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年またぎと新しい冒険(2)

今年の『年またぎ』は6日間。タマス国の習慣に則り、家に籠って家族で過ごす。


年またぎの間、コウとジルは昨年同様ロックの稽古。そこにナナの魔法レッスンが追加された。魔法レッスンはロックも生徒で参加する。


ナナのサコッシュに料理を作り貯めておいたから、お籠りの間、本当に稽古とレッスンと家族のまったり時間に費やせる。



革の胸当ての加工を頼んでいた革工房から、ロックとジルとコウの胸当てが仕上がってきた。新品の革の匂いがする。イソイソと装着して、腕を上げたり回したりしながら、3人で具合を確かめている。


ナナとモモも、お揃いのピアスとチャームで着飾る。ナナもモモも「似合う!」とか「すごくかわいい!」と褒められてご満悦だ。


今日はみんなでラグで寝ちゃおうかな!とか、庭でピクニックみたいにご飯食べようかな!とか、ナナは、どんな風に過ごそうかとワクワクしながら考える。楽しみでしかたがない。




▽△▽△▽△▽△▽△




ナナは現在、庭にいた。ピクニック風ランチではなく、修行で。

ロックとコウとジルに頼まれて、魔法のレッスンをする事になったからだ。

窓際でグーグー寝てるモモがうらやましい。


「コウ、まずは土魔法で矢じりの形の礫を作ってみて」


「こう?」


「お、良い感じ。すごいね一発でできたね!」


「毎日生ゴミの穴掘って埋めてるからね」コウは得意顔だ。


コウは毎日、小さな穴を掘って生ゴミを埋める訓練をしている。

最初は手の平ひと掬いの土も掘れなかったのに、今は一瞬で掘って一瞬で埋められるようになった。


「じゃあ、今作った礫を、あの的に当てて見よう」

ナナは、木に括り付けた大き目の的を指さす。


「はい!」

コウの作った礫が、へろへろと飛んでいき、コンと当たって落ちる。


「うーん。コウ、風魔法あったよね?風魔法で飛ばせない?」


「やってみる」

礫がシュッと飛んでいき、カッと音を立てて的にぶつかり落ちる。


「コウ、礫を作った瞬間にそれを風で飛ばすイメージでやってみて」

コウの手に礫ができて、その瞬間飛んでいく。でも、さっきよりも威力が無い。


「だいたい出来てるね。じゃあ、このままその練習を続けて。あの的を貫くまで頑張ろう」


「はい!」



「ジル、ジルはどうやって身体強化をかけてる?」


「身体能力が上がるように手足に魔力を巡らせる」


「ロックは?」


「俺は、自分の筋肉を増強するように魔力を巡らせてるな」


「身体強化の魔法って、肉体の機能を引き上げる魔法だよね?引き上げるのって、運動能力だけ?知覚や神経も?」


「俺は、運動能力だけだと思ってる」


「体の機能って、筋肉だけじゃないよね?体に情報を伝達する神経が筋肉を動かしてる。聴力や視覚だって体の機能だよ。目や耳で情報を得て、脳が命令を出し神経を伝って筋肉を動かす。強化するなら全部強化しないと」


「確かに」


「筋肉だけを増強しても、その筋肉を動かすための機能が普通なら、せっかく増強した筋肉のポテンシャルを出し切れないと思うの。だから、身体強化をかける時に、筋肉だけじゃなく、神経や目や耳も意識してかけてみたらどうだろう」


「ちょっとやってみる」


ロックが、身体強化アップのイヤーカフを外して、身体強化をかける。


「少し動いてみる」

パンチや蹴りなど、体を動かして確認している。ものすごく素早い動きだ。ロックかっこいい。


「体が研ぎ澄まされるような感覚だ。実戦でつかってみたいな」

ロックが、イヤーカフを着けながら満足そうに頷く。


ジルが、期待の籠ったキッラキラな目でロックを見てる。


「ジル、曖昧なイメージで手足の強化をするのではなく、体中の筋肉を意識して身体強化をかけてみろ」


「はい」


ジルは、身体強化をかける。


「体を動かしてみろ」


「体が軽い!」

ジルは、バックテンをしたりパンチや蹴りをして確認してる。確認の仕方がロックと一緒で微笑ましい。


「背筋や首も意識しろ。自分の目に見えない筋肉に行きわたるまで、その訓練だ」


「はい!」




▽△▽△▽△▽△▽△




ロックが夕飯後のお茶の時に、ペラッと1枚紙を出してきた。


「年またぎが終わったら、新年早々カタッラクテース領のリアナトリへの遠征を打診されてるんだ」


ナナは、ロックから紙を受け取って眺める。マントヒヒみたいな猿の絵が描いてある。さらっと上から下に見ただけでロックに質問する。


「遠いの?」


「いや、隣の領だ。北東に50ケメス(km)くらいかな。早朝こちらを出てれば、夜には着く。馬車の進み具合によっては野営を1回入れてもいい」


「討伐対象は?」


「マウンテンマンドリル。大きな猿だな。増えすぎた群れで町を襲うらしい」


「大きいってどのくらい?」


「通常で160セメル(cm)くらい。ボスは180セメル(cm)を超える」


「通常でも私より大きいよ!」


「横はナナの倍以上あるな。それを1回の受領につき5匹で達成、銀貨2枚。目標10匹で銀貨5枚。20匹以上討伐かボス討伐で上乗せボーナスが出る」


「ボーナスはおいくら?」


「金貨1枚」


「えっ?!20匹以上倒せば金貨2枚は確定ってこと?!」


「そうだな」


「すごい!」「スゲー!」

「すごい!行こうよ!貯金増やそう!」


「まあ、まて、続きがある。ただ、デカいのに数が多いから、滞在がおそらく10日程になる。結構長いだろ?そこがネックだよな」


「それって、毎日20匹倒せば金貨20枚になるって事?」

「最高だな!」「すごいね!」


「ナナの仕事に障らないか?」


「ロック、私の仕事は冒険者でもあるんだよ!今ある仕事を行くまでに終わらせて、親方に言っておけば大丈夫!なはず!」

「ナナちゃん、落ち着いて、目が¥マークになってる」モモちゃん、そこは見て見ぬふりで!


「わかった。それなら、親方に確認して大丈夫そうなら行くか!」


「「「「やったー!」」」」



年またぎの間のラグでのお話は、遠征の話キマリだ。討伐についてあれこれ話すのは、勉強になるし楽しい。


ジルとコウは、モモに前回の遠征の活躍を聞いて盛り上がってる。


ロックとナナは「今回は行き帰り2食分のお昼ご飯でいいから、準備も楽でいいな」なんて話しながら、食料の在庫をチェックする。



新年早々、大きな冒険が待っている。


ナナは、家族になって初めての遠征(金貨20枚)に胸が躍るのだった。


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