第10話「別世界の真実」
椅子に腰を落としたイツキに、カーティが衝撃の事実を告げる。
混乱するイツキの元に、魔物襲撃の報が届く。
年に一度の祭りは、突如戦場へと変わる。
オレが椅子に腰を落とした。すると、急にカーティが話しかけてきた。
『ねぇ、お兄ちゃん、大事な話があるんだけど?』
カーティが甘えるような声で話しかける。
「何だ、言ってみろよ」
オレは興味なさげに答える。
『前に、原因不明のデータ異常があるって言ったよね♪』
「ああ、そういえばそんなこと言ってたな。何かわかったのか?」
『最初から可能性は考えてたんだけど、ようやく原因がわかったの』
「わかったから、原因は何だったんだよ」
オレがじれったそうに言う。
『お兄ちゃん、ゼッタイ驚かないでね』
「三度目だ」
『じゃあ、言うね。実はここ――地球じゃないみたい(キャハ!)さらに言うと、前に居た世界とも別系っぽい(テヘ)』
そのとき、文字通りオレの時間は停止した。
『今、夜なんだけど、月がないんだよね。反射光もゼロ。だから、結構暗いよね。
多分、この世界では海の満ち引きがあまりないんじゃないかな。
月占いとかができなくてカナシイね(グスン)あと、空気の組成も微妙に違うの。
酸素分圧が、カーティの前世界よりちょい高め。
ほんの少しだけ、呼吸が"ラク"な感じするでしょ?
頭が冴えるっていうか、肺が軽いっていうか。
寒い冬は火が良く燃えるし、うれしいね。(エヘヘ)
それとね、それとね!ここからが盛り上がるところだから、
お兄ちゃんしっかり聞いてね!(ココダイジ!)
起動時の異常値ってハナシだけど、重力加速度 gと天文時の進み、それから真空基準の伝播定数が、わたしの前世界テーブルと有意差があるの!(スゴクナイ?)
あ、ゴメンゴメン、ちょっとだけわかりにくかったね!
要するにこの星は地球と"ほぼ似てるけど数値が微妙に違う"ってこと。
安心して?日常レベルでは困らない差だから♪
それに、ちょっとだけ体重も数値上はわずかに減るからダイエット効果もあって女子にはいいことずくし!(ラッキー!)お兄ちゃん、頑張ったからほ‥め‥て♡』
「‥‥‥カーティ、よくやった‥‥‥」
オレの声は聞き取れないほどか細かった‥‥‥
その直後、耳の奥で、カーティが甲高い警告音を刻む。(ピピピピ‥‥)――振動は鼓膜ではなく骨に伝わる、これは危険信号だ。
『お兄ちゃん!北北西。距離二一〇。低周波振動パターン複数検出。群れ。接近速度、上昇。』
これは、カーティの統合感知ユニットが異変を感じ取ったということだ。
「――まずい、来る!リョカ、群れで襲ってくるぞ!」
その瞬間オレは椅子を蹴るように立ち上がり、背中からスピアを引き抜く。
同時にリョカも何かを感じとったのか、「来る‥‥‥」と中空を見つめてつぶやくと杖を掴むと同時に椅子から立ち上がり、タルエンの方へ走っていく。
直後、北門の方から「魔物襲撃だ!」という怒号とともに鐘の甲高い音が何度も、切り裂くように広場に響く。
それまでの陽気だった広場の雰囲気が一変し、笑い声は失われ、村人たちの表情がこわばる。
「守備隊は北門だ!他のものは子供と女を連れて南門から退避!」
イツキの近くに座っていたするどい眼光の短髪の男が、立ち上がり大声を張りあげる。
――おそらくこの村の戦闘におけるリーダーだろう。
その声の意味が染み渡るにつれ、村人たちが一斉に立ち上がる。
長卓の食べ物もそのままに、村人たちは我先にと席を立ち逃げようとする。
しかし、一斉にそれぞれが逃げようとするため、ある者はぶつかり、ある者はひっくり返り混乱していた。
子供は泣き叫び、母親はオロオロするばかりだった。
「落ち着け!慌てず南門へ向かうんだ!女と子供を優先にするんだ!」
リーダー格の男が叫ぶ。
「ベルノさん!ここは私がなんとかするので、早く北門へ行ってください」
守備隊の一人と思われる若者がリーダー各の男—ベルノ—に言った。
「あとは頼むぞ!」
喧噪の中、大声を張り上げベルノは北門へと急ぐ。
そんな混乱した状況の中、オレも後を追い北門へ向かった。
次話は3/14更新です。




