家族になった次の日のこと
完結感が漂っていますが、まだまだ続きます。
結婚した日の夜、ロックはナナの部屋を訪ねた。
ここ最近は毎日どちらかの部屋で今後の話をしていたので、いつものようにベッドに並んで座って今日の話をする。
「はー、長かった。これでやっとナナと夫婦だ」
「町役場の手続き、あっけなかったね」
「ふふっ、そうだな」
「まさか16才で結婚するとは思わなかったよ」
「俺だって思わなかったよ。でも、いずれ絶対結婚はした」
「ふふふ、私もそう思う」
「ナナ、俺と結婚してくれて、ありがとう。俺の家族になってくれて、ありがとう」
「ロック、私と結婚してくれて、ありがとう。ロックと家族になれて幸せだよ」
「俺も幸せ。大好きだよ、ナナ」
「私もロックが大好き」
ロックは、ナナをやさしく抱き寄せて、そっと唇を重ねた。
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「ジル、僕、今日、ベッドで寝てみようと思うんだ」
「えっ?コウ、大丈夫なのか?無理すんなよ?」
「だからね、その、ジル、一緒に寝てくれる?」
「いいよ。一緒に寝よう」
「ありがとう、ジル」
「コウ、そっちじゃなくて、こっち側に寝ろ。そっち窓側だろ」
「あ、ありがとう」
「無理だと思ったら言えよ。一緒にラグで寝よう」
「うん」
「手握るか?」
「うん」
「モモはラグで寝るー」
「モモ、コウと一緒に寝てやれよ。ほら、ここ」
「んもー、しかたないなー」
「モモちゃん、ありがとう」
「どういたしましてー」
「ジル、モモちゃん、おやすみ」
「おやすみー」「おやすみ」
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暑い。身動きがとれない。
ナナは、目が覚めると、ロックに包まれるように抱きしめられていた。
そーっと抜けようとしたが、ひょいっと抱えなおされる。
「ロック、もしかして起きてる?(小声)」
寝ているようなので、もう一度脱出を試みる。
そーっと体を抜こうとすると、また抱えなおされる。
「ロック、朝の稽古は大丈夫なの?(小声)」
「休みと言ってあるから大丈夫だ」
「起きてるじゃん」
「今起きたんだよ(嘘)」
「起きてるなら、ちょっと離して」
「・・・」
「ロック、トイレ行かせて」
ロックは、しぶしぶ手を離した。
「ナナ、それ羽織ってけ。そのまんま行くな」
「ぎゃー!そうだった!」
慌ててロックのシャツを羽織り、トイレに向かおうとして、ナナが戻ってくる。
ロックの額にチュッとして、ドアから出て行った。
「慌てて転ぶなよー」
ナナが、ドタバタとトイレに行く音がする。
新婚はじめての朝、キャッキャウフフする予定だったロックは、いつも通りのナナに少しだけ苦笑。
「でも、ナナらしいな」
ロックは、自分の額にキスをしに戻ってきたナナを思い出し、やさしく微笑むのだった。
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コウとジルは、ラグで目覚めた。ベッドで寝ているのは、びよーんと伸びたモモだけだ。
昨日は結局、コウは心臓がドキドキしてベッドでは寝つけず、心配したジルがコウをラグに誘ったのだった。
「おはよう、ジル、ごめんね。夜中に起こしちゃって」
「おはよう、俺が勝手に起きたんだよ。気にすんな」
「僕、やっぱりしばらくはラグで寝る」
「わかった。また挑戦したくなったら言え。遠慮すんなよ」
「うん、ありがとう」
「なんでみんな、ベッドにいないの」
「おはよう、モモちゃん、眠れなくてラグで寝たんだ」
「おはよう、モモ」
「コウ、寝たい所でねればいいよ?」
「ふふっ、モモちゃん、ありがとう」
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「ジル、コウ、モモちゃーん、ごはんだよー」
大皿にパンケーキが10枚以上重ねて置かれている。ジャムと蜂蜜とバターはかけ放題だ。モモ用に、イワシのような魚が盛られた小皿が置いてある。
「みんな取り皿に取って、好きなように食べて、2枚目以降は早いもん勝ち。モモちゃんは、これ」
「ロック、ジャム取って、ブルーベリーの方」
「ほら、ジャムに自分のスプーン使うなよ。ジル、これ使え」
「ナナちゃん、お茶にジャム入れていい?」
「どうぞ。これおすすめ、アプリコット」
「じゃあ、それにする」
「ナナちゃん、モモにも、バターつけたやつちょうだい。半分の半分くらい」
「はいはい、ここ置くよ」
「ん、ありがと」
「これ食ったら、ジルとコウの服買いにいくぞ」
「!!」「!!」
「色々買わなきゃね。靴もそれ1足でしょ?」
「いいの?補助金銀貨1枚なんでしょ?」
「いいのかよ。俺達の補助金安いだろ?」
「いいんだよ。誕生日プレゼントだ」
「何回目だよ、誕生日プレゼント・・・ありがとう」
「ありがとう、うれしい」
2人ともモジモジしてかわいい。ナナは、朝からいい物を見られてご満悦だ。
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ロックの行きつけの服飾店「ゴドの店」にみんなで向かう。
「ゴドの店」は、冒険者御用達のお店だ。
子供用は少ないけれど、汚れてもザブザブ洗える丈夫な服が揃っている。
そこで、ジルとコウに、シャツ2着、チュニック2着、インナー4着、ズボン2着を選ぶように言う。
孤児院にあるものから選んでたジル、何も与えられなかったコウ、2人に好きな物を選ばせたかった。
「「ロック、ナナちゃん、選べない」」
そんなに種類が多くない子供用の服でも、ジルとコウにはキャパオーバーらしい。
「わかった、一緒に見よう」
ロックが、アドバイスするようだ。
「ロック、これは?」
「ウエストに剣帯をつけるだろ、そうするとこの装飾が邪魔になるから、これはダメだな」
「これは?」
「白はダメだ。魔物の血は洗ってもうっすら残る」
「じゃあ、これは」
「これは、うん、なかなかいいな。少し大きめだが剣帯で絞れるし気にならないだろう」
好きなものを選ばせたいとか言ってたくせに、ほぼロックが選んでる。
でも、子供2人はすごくうれしそうだ。
ナナとモモは、楽しそうに服を選ぶ3人を、にこにこ笑いながら見守るのだった。




