか検証が必要なようです』


「そうか、確かにあの戦いは非常に激しかった。損傷していてもおかしくないな。何か情報がつかめたら教えて欲しい。リリたちとできるだけ早く交信したい」


『承知しました。ではわかり次第お知らせします』


「あと、ガーディは、オレの神経モデムに接続は可能だったよな?モデムの型番はNM-AX13だ」


『それでしたら、接続可能なため、今後はそちらとも同期しておきます』


耳の奥で微かな振動。

頭の中にノイズが走るような感覚。

視界の縁に"薄い環"が灯り、細い光が一周して消えた。

見えている世界に文字が表示される。


〖《神経リンク:確立|往復遅延 4.8 ms/実効帯域 22 Mbps|感覚重畳:微弱》EMG(筋電) EOG (眼球運動) 脳波パターンを取り込みました。HUDは従来レイアウト、通知は要点のみ音声+視野周辺に表示に設定。変更しますか?〗


「いや、それでいい。扱いやすい」


『ところで、しばらくイツキさんとご一緒となりますが、会話モードの変更は必要ありますか?』


そうか、ガーディは複数会話モード設定が可能なんだっけ?

リリの設定はたしか‥‥‥


「確か、リリは"執事"設定だったよな」


ていうか、あいつ絶対お嬢様キャラじゃないよな。

実はそういうキャラに憧れていたのか‥‥?はは、まさかね‥‥


『はい、おっしゃる通りです。お嬢様は執事を設定されています』


「そうだな、気楽に話せそうな設定にしたい。ガーディの方で選んどいてくれないか」


『わかりました。ではイツキ様向け設定をこちらで選んでおきます。期待しておいてください、きっと喜んでいただけるかと!(間違いなく!)あと、機能に損傷があるかもしれませんので、しばらくはセーフティモード起動となります。そのため高負荷処理はできませんのでよろしくお願いします』


「わかった」


そういうと、オレは不思議そうな表情をしているリョカに声をかけた。


「行こう。もうここに用はない」


オレは、この不思議な少女リョカと共に、村に向けて歩き始めた。

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