合い言葉・オンライン
こんにちは。
◯◯・オンラインシリーズ……。
おじさんコンビがミッション開始です。
第7回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞への応募作です。
よかったら、ぜひ読んでやってください。
我が名は、堀渡景樹。
闇に潜み、影に生きる者だ……。
今はあるゲーム……いや、任務中である。
「お義兄さん、ここです」
「……誰だ、合い言葉を言え」
「はいはい、山……」
よし。
「……川。オトか?」
黒装束のアバターを確認して、うなずく。
「こんなベタな合い言葉、必要ですか?」
義弟はノリが悪い。
『はーい、合言葉・オンラインへようこそ!
ナビAIのピコちゃんでーす!』
目の前にウサ耳の小妖精が浮かび上がる。
『今回は忍者潜入ミッションです!
チーム戦なので合い言葉で敵味方識別してくださーい!』
よし、勝つぞ!
『目標は天守閣の最上階にあるお宝です!
レッツ、クライム!』
「あの石垣を登るんですか?」
「まずは水蜘蛛で堀を渡るぞ」
「えー、これで?」
義弟はノリが悪い。
俺は水面をスィーっと滑り、石垣の下に取り付く。
石垣は隙間なく積まれていて、手懸かりがない。
石の間にクナイを差し込み、足場にする。
「この屋根、どうやって超えるんですか?」
昭和少年の憧れ――鉤縄だ。
ロープの先に三つの鉤爪がついた秘密兵器を投げる。
無事に城内に潜入した俺たちは、草むらで赤青緑黄桃色の装束の一団に遭遇した。
「海……」
まずい。敵の方が人数が多い。
すると義弟が目配せをして前に出る。
「……島」
敵が顔を見合わせる。
「なーんだ、味方かよ……」
なんとか、その場を突破。
「よく分かったな」
「……まー、ベタに考えればいいんですよ」
なるほど。
やがて、俺たちは天守閣に到達。
最上階を目指して梯子状の階段を上がる。
「金色……」
金装束の男が立ちはだかった。
義弟が即答する。
「……に」
意味は分からんが、突破できた。
最上階に到達したが、お宝らしき物が見当たらない。
あちこち調べると、掛け軸の裏に回転扉を発見。
秘密部屋の奥には、黄金の蛙の彫像があった。
こいつがお宝に違いない。
手を伸ばしたところを、義弟が先に取る。
「これで勝利ですね。案内してくれて助かりました」
何を言っている?
次の瞬間、俺は後ろから切りつけられる。
さっきの金色男だ。
俺が手裏剣を投げて応戦していると――
「これは、私たちが頂きます」
義弟はニヤリと笑い、欄干から宙に飛び出した。
「さらばです。義兄さん」
大凧が宙に舞い、義弟は高らかに笑って去って行った。
『勝者!オトヤさん&キンキングさん』
義弟はノリが良過ぎる……。
「大凧……俺も乗りたかったな」
(一巻のおわり)
最後までお読みいただきありがとうございました!
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シリーズのURLも貼っておきますね。
『第7回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞応募作』
https://ncode.syosetu.com/s8251j/
『オルゴール・オンライン』
『ホットケーキ・オンライン』
『サバイバル・オンライン』
『ギフト・オンライン』
『舞踏会・オンライン』
『風鈴・オンライン』
『自転車・オンライン』
『木枯らし・オンライン』
『雨宿り・オンライン』
『合い言葉・オンライン』
今回もゆるいVR短編でしたが、
普段はもうちょっと騒がしい長編
『デスゲームに巻き込まれたのでマジチートしてイイですか?』
(マジチー)を連載しています。
バグ技、名古屋弁、ラーメンなど色々入り混じった
にぎやかVR冒険ものです。
よかったらこちらもどうぞ!
マジチー本編:
https://ncode.syosetu.com/n4658kt/




