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出会いと人生の分かれ目 遠征(2)

クログレモス領ケントロンに着いたのは16時を過ぎた頃だった。

ロックがギルドに到着の報告をして、コテージの鍵を預かる。

今回のコテージは3部屋。人数が多いのでギルドが大き目のコテージを用意してくれた。


「ユーリとジルとコウは、一番広い角の部屋を使え。セドとミランはその隣。トイレを挟んで向こう側を俺とナナで使う。モモは、どこでも好きな部屋で」


皆が荷物を持って部屋に散っていく。

順番にお風呂に入って夕飯を食べ、過酷な明日に備えて今日は早めに就寝だ。



▽△▽△▽△▽△▽△



今回の討伐のために設置されたギルドの受付は、討伐場所からほど近い岩場の陰だった。

ロックは早々に受付を済ませ、コウとジルに待機してもらって現地に向かう。


そこは、見渡す限り、土と岩と崖だった。切り立った岩場を、風がビュウビュウ吹き抜ける

ナナは、スマホのマイステータスの地図を表示する。

岩の陰に、2~3個ずつ赤い点が見える。重なっているものもあるから、実際はもっと多いのかもしれない。


密集している岩の後ろは数が多そうなので、比較的離れた岩の後ろに回って地図を見ながら目視で確認する。


「どこにいるか全然わからないな。これじゃ威嚇で連れてくるのは無理だ」


「モモはわかるよ、モモが連れてくる?」


「モモちゃん、危なくない?」


「大丈夫。隠密あるし」


「じゃあ、みんなの武器に炎を付与するよ!ミラン、利き手のナイフはどっち?利き手側に付与するよ」


ナナは、全員の武器に炎を付与する。


「いくよー」モモが岩に向かって走り出す。

「シャーッ!ンナァゴーウ!」

モモが『クレイロックドラゴン』を7頭引き連れて走って戻ってくる。


「ちょ、モモちゃん、多いよ!」


ナナは、氷魔法で『クレイロックドラゴン』の口を塞いだ後、ざっぱーんと水魔法で濡らし、強めの雷ショックを放つ。

すかさずロックが正面から薙ぎ払う。大きな傷を負った『クレイロックドラゴン』が仰向けに倒れ痙攣している。

それを、ロックとユーリとセドとミランで1頭1頭トドメを刺し、各自証拠の尻尾を切り取る。



ナナの地図を見ながら、全員で別の岩に移動する。

念のためナナは、全員の武器に炎を付与し直す。


「いくねー」モモが走り出す。

「シャハーッ!ウンナァァーゴウ!」

モモが『クレイロックドラゴン』を6頭引き連れて走ってくる。


ナナは、氷魔法で『クレイロックドラゴン』の口を塞き、じゃばじゃばと水魔法で濡らし、強めの雷ショックを放つ。

ロックが正面から薙ぎ払い、痙攣して倒れる『クレイロックドラゴン』を、ロックとユーリとセドとミランでトドメを刺し、各自証拠の尻尾を切り取る。


3回目からは作業だ。モモちゃんの「いくよー」と威嚇の声を皮切りに、みんな淡々と作業する。

3回目の作業が終わり、次の岩に向かう途中、地図上に緑の点が見えた。


「誰かいる!緑の点が2つある」


全員がナナの手元を見る。手前の岩に赤い点があるが、ここを叩けば助けられそうだ。


「ユーリ、モモが引っ張ってきて、ナナの雷ショックが終わって、俺が薙ぎ払ったら、あの崖の裏に行って生存者に声をかけろ。移動できそうなら、戦闘中にこっちに移動させてくれ」


「わかった」


ナナが、ユーリ以外全員の武器に炎を付与し直す。


「いくよー」モモが勢いよく走り出す。

「シャーッ!ンナァァァゴォ!」

モモが『クレイロックドラゴン』を5頭引き連れて戻ってくる。


ナナは、氷魔法、水魔法、雷ショックを放つ。

ロックが正面から薙ぎ払った。


ユーリが、緑の点があった岩と崖が並ぶ場所に走る。


「大丈夫ですか?生存者はいますか?」


「生きてるっ!おい!助けだ、目を覚ませ!」


ユーリが崖裏にまわると、筋肉質な男性とぐったりした女性が隠れていた。


「あそこまで走れますか?あそこに俺たちのパーティがいるんです。ここまでの道は確保してあります」


「ダナ、ダナ、立てるか?」

「何とか、立てます」

「走れるか?走れば助かるぞ!」

「・・・走ります!走りますっ!」


「行きますよ!ついてきて下さい!」


ユーリは、男女をつれて走る。女性がよろけたので、肩を貸す。


「ロック!生存者2人です!」


「ユーリ、よくやった!ギルドの受付に戻るぞ!」


「俺はフォックス、こっちはダナだ。助かった、ありがとう、ありがとう!・・・もうダメかと思った」


「ロックだ。セド、ミラン、フォックスに肩を貸してやれ」


「俺は大丈夫だ。それより、ダナを」


「わかった、ミラン、抱き上げられるか?」


「わかりました。お嬢さん、失礼」


サマンサさんの王子様ミランのお姫様抱っこに、ダナさん真っ赤だ。

皆で受付まで足早に戻る。


「待って、あそこの岩の裏!もー、さっき通った時はいなかったのに」

ナナが、頭を抱えて唸る。


「ナナ、抜ける時危ないから倒していこう。フォックス、ダナ、ここで待機していてくれ。動かず待っててくれよ」

「この毛布でダナさん包んであげて、ここ風強いから。それと、お水と飴」


「わかった、ありがとう」


ナナは、全員の武器に炎を付与する。


「にゃー」モモが走り出す。

「シャーッ!ウナァーゴウ!」

モモが『クレイロックドラゴン』を6頭引き連れて走ってくる。


ナナは、氷魔法で『クレイロックドラゴン』の口を塞き、バシャッと水魔法で濡らし、強めの雷ショックを放つ。

ロックが正面から薙ぎ払い、痙攣して倒れる『クレイロックドラゴン』を、ロックとユーリとセドとミランでトドメを刺し、各自証拠の尻尾を切り取った。



「さあ、受付に行こう。フォックス、どうした?立てるか?」


「・・・なんか衝撃すぎて、頭がどうにかなりそうだ」

フォックスはのろのろと立ち上がると、呆然としたままユーリに受付まで引っ張られるのだった。



ロックが受付でフォックスとダナの無事を報告し、証拠の尻尾を提出する。尻尾の数は25個なので、切り良く24個だけ提出する。


「に、じゅうよん?ど、どうやって・・・」

笑顔が引きつるギルドの受付職員。鑑定すると尻尾は全て切りたての本物だ。討伐証明書を発行して記録を付ける手が震える。


『クレイロックドラゴン』を1日で24頭倒したヤバいパーティがいる。

受付に戻って来た他パーティからざわめきが起こる。

「24?!」「24ってなんだ聞き間違いか?」「24?おかしいだろ」


そんな中、受付を終えて戻ってくるのは、青年3人に女の子1人と子供が3人+猫が1匹。


シーンと静まり返った受付を尻目に、ホクホク顔で戻る『67』の面々なのだった。



24頭討伐なので金貨12枚+ボーナス金貨11枚+行方不明者発見の報酬が金貨4枚。討伐1日目『67』の報酬は、なんと金貨27枚だった。


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