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家族で遠征(4)

トータル5日間の討伐で『67』が倒したミドルヘルバードの数は4086羽。報酬は金貨40枚、銀貨8枚、銅貨6枚だった。

ナナは、報酬額の多さにドン引きだ。冒険者は儲かると、コウとジルが誤解しそうで怖い。


「こんなのは滅多にないぞ。もう二度と無いかもしれないから、この機会にお前達に見せられて良かった」

ロックが、今回はレアケースだと子供2人に釘をさす。


今回、コウとジルが掃除や洗濯などのサポートを進んでしてくれたので、すごく助かった。

ヘトヘトで帰ってきて、部屋が片付いているとホッとする。誇らしげにに並んで報告する様子にも癒された。


「ジルとコウが色々手伝ってくれて、すごく助かったよ。ありがとう」


「トレーニングも稽古も頑張ったな。偉かったぞ」


「みてっ、力こぶ!」「俺も!」


2人が二の腕に力こぶを作って見せる。一見細いのに力こぶがグッと出た。コウのプニプニしていた二の腕が無くなってしまって、ナナは少し寂しい。


「すごいね!ムキムキだね!たくましいね!」


「ナナちゃん、ムキムキではない、かも」

「ナナちゃん、たくましいは言いすぎだ。そこまでじゃねぇ」


「ム・・ムキッ、くらいかな」

ナナは、困惑しながら訂正する。筋肉褒めるのって難しい。褒めようと気を使ったら仇になった。


「訓練を、木剣から模造剣にするか」


「ほんと?!」「スゲー!やった!」



▽△▽△▽△▽△▽△



今日がノトスナポス領のグロッサ最後の夜だ。明日の朝には帰路につく。

孤児院の子供たちにお土産を買うために、グロッサの町に出た。


マリンナでは見ないお菓子や、竹のような素材を使った細工物があって、ジルもコウも目を輝かせる。

迷いに迷って、女の子達にはお花の砂糖菓子。男の子達にはラスクのようなお菓子をお土産に買っていた。


グロッサは産地だから砂糖が安い。ナナは、ここぞとばかりに砂糖を大量購入した。


ロックが、家で使おうと言って、竹で作った籠を買った。目が粗くて風通しがいいから、焼きたてのパンを盛るらしい。


ノットさんと色々手配してくれたギルドの職員さんにも、金平糖のような砂糖菓子を買った。

ナナは、金平糖のような見た目が懐かしくて自分の分も買ったけれど、見た目と違ってすごく甘かった。角砂糖代わりに使おうと思う。


記念にグロッサで買いたいというので、コウとジルの模造剣を買う。


模造剣は、ほぼ本物という見た目の剣だった。刃が施されていないので切れないかもしれないけれど、刺さったら危ないレベルだ。


「これ、大丈夫?危なくない?」

ナナは、心配になってしまう。コウとジルがケガしたらと思うと、心臓がきゅうっと痛くなる。


「ナナ、剣は武器だ。武器は何でも危ないもんだ。危ないからきちんと扱いを学ぶんだよ」


「ナナちゃん、俺達、剣で冒険者として身を立てたいんだ。扱いに気を付けるから見守ってください」


「ナナちゃん、きをつけるから、みまもってください」


「ナナちゃん、過保護」モモは辛口だ。


ナナは、3人と1匹がかりで諭されて、ロックの指導だし大丈夫かと急に冷静になる。


「うん、心配だけど応援する。頑張ってね!」ナナは、親指を立ててニカッと笑った。



▽△▽△▽△▽△▽△



翌朝、ギルドに預かってもらっていた馬車を引き取って、皆で乗り込む。


「お世話になりました。ありがとうございました」

皆で手を振り、ノトスナポス領のグロッサを後にした。


ナナはふと思い出して「パーティの勧誘なかったねー」と呑気に言う。


ロックは「奴らがナナに声かける前に片付けたからな」とシレッと言った。


「受付で見学してる時にな、ジルとコウが他のパーティから色々聞かれたらしいんだよ。

ナナは、ロックの婚約者だし自分達の家族になるからマリンナに帰ります。僕達孤児なんだ、家族を連れて行かないでーって言ったらしいぞ。

ナナには俺がずっと張り付いてたから俺に確認してきた奴もいたが、もう家族として一緒に住んでるし、あいつらの母親代わりだって言ったら大半は諦めたよ」


コウとジルは、他の冒険者をだいぶ泣かせたらしい。水面下でそんな事が起きていたなんて。


「諦めきれずにジルとコウにごちゃごちゃ言う奴は、トラブルメーカーとしてギルドが注意してくれた。受付の職員が見てたからな」


”ナナには俺がずっと張り付いてたから”

なるほど、だからロックはやたらとくっついてたのか。腰を抱いたり飴を食べさせたり。

あの時のナナはヘトヘトで気にする余裕がなかったけど、後からお風呂で思い出して、ドキドキもだもだしてたのに。ナナは少しだけ残念に思う。


「ナナが連れて行かれちゃうって、コウもジルもがんばったみたいだな。もちろん俺もがんばった」


「ロックありがとう。コウとジルにも苦労かけたね、ありがとう!」


「いいってことよ!」「いつでも、まかせて!」


コウもジルも、意外に強かで感心した。冒険者はそうでなくちゃ。ロックの教育の賜物だ。



▽△▽△▽△▽△▽△



ロック達一行が無事にマリンナに着いたのは、グロッサを出てから4日目の午前中だった。


たった半月の遠征だったのに、見慣れた街並みに懐かしさがこみ上げる。


「帰って来たね。やっぱりマリンナがいいね」

スゥっとマリンナの空気を吸い込み、ナナが笑う。


「そうだな」

ロックが、ナナの背中をポンポンと叩いた。


ロックとナナは、馬車を返しがてら、遠征からの帰還をギルドへ報告に行く。


ジルは今日はうちに泊めて、明日の朝コウと一緒に孤児院に連れて行く予定だ。


『67』は2日ほど冒険者をお休みにするので、コウ達を孤児院に送った後、役所へ報告に行くつもりだ。


「ギルドの報告も済んだし、早く帰ってラグでゴロゴロしよう!甘い物食べよう!」


「いいな、久しぶりにホットミルク飲もう」


「蜂蜜入れて?」


「蜂蜜入れてな」


2人でフフフと笑い合う。


「コウも飲む!」「俺も俺も!」「モモも!でも蜂蜜は無しで!」



さあ、皆でおうちへ帰ろう。


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