第9話 金銭欲
「てめェなんでここにいやがる。まさか俺より先にあいつらを叩こうとしたのか!?悪いがあいつらをやるのは俺だ、邪魔するってんならてめェも敵だァ!」
「一旦落ち着いてくれ剣崎。僕はただマジックを観に来ただけだ。それより、訊きたいのはこっちだ。何があったんだ?」
「ごめんね藤城君、変なことに巻き込んじゃって。もうよっちゃん!ちゃんと説明して!人助けするんじゃなかったの!?それがなんで大人の人に捕まるの!?」
「うっせェ!!!そうでも言わなきゃガチャガチャ言ってくんだろうが!そのまんまの意味だ、この中にいる奴ら全員ぶっ飛ばす!」
「え、えぇ!だ、駄目に決まってるでしょ!」
「なあ、もう少し静かに話してくれ。こんなことされてるんだ、もし今見つかったら3人とも無事じゃ済まない」
藤城は剣崎と神海の拘束を解くと、2人のここまでの経緯を訊いた。・・・剣崎が自身の不良グループの仲間から相談を受けたのがきっかけだった。相談者曰く、家庭内で大きな夫婦喧嘩が起こったらしい。その原因というのが、母親の信仰している宗教への多額の寄付金だった。これが理由で家庭内不和が発生し、加えて金銭的にも非常に逼迫している状況だと言う。しかし問題はそのことではなく、母親がその宗教を一向に脱会しないことだった。相談者の母親は寄付金を今後控えるようにすると了承したものの、その宗教の信者を辞めることに関しては首を縦に振らなかったらしい。そのため相談者としては、母親を宗教から切り離すために、その宗教の拠点に乗り込んで教祖をこらしめてほしいということだった(なんとも不良らしいアホな考えである)。母親を新興宗教から救い出して、家庭を元通りにしてほしい。。。その報酬として、10万円を剣崎に払うという内容の相談だった。そしてその宗教団体こそが、マジックショーが催されたこの施設を拠点としていた。
やはりこの建物は宗教団体が運営する施設だった。藤城が見た建物の端に置いてあった石碑には、「陀含宗千葉文化会館」と彫ってあった。何という読みなのかはわからないが、「宗」と付くからにはやはり宗教団体なのだろう。それは剣崎の話から考えても、もう間違いないと考えていい。初めこの建物を見た時の妙な既視感は、たまに見るやけに豪奢な宗教施設の造りに似ていたからだったのかもしれない。しかし陀含宗というのは聞いたことがない。仏教系のような印象を受ける名前だが、おそらくそういった大元から派生した新興宗教の類。そうするとあの女――ミス・ミセスは、陀含宗の信者である可能性は非常に高い。
・・・一方神海はというと、外出時にたまたまシムに乗った剣崎を見かけて追いかけたらしい。そしてこの敷地に入ろうとする剣崎に声をかけたところ、人助けのためにこの建物の中の人間と話し合いをすると言われる。剣崎のあとを付いて一緒に敷地内に足を踏み入れるが、呼び止められた職員の人間に訳を説明しているといきなり背後から拘束されたらしい。というか、、、剣崎を見かけて追いかけた?
