第9話
クオンは人間の姿に変身できるようになったんだ、という説明をエリーにじっくりした。
最初はまったく意味が分からないという反応だったが、実際に変身を披露したら納得したようだった。
納得に至る過程が完全に俺と同じ流れだった。ま、誰だってそんなもんだろ、と思う俺。
そんな中、エリーが切り出す。
「ねぇ、そろそろ冒険の旅に出ない?」
は?と思う俺。っていうか、なんで?
「そろそろだと思うの。クオンもここまで成長したし。」
「ちょっと待ってよ。一体どうした、急に。旅!?いったいどういう目的で?」
「そもそも私がクオンに近づいた理由は、一緒に旅に出るためだったのよ。」
ど、どういうことだ。急な展開に俺は頭がついていかなかった。というのも
「ちょっと待てって。言わなかったか?旅に出るも何も、俺には魔力がない…!」
「分かってるわ。だからあなたはここに残って。」
は?
「クオンだけ連れて行くっていうのか?」
「そうよ。」
何だよそれ…。
「で?クオン、あなたはどうなの?」
「そうね。そこまでして旅に出たい理由を聞きたいわ。」
「それは…。親の仇とでもいうのかしらね。そいつを倒したい。」
「ほう。いいわ。ついて行ってあげる。」
クオンは即答した。
「おい…!クオン!何を勝手に…」
「ただし1つ条件があるわ。」
「何?」
「ショウを連れて行く。それだけ。」
は!?
「ちょっと!完全に足手まといじゃない!」
「そうだ!悲しいが俺は魔力ゼロだ…!とても旅なんて…。」
俺は自分の無力さをかみしめた。
「大丈夫。私がついてるわ。」
そんな中、穏やかなクオンの声が俺の耳に響く。なんだか知らないが、大丈夫な気がした。
「おい、クオン。俺なんかがついて行って、勝算があるんだろうな…?」
「さぁね。でも、したことないんでしょ?旅。1回してみれば?冒険でも。」
さぁね、って…。
「俺は何のために行くんだよ…?その旅とやらに。」
「それとも、可愛い女友達の親の仇をみすみす見過ごすような腑抜けなの?」
やはりクオンは頭がいい。俺が唯一引っかかっていたところを突いてくる。
「分かったよ、分かった…。俺も行くよ!死ぬ覚悟でな…!」
俺が冒険なんて、本当に死にに行くようなものだ。
「よく言ったわ。それでこそ男ね。」
クオンがそっと言う。
エリーは少し考えた後、
「OK、いいわ…。それじゃあ3人で行きましょう!」
ところで、
「俺のことを足手まといと言ったからには、お前には何か力があるのか?」
「もちろん。ちょっと見てみる?」
と言って俺たちは外へ出た。
エリーはすぅ、と息を吸うと。
「はぁっ!!」
ドォォォン!!!!!
大きな爆発が起きた。
「お前…まさか爆発の魔法を使えるのか…。」
「丸腰で行こうとするほどバカじゃないわよ?これでも、使いこなせるまで結構かかったんだから。」
すげぇ…。と同時に、俺は今まで何をしていたんだ、という思いが込み上げた。




