第4話
クオンはパンを食い終わると、すぐ寝てしまった。
「もう寝ちゃったか。まだ昼だぞ~?あれ?ていうかひょっとして竜って夜行性なのか…?」
ドラゴンに関しての知識はからっきしだ。何もわからない。
「でも、竜って昼間描かれてることが多くない?イメージだけど。」
物語やなんかを想像してみた。
「じゃあ何でもう寝てるんだ~?赤ちゃんだからか~?」
なるほど。自分で言っていてしっくり来た。そうだ、この子はまだ生まれたばかりだ。
ちょっと飛んだりパン食ったりで驚いたが、そういうことだ。
そしてしばらく時間がたって、夜になった。
「さぁ~て、夜か~。じゃ、俺も寝るかな。」
今日はクオンが卵からかえって初めての夜だ。
「しっかしよく寝るな~。さっきからずーっと寝っぱなしだぞ?」
俺は少し心配にはなったが、息もしてるし大丈夫だろう。
「ま、いっか。じゃあおやすみ~。」
そして今日が終わるのだった。
翌朝
「はぁ~。おはよう、クオン。」
クオンもちょうど今起きたようだった。
「さて…、朝飯としますか。」
俺はクオンと一緒に飯を食いに行くことにした。
「おはよう、母さん、父さん。」
「おはよう。」「おはよう。」
父と母が言う。
「お、生まれたようだな~。どうだ?なついたか?」
と、父。
「まぁね~。ぼちぼちじゃない?それに成長が早くてすごいんだよ。なんか普通に人間が食うもの食うし。」
「なるほど。じゃあとりあえず食に関しては問題なしだな。」
「その点は迷惑かけます。1人分増えちゃって…。」
「なぁ~に、気にするな。許可を出したのは俺だからな。」
父は快くクオンを飼うことを許してくれる。ありがたい。
「じゃあ飯をいただこうか。」
「いただきま~す。」
皆でそう言って飯を食べた。
クオンも何の問題もなく食べている。
「ごちそうさまでした。」
俺とクオンは食べ終わると部屋に戻った。
「いや~、うまかったな、クオン。」
「…そうね…。」
「うわー!」
しゃべったのだった。急にしゃべるんだな、こういう時って。驚いたよ、僕は。
「やっぱり竜ってしゃべるんだ~。しかも案の定今日しゃべった。凄いや。」
やはり成長が著しい。もう言葉を理解した。凄く頭がいいらしい。
「もっとお話ししてくれるか?クオン。」
「…あなたの名前はシュウ、私の、親。」
おぉ~~!!なんか、正直に感動した。
「何かしゃべり方が女の子っぽい…?ひょっとしてお前、女の子か?」
「そう。」
へぇ~。やっぱり竜にも性別があるのか。って当たり前か。
俺はそんな当たり前なことを思いながら、クオンとの会話を楽しむのだった。