「追いかけた、ってシムに乗ってる剣崎を追いかけたのか?ボルトでもバイクに追いつこうなんて思わないと思うけど…」
「あはは、そ、そうだね。。。あ!ま、間違えた。この近くでシムに乗ってるよっちゃんを見つけたんだよ。だから大して追いかけなくてもすぐわかったんだよ!…そ、それより!よっちゃんそんな話聞いてない!人をぶつつもりなら私全力で止めますからね!もちろんその子はかわいそうだけど、、、でも!他の方法があるはず!」
全くそれは神海に賛成だった。こんな場で暴力沙汰なんか起こしてもらうわけにはいかない。剣崎吉広――――正直、この状況下で最悪の人物が現れたと言っても過言ではない。剣崎がここで暴行でも働こうものなら、刑事事件として捜査され、その場に居合わせた僕も確実に警察にマークされる。仮に僕自身が暴行をしていなかったとしても、暴行の現場に居合わせたという理由だけでも取り調べやら事情聴取の対象に十分なりうる。そしてそれは確実に学校側にも伝えられることになる。そうなれば、僕の内申にどんな影響があるかわからない。少なくとも良い影響なんかない。最悪大学にも伝わるかもしれない。どうしてこんなメンドーな目に遭うんだ。。。ここはできるだけ穏便に済ませなければならない。それにスマホも回収しなければならない。――僕が今取るべき行動は、二つだ。この場から離れるか、剣崎を止めるか。しかし剣崎が報酬として10万円を貰えると思っている以上、おいそれとやめてくれることはないというのはわかっている。ならやはり。
「ちょ、ちょっとよっちゃん!どこ行くつもりなの!?」
ポルチコの中にある入口の方へと、剣崎は大股で手を握然としながら大手を振って進む。
「決まってんだろ。10万と人の命どっちが大事なんだ」
「ひとのいのち!!!・・・ってなんで手を出す前提なの!」
藤城は入口へと向かう二人を尻目に、反対側へそっと足を進める。このままスマホを回収し、帰る。
「藤城、お前はこん中案内しろ」
「・・・え」
「てめえも信者なんだからわかんだろ、こん中がどうなってんのか。あと親玉」
「いや――だ、だから僕は信者じゃなくて、本当にたまたまここでマジックショーの催しで友達と一緒に来ただ」
「中にいたってことは中がどうなってんのかわかんだろ。・・・・・・逃げんじゃねえぞ」
◇
スマホの回収成功。
よかったよかった。なんやかんやでスマホが自分の手を離れて初めて来た場所のロッカーにあるっていうのは、頭の片隅に常によぎるような不安要素だった。不安要素が無くなった瞬間思考は冴えわたるようだ。そもそもスマホを所有者の手から離して、それを自分達のサービスの都合で建物のロッカーに保管させるというのは結構アンモラルなことなんじゃないか。それもそうだが、スマホを回収する際、理由は不明だが、入場時受付にいたお姉さんは既に受付にいなかった。ますます管理体制に疑問を感じずにはいられない。とはいえ、こうしてスマホが手元に戻って来たことは喜ばしいことだ。もうマジックショーに赴くことは当分ないだろう。ここまで面倒なことをしなければならないとわかれば、少なくともプライベートで観に行くということはない。とにもかくにも無事に済んでよかった。今日は色々あって先々になにが起こるかわからないようなことの連続だったが、それもここで頭打ちだ。横隔膜を締め付けるような緊張状態はここで急降下して、ここからはまどろみのような安心が続くのだ。これで一件落着。よし。あとは帰るだけだ。あとは、帰るだけなんだ。。。
「おい藤城。どっちだ?」
「あーーえ~と、、、右、かな」
「よっちゃん、ここ暗いよぉ。やっぱり子供だけで来ちゃダメな場所だったんだよ。ね?帰ろ?」
「おい藤城!てめえが宗教の信者ってこと知ったらあいつらどんな顔するかなァァァハハハハハhhhhhhh」
