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0’sドラゴン  作者: ece
1/5

第1話

「何だって?魔力がない?」


「本当にあの人の子供か?」


そんなことばかり言われて育ってきた。


俺の名前はショウ。


「あぁ~あ…、なんか面白いことないかなぁ~。」


俺は今日も散歩に出る。


俺の父親は勇者だ。なんでも転生っていうのをしてきたらしい。ものすごく強いんだ。


それに引き替え俺は、全然強くない。ていうかそれ以前の問題だ。


俺には、魔力がない。


そんな俺は戦いからは早々に手を引いた。そして今日も散歩をしている。そんな怠惰な毎日だ。


「さて、今日も何もなし。…帰るか。」


俺はいつものように空しく帰路に着こうとした。


バサッ…バサッ…


どこからか大きな羽音のような音が聞こえてきた。


「…な、なんだ…?」


俺は辺りを見回す。すると頭上に大きな影を発見した。


「なんだ…あれ!?」


その影は俺めがけて落ちてくる。そして


ズシャーーーー…!!!


それは俺の前に振ってきた。


「う、うわー!!…これは…?」


俺の目の前に落ちてきたのは、紛れもない。竜だった。俺の目の前に1体の大きなドラゴンが現れた。


「あれ…?この竜…」


よく見たら、傷だらけだった。それは今にも息絶えそうな様子だった。


そして次の瞬間。竜は炎を上げて燃えて消えていった。


竜の最期とはこういうものなのか…。俺は今日、人生で初めてのレアな体験をした。


こんなこともあるのか…、俺はしばらく呆然としていた。


しばらくして、炎が弱まってきた。


さて、そろそろ帰るか。何か終わりを感じて踵を返そうとしたとき、俺は焼け焦げた竜の墓場の中心に何かを感じた。


「ん…?」


そこには、1つの卵があった。


「卵…?ど、どうしよう、これ。持って帰る…のか?」


でもここに置いて行ってもこの卵は孵ることはないだろう。


「し、しょうがない…か。」


俺はその卵を持って帰ることにした。


「結構重いな…。大きいし。でも何とか持ってけるか。」


俺は卵を落とさないように慎重に両手で抱えて持って歩く。


しばらく歩いて、俺は家にたどり着いた。


「はぁ~…母さんになんて言おうか…。こんなでっかい卵…。とりあえず、正直に言うか。」


それが生き物を拾ってきた子供のさだめだ。


俺は意を決して家に入る。


「ただいま~…。帰ったよ~…。」


「あら、おかえりなさい。って、どうしたのそれ!?」


案の定の反応だった。


「こ、これには色々と訳が…」


「お父さんに話します。」


俺が言い終わる前にさえぎられてしまった。


しばらくして父が帰ってきた。


かくかくしかじか、と母が父に伝える。しばらく考えた父は


「いいだろう。最後まで面倒見るんだぞ。」


はっはっは、と父は笑って言った。


いいんですか?と母。しかし父が言った以上、それは決定のようだった。


こうして、俺と卵の生活が始まった。


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