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第11話「北門の戦い」

北門に到着したイツキの前に、破壊された柵から魔物の群れが現れる。

リョカが灯りの魔法で敵を照らし出すと、そこにはフェロウルフとレジンベアの群れ。

リョカは守備隊を鼓舞し、神語者としての統率力を見せる。

そして、守備隊の中心で剣を構えるオルグの戦いが始まる。

【北門前――】


オレが北門近くに着くと、すでに守備隊の一部とリョカが集まっていた。

門には灯がともされているが、門の外の森には光がわずかしか届かず、暗闇が広がっていた。


そのとき、森に面した柵の一部が、けたたましい破壊音とともに吹き飛び、土埃が舞い上がる。

その吹き飛んだ柵の欠片が灯に当たって炎が消える。

闇は一段と濃くなった。

そして、暗闇の中、無数の赤い眼光だけが鈍く光っていた。


リョカは杖をゆっくり前に向け地面を点じるように弾き、前方へ円を描いた。


常夜とこよ、ここに生まれ――みちを結べ」


すると、暗闇に包まれた前方に、点々と淡い灯が浮かび上がった。

守備隊たちがその灯に触れても、描かれた背景のように消えることはなかった。


その灯に照らし出されたのは魔獣――レジンベアともう一体は狼に似ているが、体高は大人の腰ほどもあり、全身を灰色の剛毛で覆われている。

その狼に似た魔物がするどい牙と爪を見せ、飢えた唸り声が夜の静寂を引き裂いた。

数は十五頭。集団で獲物を狩るタイプのようだ。


それに加えレジンベアが五、重足で迫ってきていた。


「守備隊のみんな、私の話を聞いて!」


大声を上げたリョカに、みんなの視線が集まる。


リョカは静かにみんなを見回した。


「感じるの。今までの魔物と違い、今回はとても強いと。犠牲もすでにでているわ。きっと厳しい戦いになる」


リョカはもう一度守備隊を見回す。

その瞳は力強かった。


「でも、私を信じて。必ず魔物を倒し村を救うの!神語者として伝えるわ。神は私たちに加護をもたらすと!」


リョカの芯のこもった声が響いた。


その言葉を聞いていた守備隊の顔に自信があふれるのが見て取れた。


その状況を見ていたオレは、心底驚いた。

そこにいたリョカの姿は、村で見た姿とはとても思えないほど、堂々とし、凛々しかった。


(リョカにこんな才能があったとは。彼女は若くして統率者としての資質がある)


カーティが敵個体数の概算と脅威度を評価する。


『脅威度:B++。推定個体数:20。陣形:半円型包囲。先頭=高速個体(狼)、後続=重装個体(熊)。』


門の前には門兵が3人、血にまみれ倒れていた。


すでに集まった守備兵は横三列で魔物たちの破口を塞いでいた。

前列は盾と槍、中央に大剣を担ぐ若者――オルグがいた。


(なるほど、一列目の真ん中とは、余程の実力者のようだな。――まずは、守備隊のお手並みを拝見しながら、どう動くかを決める)


【守備隊――オルグ】


「お前ら、いいか、絶対に突破されるんじゃないぞ!てめえらの親や子供を死なせたくないんだったら、絶対死守しろ!まずはフェロウルフの数を減らすぞ!レジンベアは装甲が厚い、装甲が薄いところを狙え!リョカ、炎魔法による補助を頼む!」


ベルノの野太い声が響き渡る。


オルグは周囲を確認する。右に二刀を構えたカイと、後列中央にはリーダーのベルノが立ち、最後列の真ん中にリョカが位置する。


オルグは荒く息を吐いた。久しぶりの危機的状況だったが、むしろ高揚感に包まれていた。

それはこれまでの修練と自分の成長に対する絶対的自信から来ていた。


(フェロウルフにレジンベアか、この森にそんな難度の魔物がいたとはな)


高まる気持ちに、剣を握る手に力が入る。止まっていた上下に光る複数の眼光が――動く。


次話は3/21更新です。

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