表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/229

ロックの誕生日(1)

今日は8月8日。4日後はロックの誕生日だ。

ロックには、「アクセサリー作りで試したい事があるから」と言って、今日は1人で討伐に出てもらっている。


昨年の無念を晴らすため、ナナは今年こそ、絶対に、絶っっ対にロックの誕生日を祝おうと決意していた。


ロックは、ナナの誕生日に、家族みんなで作った花冠をくれた。

ナナもコウとモモと一緒にプレゼントを作ってロックに贈りたい。ナナは、手作りアルバムを作ろうと思った。


アルバムとは言っても、写真のプリントはできない。

だから、手書きの絵だ。ナナとコウが楽しい思い出を絵を描いて、モモには肉球スタンプを押してもらう。


「コウ、モモ、アトリエに集まって!」

ドアを開けて叫ぶと、パタパタとコウの足音がする。モモは、コウの後ろからついてきていた。


みんなでラグに座って、コホンとナナがかしこまった咳をする。


「ロックの誕生日プレゼントを作ります!思い出を小さな絵に描いて、アルバムを作ります」


「あるばむ?」モモが首を傾げる。かわいい。


「いんすた?」コウが不安そうな目をする。コウはやっぱり地球から来たのかも。


「コウは、インスタ知ってるの?」


「コウが、じゃま、あっち、いってろって、おかあさんが、オツを」

コウの下唇が前に出てきた、涙が浮かんでる。


「私のスマホの写真は、コウとモモでいっぱいだよ。ベランダには絶対帰さないよ」

ナナは、コウを軽く抱き寄せる。モモが、すかさずコウの膝に頭を乗せる。コウが、モモの頭をなでなでする。


「我が家のアルバムは、絵です!ロックとの楽しい思い出の絵を描きましょう!モモは、肉球スタンプおねがい!」


「「はーい!」」


ナナは、地球から持ってきたA4サイズのスケッチブック2枚を1/4サイズにカットして、8枚の画用紙を作る。


ナナとコウは、鉛筆と色鉛筆で描いていく。


コウは、鉛筆を使った事がなかった。おかあさんの”メイク”にあったけど、触るとベランダだからと言っていた。

それは多分、鉛筆ではなくアイライナーかアイブロウだと思う。子供が使える筆記用具が、家に無かったのかな。

だからコウは、絵の描き方を知らなかったらしい。

孤児院に行くようになって、描けるようになったんだって。みんなに絵も字も教えてもらってるし、みんなで地面に色々描いて遊んでるんだって。


ナナは、のびのびとコウが色を塗ったひまわり祭りの看板を思い出す。


筆圧が高くてちょっと線がガジガジだけど、コウは一生懸命絵を描く。1枚目は、ナナの花冠を作っているロックなんだって。花冠なら、色も綺麗でいいね。

ナナは、サンザシの実を採っているロックを描く。ナナが討伐に行かない時でも、ロックはサンザシを採ってきてくれる。ナナの煮るジャムを楽しみにしてくれるのがうれしい。


コウは、2枚目を描くようだ。早いな。完成品をちょっと覗いたら、ロックの笑顔がニッコニコだった。ロック、そんな満面の笑みで花冠を作ってたのか。

モモに、肉球スタンプを頼んだけど「あとでね」と断られた。もー、モモったらフリーダムなんだから。


コウの2枚目は、ご飯を食べているロックだった。コウに、ベーコンを分けてくれたロックらしい。ロックのお皿には、小さなベーコンが乗っていた。

ナナの2枚目は、ひまわり祭りの敏腕販売員ロックを描く。お高い特殊効果2種類付加のネックレスを指さしてる。モモが「ここに無いのはオーダーしてくれって言ってそう」と言った。


コウの3枚目は、ナナの髪を切ってるロックだった。ナナもロックも、口がへの字になってる。黒い塊はモモかな?ナナは「コウもこの辺にいたよ」とモモの隣を指さした。コウは自分も書き足していた。

ナナの3枚目は、剣を構えるロックだ。炎付与した剣から炎が上がっている。戦闘中のロックは、動きは激しいのにいつも冷静な顔だ。シルバーアッシュの髪と炎の対比がカッコいい絵になった。炎付与は、こんなに炎は上がらないけれど、かっこいいからちょっと炎を盛った。


コウの4枚目は、皆でラグに寝転んでいる時のロックだった。赤茶のラグに三人川の字+1匹がニコニコ顔で寝ている。モモがすごく長い。そういえば、たまにモモはこんな風に、のびーんってなってるかも。

ナナの4枚目は、家までの帰り道、モモをナナが抱っこして、コウがナナの服の裾をゆるく握って、コウとロックが手を繋いでる絵だ。夕焼け空をバックに影が1つに繋がっている。


コウとナナの4枚目が完成したので、モモに肉球スタンプを再度頼む。ポンポンポンポンポンポンポンポンと押してくれて、今日はここで終わりにする。


丁度片付けたところでロックが帰って来た。セーフ。ロックの帰宅がもう少し早かったら危なかった。



▽△▽△▽△▽△▽△



翌日の夜、ナナは自室でB4サイズのスケッチブック3枚を半分に折って糸で閉じる。糸を隠すように藍色のマスキングテープを貼る。


白い表紙に細いサインペンで「ロックへ」と書いた後、表紙全体にレトロでかわいい鳥の羽のスタンプを、バランスよく押していく。


裏表紙に「ナナとコウとモモより愛を込めて」と書き、ナナとコウが書いてモモが肉球スタンプを押した絵を、1ページに1枚ずつ両面テープで貼り付けていく。

絵の下には「ナナの花冠を作るロック」「サンザシの実を採るロック」と、タイトルを書き込んだ。

最後の裏表紙にサインペンでハートマークを描き、色鉛筆で赤く塗った。


ロックへのプレゼント「ロックの思い出アルバム」が完成した。



▽△▽△▽△▽△▽△



8月11日の夜、コウとモモに、完成したアルバムを見せる。

コウは、パァァァっと目を輝かせて「わあ、すごい、ロック、よろこぶ!」と言ってナナに抱き着いた。モモも「モモのスタンプいいかんじ!」と自画自賛で胸を張る。


明日はロックの好きなサンドイッチを持ってピクニックに行って、ロックのお誕生日用の夕飯は、満場一致で「フレンチトースト!」で決まりだ。ロックの好物のナナのジャムと、蜂蜜と、太い腸詰も添える予定だ。


さあ、準備は万端!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