藤城は、剣崎と神海と一緒に陀含宗千葉文化会館の中を探索していた。彼らを教祖の元へ案内するのが彼の役目だ。結局剣崎の案内役への脅迫を断ることができず、ずるずるとここまで来てしまった。しかしせめてもの危機回避として、スマホの保管してあるロッカーがある出入口から入るよう案内し、スマホの回収には至った。頑張れ藤城。このさきどうなるかわからないがどうにかするしかない。主人公なんだから死ぬことはない。
・・・ずいまずいまずいまずい。この状況は非常にまずい。今から暴行を働く人間と一緒にいるのは非常にまずい。どうしてこんなことになるんだ。まさに脈々と受け継がれてきた恩を仇で返す不良の精神。助けてやった分際でよくここまで人に横柄になれるものだ。こういう人間を見ていると、父親は蒸発していて、母親は水商売で日銭を稼いて糊口を凌ぐ、その日を生きるのに精一杯とかいうみすぼらしい家族の絵が容易に思い浮かぶ。きっと恩を与えても一向に返ってこないような家庭環境で育ったに違いない。だから恩は与えず、もらった恩は奪ったままにすることが最大の利益だと考えている生きる価値のないごみのような下産階級の超短期的投資思考法のスパイラルに陥る。いずれ恩を与えてくれる人間が周囲に居なくなるため、自分から奪う方に重きを置くようになる。奪取に見切りをつけず、やがて捕まる。存在することが、他者にとっての反面教師としての価値しか持ち得ない他山の石。そんな人間とはさっさと距離を置くのが定石。だがそんな人間が圧倒的な力を持っていたら?逃げれば剣崎は僕を確実にいじめのターゲットにする。高校生活が終わるまでの我慢。それが終われば、僕にはそれこそ僕にふさわしい翼を得たような胸のすく開放的な毎日が両手をひろげて待っているんだ。・・・そうはいってもこのまま剣崎が人に手を出すのを指をくわえて見ているわけにもいかない。このままでは内申に計り知れない傷が付きかねない。なにか、なにか逆転の兆しがあるはずだ。
「ん?何だこの部屋?鍵かかってんな」
剣崎は1、2、3歩と後ろに下がる。助走をつけてそのままドアのガラス部分へ足を
――パリーン――
「・・・・・・」
「へっ。大したことねえな」
「よ、よよよよよっちゃん!なにやってるの!!!こんなことしなくったって普通に職員さんに訊けばいいじゃない!・・・ふ、藤城君!?大丈夫!?か、顔色が・・・」
「鍵かかってるてことは…」
剣崎は割れた箇所へ腕を入れ、内から鍵とドアノブを捻った。勢いよくドアを開け放つ。
「おーーい。隠れてんじゃねーぞー。てめェをぶっ飛ばすことは決まってんだ教祖さまーー」
・・・・・・返ってくる言葉はない。
こいつ普段からこんなことやってんのか。常習的にやっていたらとっくに退学になってるはずなんだが。堂々と室内に入る剣崎と、慌てふためき怒りながらもなんやかんやでそのあとを付いていく神海。そうか。敵は一人ではなく、二人だったのだ。
剣崎と神海は中へとうに足を踏み入れていた。この事態に、中で夫婦漫才のようなことを飽きもせずにやっている。
しかしこれで僕までこの中に入れば、僕まで犯罪者になる。明確に不法侵入として扱われるだろう。流石に、金払ったからこの部屋も入れると思った、は言い訳にならない。ドアを壊してるんだ。
――しかし室内に入らずとも、部屋の様子は概観できた。人の気配はなく、さして広くない。部屋には書架が整然と並び、そこにクリアファイルが逼迫していた。いわば、資料室のような用途で使われている部屋だと思われる。書架は木で拵えており、経年の不潔と歴史情緒が葛藤する木の香が古い。
「よっちゃん、多分ここにはいないんだよ。こんなことされたら普通大声で助け呼ぶもん。それにぶっ飛ばさせないから!」
「隠れてるに決まってんだろ。おい藤城!お前信者なんだからここに教祖が出入りしてるかわかんだろォ」
