第2話
「さて…、この卵、どう孵そうか。」
俺は考えていた。
「やっぱり魔力を与えて孵すものなのかなぁ~?」
だとしたらヤバい。だって俺には魔力がないのだから。
「でもそのまま放っといたってどうにもなんないよな~…。」
初めての経験に俺は戸惑っていた。
「あー!なんで俺のところにこんなものよこしたんだよー!あの竜!」
俺は自らの魔力のなさを嘆いた。
「ダメだ…、父さんに聞いてみよう。」
毎回そうだ、情けない。今まで自分で疑問を解決したことがあっただろうか。
「いや…、よくない。今回ばかりは俺1人で解決しよう。」
そうでないとダメな気がする。俺は奮い立って自力で解決しようとしてみた。
「本でも読んでで調べてみるか~…。でも本読むのめんどくさいんだよなぁ~…。」
俺はかなりの無能でもあった。まだ13歳だし仕方ないよねと、開き直ってきたが、もうそろそろ言ってられる歳じゃない。
何でなに1つ似なかったんだろう。俺は自分の才能のなさを恨まなかったことはない。
父さんも16歳までは何の能力のなかったとか言ってたが、なんか怪しい。転生って何だ?
そのことも詳しくは知らなかった。
「俺は何も知らないなぁ~。何もできないし…。」
悲しんでいても仕方がない。悲しむのはもうやりつくしただろう。
「さて、とりあえず、温めてみるか?」
どうやって温めよう…?俺には温める魔法も使えない。
「よし…。」
とりあえず抱きついてみた。
そして、抱きしめ続ける毎日が始まった。そして2ヶ月が経とうとした。
俺はその間何度も、中で死んでしまってないよな…、と心配し続けていた。
でもそんな気配はないし、とりあえず温め続けた。ないといっても全くの無反応だから分からないのだが…。
そしてある日。
「はぁ~、おはようございます卵さんや。…って、ん?なんかヒビ入ってないか!?」
なんだか卵には微妙にヒビが入っているようだった。
「う、うおー!これは…きたってことか…!?」
俺はかなり興奮していた。なんせ9割無理だと思っていたからだ。
その後もヒビは入り続け
「お、おー!もう少しだ、卵!頑張れー!」
そしてかなりヒビが入ったところで、ようやく口のようなものが見て取れた。
「うわー!スゴい!こんな瞬間に立ち会えるって凄い…!」
しばらく格闘したのち、卵の中身は全貌を現した。
青白い小さな竜だった。
「最初から竜の形してるんだ。当たり前か。」
俺があまりの感動に訳分らなくなっていると、
「…ク~…」
竜が俺を見て鳴き声を上げた。