ナナも師匠になる(2)
コンコンと部屋のドアを叩く音がする。
「ジル、コウ、起きてるー?」
「おきてるー」「おきてるよ」
「開けるぞ。ちょっといいか?話がある」
お布団ラグにみんなで座る。
「ナナとも話したんだが、ナナのスマホで2人のステータスを確認できるようにしようと思う」
「すまほ?」
「ナナがたまに使ってるこれくらいの板の事だ」
「地図の板?」
「そうだ。馬車でナナが見ていた地図の板だ。あれで、ステータスが表示できるんだ」
「俺達まだ12才になってないけど、ステータスって見れんの?」
「分からない。ただ、確認できるのならしておきたい。コウとジル、それぞれに合った稽古に変えていきたいんだ」
「見れるんなら、俺は見たい。どういう冒険者になれるのか、早めに見ておきたい」
「僕も見たい。土魔法以外にも適正があるのか知りたい」
「今ここでやっちゃおう」
ナナは、スマホを出して、コウとジルの指紋を登録する。
「ナナちゃん、これ、どういう仕組み?」
「うーん、私の出身国の優秀な人が作ったスゴイ仕組み?」
「・・・なんかよくわかんねぇけど、わかった」
「はい、ジルからマイステータス表示って言ってみて」
「マイステータス表示」
名前:ジルベルト(8才)
職業:未定
レベル:18
体力:206
魔力:61
攻撃力:83
防御力:42
素早さ:108
特技:剣技・魔物鑑定・観察眼
得意魔法:身体強化・隠密
称号:ロックの弟子見習
現在位置
「ジル、ジルベルトなの?」
「ナナちゃん、俺も初めて知った」
「ジルベルトって呼んだ方がいい?」
「コウ!やめてくれ!今まで通りジルで!」
「ふふっ了解」
「ナナ、観察眼を触ってくれ」
「はーい」
ナナは、観察眼をタップする。
『対象を観察し分析する能力。鑑定では得られない悪意なども読み取る。得た知識は頭脳に蓄積される』
「なんか凄いの出てきた」
ロックが色々とメモを取っているので、終わるまで待つ。
「はい、次はコウ」
「マイステータス表示」
名前:コウ(6才)
職業:未定
レベル:16
体力:142
魔力:201
攻撃力:58
防御力:40
素早さ:37
特技:鑑定・言語翻訳・充電・診断
得意魔法:土・風・回復
称号:ロックの弟子見習・光と共に渡りし者
現在位置
「回復?!」
ナナは、自分のステータスを思い出す。魔法や特技って、地球での生活を反映した内容になっていたよね。コウ、傷だらけだったな。だから回復なのかもしれない。
「ナナ、回復を触ってくれ」
「はーい」
ナナは、回復をタップする。
『怪我を癒す魔法。上位魔法は病気を癒す(快復)』
「なんかまた凄いの出たよ」
ロックは、コウのステータスを見て、無言でメモを取っている。
「よし。得意な分野を伸ばして行けるように、方針を考える」
「「よろしくお願いします!」」
「あと、ナナのスマホの事は家族だけの秘密だ。誰にも言わない事」
「「絶対いいません!」」
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自室に戻ってから、久しぶりにナナとロックもマイステータスを確認してみた。
名前:ロック(19才)
職業:剣士
レベル:119
体力:871
魔力:260
攻撃力:564
防御力:297
素早さ:391
特技:発掘・剣技・体術・魔物鑑定・威嚇・威圧・動体視力
得意魔法:身体強化・隠密
称号:冒険者・『67』メンバー・ナナの夫
名前:ナナ(16才)
職業:魔法使い
レベル:86
体力:60
魔力:4628
攻撃力:20
防御力:42
素早さ:22
特技:金属加工・石加工・アクセサリー作成・魔力付与・鑑定・言語翻訳・充電・威嚇・魔力結界
得意魔法:水(氷)・火(炎)・風(雷)・金属(宝石)
ファミリア:モモ(黒猫・メス)
称号:冒険者・『67』メンバー・ロックの妻・光と共に渡りし者
レベルがむちゃくちゃ上がってるし、ロックもナナも、知らない特技が増えてる。
そして、ナナのフィジカル(体力・攻撃力・防御力・素早さ)の数値がほぼ増えてない事実。
コウ(6才)よりも体力無い事が判明しナナは軽くショックを受ける。ジルとコウとは逆の意味で驚きの結果だ。
「威圧も動体視力も大体どんなスキルか分かる。ナナの魔力結界は、使っている人を1度しか見たことが無い」
「明日、そう明日にしよう。明日考えよう。今日はもう眠い」
「出たなナナの先送り。まあ、本当に眠そうだし、もう寝よう」
ロックは目を閉じて、今後の事を考える。
今まで、コウとジルの修行にナナはノータッチだった。まずは体ひとつで戦えるように、ロックが2人を鍛えてきた。
今後も今まで通り剣と体術の稽古をつけるけれど、得意分野が違う2人を同じように鍛えるのは難しくなってくるだろう。
コウは、どう見ても剣士より魔法使い向きだ。同じように修行していて、ジルには『剣技』の特技が出ているのに、コウにはなかった。
でも、コウは魔法の使える”剣士”になりたいと言う。それなら、ナナの魔法の使い方が、コウの助けになるだろう。
ナナは、少ない魔力でいかに効率的にダメージを与えるかを考えて魔法を使っている。他の魔法使いには無い考え方だ。
派手な魔法を使うよりも、魔法で補助してパーティ全体の戦力の底上げをする方が、より大きな戦力になる事をナナは知っている。
ナナは、”魔法を使って戦う剣士”にとって、これ以上ないくらい最適な師だ。
ナナと一緒に作った家庭で、ナナと一緒にジルとコウを育てる。
ナナと一緒に作った『67』で、ナナと一緒にジルとコウを鍛える。
ロックは、ナナの寝顔を見つめながら、やさしく抱きしめるのだった。