「だから藤城君は信者じゃないんだって言ってるでしょ。マジックショーを観に来たんだって。それに、藤城君が本当に信者の人だったら拘束を解いてわざわざここまで案内する理由もないわよ。でも、、、でもなんでマジックショーなんかやったんだろうね。それも信者じゃない藤城君が来てるってことは、一般で募集してたってことだよね、、、あ、あれ?藤城君どこ?」
それはずっと考えていた。なぜ宗教団体が一般でマジックショーを開催したのか。信者に向けてやるのであれば、儀式の一部としても捉えられる。それは自ずとマジックという体ではなく、タネや仕掛けという概念のない神聖な儀式としての行いになるのだろう。だが、陀含宗の奴らは儀式としてではなく、僕のような一般人に向けてこのような演目を開いた。別にしたっていいのだろうが、なにかしらの理由があって然るべきだ。
「あ、ここにいた藤城君。・・・あのね、私は藤城君がこの宗教の信者だとは思ってないよ。で、でもね、ちょっと気になることもあるの」
「気になること…」
「うん。私、さっきからそのマジックショーについてスマホで調べてるんだけどね…一向にその情報が出てこないの。藤城君お友達にマジックショーのことホームページで見せてもらったって言ってたじゃない?もちろん検索の上位にないだけかもしれないけど、、、URLとかもらわなかった?」
藤城はスマホを開き、友人から受け取ったマジックショーのホームページのURLをタップする。Loading・・・昨夜見た奇怪なホームページが画面に表示された。神海にURLを送る。神海はガラスの破片が散るドアの前に立ち尽くす藤城に、おしとやかに謝辞と感謝を述べる。
「わあ、なんだか妙に長いURLだね。。。開いた!・・・・・・。うーん。藤城君よくわかったね、これがマジックショーのホームページだって」
「どういうこと?」
「だって、マジックなんて言葉どこにも使われてないよ」
藤城は再度自分のスマホに表示される奇怪なホームページを見る。端から端までスワイプする。
「なあ神海、ここから一番近いバス停ってどこかわかるか?」
神海は思いもよらない方向からの質問に、丸くした目で藤城を見た。
「バス停?うん、ここだとねえ、、、この建物の名前が付いてる――「陀含宗会館前」が一番近いかな。建物のすぐ側にあるから」
「直子、ここに親玉はいねえ。次行くぞ!・・・藤城ォ、てめェ騙しやがったな」
「騙したんじゃなくて、よっちゃんが勝手にここにいるって決めつけたんでしょ。もう!」
「鍵かかってんだ、誰かいると思うだろうが。・・・おいなんだこれw。『空中浮遊方法』だとよw。…っ!挟まって取れねェ。ぐっ、…ぉおらァァァ!!」
「よっちゃん!!!わざとやってるでしょ!周りのクリアファイルごと落ちちゃったじゃない!」
見つかれば確実に終わる。にもかかわらずこいつらは見つかって当然の騒ぎよう。神海がFランに行くと知る今、この中で明確に損をこうむるのは、そこそこの大学に行かなければならない僕一人。器物損壊、不法侵入、どれも直接的ではないにしろ犯行現場に居合わせた関係者であることに変わりはない。これが学校に伝われば大学受験の内申に計り知れない傷が付きかねない。つまり、この場で僕の境遇を理解してくれるのは僕しかいないということだ。そして剣崎の犯行を抜きにしても、僕達は非常に危険な橋を渡っている。得体の知れない宗教団体の領地に侵入し、物を壊した。ただでさえ常軌を逸したことを、ただの大人ではなく宗教団体などといういかにもグレーな存在に対して行っている。何をされるかわかったものではない。僕たちは今窮地に立たされているんだ。肉体的にも。特に社会的にも。何か、何か打開策は。剣崎が10万円を手にし、この場から逃げおおせて、なおかつ僕が剣崎の犯行現場に居合わせた証拠を隠滅する方法。・・・・・・なんだこれ。
「神海。そのクリアファイルなんだ?」
「ごめんなさい、よっちゃんが落としちゃったの。今片付けるから」
