王子様と私(4)
「セドだ、今日から『67』で皆と一緒に訓練に参加させてもらう。仲良くしてくれ」
「ミランです。今日からお世話になります。よろしく!」
「ユーリです!剣士を目指してます、一緒に頑張ろう!」
「ジルです!剣士を目指してます!よろしく!」
「コウです!魔法も使える剣士を目指してます!よろしく!」
「セドは、何を目指してるの?剣士?」
「剣士だ、魔法はあまり上手くないんだ」
「魔法も使えるの?じゃあ、魔法も訓練して、僕と一緒に魔法が使える剣士を目指そうよ!」
「魔法も習えるのか?」
「ナナちゃん、魔法使いだよ!ナナちゃんが教えてくれるよ!」
「そうか、それはうれしいな!」
「ミランは?」
「私は剣の稽古もしたけど、あまり上達しなかったんだ。ナイフと体術が得意かな」
「じゃあ、何を目指すの?」
「ナイフ投げの上手い拳闘士かな」
「うっわー!それ、かっこいいな!俺にもナイフ教えてよ!」
「いいよ、ナイフ投げができると便利だからね」
「やったー!」
「仲良くやって行けそうでよかった。さあ、稽古を始めるぞ!」
ロックが手をパンパンと叩く。
うちの子、みんな凄いな。
ナナは、孤児院仕込みのコミュニケーション能力に脱帽だ。
カンカン、カンカンと、いつもより沢山剣の音がする。
お、セド様結構強いな。ユーリが押されてる。
ミランさんは剣が苦手そう。ジルに弾かれた。
「ちょっとちょっと!ナナちゃん!王子様みたいな子が弟子になったのねぇ」
サマンサさん、目がキラッキラしてますよ。その子本物の王子様なんです。
「王子っぽいですよねー、ユーリと打ち合ってるのがセドです。もう一人の背の高いほうがミラン」
「あの王子様っぽい子はミラン君なのね、素敵ねぇ」
サマンサさんの王子様、ミランさんの方だった。
「応援してあげて下さいね!」
「もちろんよ!明日はドーナツ揚げようかしら」
「わー!期待しちゃおう!」
「期待しててちょうだい。じゃ、皆に頑張ってって伝えてね!」
「はーい」
▽△▽△▽△▽△▽△
「明日は討伐に行くから、各自準備してくれ。コウとジルは孤児院で待機だ」
「「「はい!」」」「「はい」」
「ユーリ、セドとミランの装備を見てやれ。足りないものがあったら買い足す」
「わかった、セド、ミラン、冒険者用の装備ある?見せてもらっていい?」
「ユーリ、悪いな、ありがとう。マジックバッグに入ってるから、今出すよ」
「ナイフは1本ずつあった方がいいな。剣は、良いの買ったね!あー、森は腿まである靴下のほうがいいよ」
セドとミランが買い物メモを作ってる。
「セド、ミラン、守り石作ってあげるから、後で私のアトリエに来てね。ユーリ、連れてきてあげてね」
「守り石?」
「ナナちゃんが作ってくれるんだ。『67』のパーティは、みんな持ってるんだ。俺のはこれ」
ユーリが、グリーンオニキスの守り石をセドとミランに見せる。
「そうか、楽しみだな!」
コンコンとアトリエのドアからノック音がする。
「どうぞー、入って」
ユーリが、セドとミランを連れて来てくれた。
「ここから、好きな石を選んでね」
『いろんな天然石ビーズが入った大きめの仕切りケース』を開いて、セドとミランに選んでもらう。
「この淡い緑の石かこの青い石か迷うな」
「私はラピスラズリか、これは、フローライトですか?」
「そう。グリーンフローライト、こっちの淡い緑の方も、同じフローライトだよ」
セドはミルクティーのような茶色の髪にグリーンの瞳、ミランは濃い目の金髪にグリーンの瞳だ。
「瞳の色がお揃いだから、お揃いもいいかもしれないよ」
思ってもみなかったという顔で、セドとミランは顔を見合わせる。もしかしたら、王子と従者がお揃いを持つ事なんて、今まで出来なかったのかもしれない。
「ミラン、お揃いにしよう。私達は一緒に冒険者になるのだから」
「そうですね、セド、お揃いにしましょう」
1.5cmくらいの雫型のグリーンフローライトをワイヤーでメガネ止めにして丸カンを付ける。メガネ止めしたグリーンフローライトの横には小さな星のチャームを足した。
ナナは、『防御』と『守護』の特殊効果を付与する。
『グリーンフローライト、真鍮製の星のチャーム。防御と守護を祈願した守り石。病魔からの保護と衝撃からの保護が付加されている。セド用』
『グリーンフローライト、真鍮製の星のチャーム。防御と守護を祈願した守り石。病魔からの保護と衝撃からの保護が付加されている。ミラン用』
革ひもに通して2人の首にかけた。
「これはね、セドとミラン専用の守り石だよ。衝撃からの防御と病気からの守護の特殊効果が付いてるからね」
「2つも特殊効果が付いた専用アクセサリーじゃないか!こんな高価なものを」
「ありがとうございます、大切にします!セド、よかったですね」
「ミラン、またお前・・・」
「ふふふ、セド、ミランみたいに喜んでくれる方がうれしいよ」
「・・・ナナ、ありがとう、大切にする」
透明でグリーンのフローライトはお互いの瞳の色だ。
セドとミランは、絆が深まったような気がして、しばらく胸元の守り石を眺めていた。