「そうじゃなくて、落としたクリアファイルの、、、それ――そうそれ。少し見せてくれないか?」
備え付け2019。去年だ。備え付けは、どういう意味だ。クリアファイルを開く。「役員名簿」「財産目録」「収支計算書」・・・なるほど、報告書みたいなものか。宛先は、「文部科学大臣様」と書かれているところを見ると、国か。国に提出する書類というわけか。
神海が拾って棚に戻していくクリアファイルを目で追うと、備え付け2018、17、16...2010年までズラリとある。
・・・その他の項目も見てみる。「収支計算書」の次は、「賃貸対照表」「境内建物に関する書類」。まあ特段目立ったところもない、いかにも堅苦しい大人の世界の報告書って感じの書類だ。最後の項目は・・・・・・!。陀含宗が信者ではなく、僕みたいな一般人に向けてマジックショーを開いた理由・・・か。
「藤城ォ、そんなもんはどーでもいい。さっさと親玉の所に案内しろ。マジックショーだかなんだか知らねェが、教祖みてーなやつをお前は見てるはずだ。そいつがいた場所を教えろ。・・・信者じゃねェことを...俺の敵じゃねェことを証明しろ」
◇
会場には誰一人いなかった。
舞台を吸い込み浮かび上がらせるような舞台照明は消え、淡い暖色の間接照明だけが藍色で統一された部屋をシックに照らしていた。隅に置かれていた蝋燭は火を灯さず、よく見るとふっと消したあとの糸のような煙が揺れていた。
舞台と客席、ともに人影はなかった。それまでいた人間は一瞬にして世界から消えたかのように、切り裂くような沈黙を残して幽暗がしんとしている。
「てめェ、、、喧嘩売ってんのか。これ見て誰がマジックショーを信じろってんだ。誰もいねェじゃねェか!あぁあ!?」
「ぼ、僕が外に出てるころにはもう終盤だったんだよ。でもさっきまでここでマジックショーが開催されてたのは間違いない」
藤城が弁解をすると、神海が藤城を庇って剣崎の発言を諌める。剣崎が荒唐無稽な反論を返す。やがて喧々とした痴話喧嘩に発展する。
藤城は室内を見回した。客が数分前まで座っていたと思われるパイプ椅子は、ショーの最中と変わりなく整然と並べてある。パイプ椅子の列を抜け、舞台に近づく。側面や後ろからも練り見ていく。舞台のへりに垂れる黒いシーツを捲り上げた。舞台の足組が闇に錯綜している。やはり舞台は建物一体型ではなく、仮説されたもののようだ。そして、この中に人は隠れていないようだ。
藤城は舞台に登った。ミス・ミセスがマジックを行っていた場所。床からの高さは1メートルほど。床は黒いマットが敷かれ、バックにはかすかに黄色がかった白いカーテンが設置されている。なんてことない仮説ステージ。特に目立った所もないが。天井を仰ぐ。・・・・・・。
仕掛けとは、意外に単純なものだ。あっと驚くような奇想天外・コペルニクス的転回といった仕組みは滅多になく、実際は巧みな人力や物語にするにはあまりにも陳腐な人間の五感の限界を試した代物ばかりだ。なぜかといえば、そちらの方が人を簡単に騙すことができるからだ。
「よっちゃん!!!」
握然と襟を掴まれた。襟を掴む剣崎の手が藤城の頬を抉り、藤城の顔は滑稽に歪んだ。頰の肉が持ち上げられると、それに追随して口の端が顔の側面に吸い込まれ、それらにぎゅうぎゅうに押し上げられた目もとが猫のように細まりながら、ひしゃげた鼻の上の眼鏡が斜にズレている。
「てめェ…なにしてんだ…どんだけ俺をコケにするつもりだ。さっさと信者ってこと白状しやがれ。ただここまで俺を振り回して信者だったとかほざいたら今まで通り過ごせると思うんじゃねェぞ。これで10万とれなかったら10万はてめェの借金だ」
「あら、こんなところにいたのね」
湖面のような闇から白衣と赤袴が幽然と現れた――――ミス・ミセスが信者を背に扉の前に立っていた。
次でこの章は終わります。
頑張って謎解きを書きたいと思います。