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ひまわり祭り2日目

ひまわり祭り2日目は、1日目より少し多めに商品を並べる。今日は、昨日真っ先に完売した毒耐性を付加したピアスを多めに用意した。


テントの入口を開けると、早速お客さんが入ってくる。


「「いらっしゃいませ」」「いらしゃいませっ」「にゃー」

モモが普通の猫のフリをしてる!つっこみたいのにつっこめないジレンマに、ナナは心の中で身もだえる。


「ベン親方に聞いて来たんだ。この剣飾りに俺専用の付加をつけてくれないか?」


「ごめんなさい、接客があるから、今ここで魔法を使うのは難しいです」

ここで魔法を使うと、きっと自分もと言いだす冒険者が出て混乱する。


「ベン親方の工房に後日来てくれ。ギルドに伝言を入れるから名前かパーティ名を聞いてもいいか?」ロックが約束を取り付けてくれる。


「わかった、羽ばたく大鳥のマックスだ。よろしくな」


「ありがとう、マックス。また後日」


「ありがとうござました」「ありがとございましたっ」「にゃー」


マックスはコウの頭をひと撫でして去って行った。



「ベン親方に聞いたんだけど、特殊効果を2種類付加してるアクセサリーを祭りの露店で出してるんだって?」

ベン親方紹介のお客さんが続く。ありがたい。


「いらっしゃいませ、ありますよ」「いらしゃいませっ」「にゃー」


「ダンテじゃないか、久しぶりだな」


「ロック、久しぶりだな!結婚するんだって?」


「来年にな。2種類付加は、そこにかかってるやつ全部だ」ロックがブレスレットとネックレスを指さす。

ロックさん、顔色も変えずにサラッと流したよ!ナナは顔が真っ赤だ。


「おいおい、もう子どもがいるのかい?坊主、お手伝いか?偉いぞ」

ダンテさんがコウの髪をぐしゃぐしゃ撫でる。髪がぐしゃぐしゃなのに、コウはご満悦だ。


「この子も家族だ。ダンテ、まあ見て行ってくれ」


「毒耐性と麻痺耐性つけたやつは無いのか?弟のパーティが王都に行くらしくてな、持たせたいんだ」毒耐性と麻痺耐性は大人気だ。


「ここに無い物はオーダーになるんだ。オーダーなら石とデザインも選べるが、露店の値段よりは多少高くなる」


「多少高くてもかまわない。オーダーするにはどうしたらいい?」


「オーダーの予定を見てギルドに伝言する」


「来月には渡したいんだ。間に合うか?」


「弟さん思いなのですね、頑張って間に合わせますよ」


「ありがとう。よろしく頼む」


「ああ、ダンテ、ありがとう。連絡する」


「ありがとうござました」「ありがとございましたっ」「にゃー」


ダンテさんは、モモの顎をコチョコチョして帰って行った。



「ベン親方に聞いたんだが、特殊効果を2種類付加してるアクセサリーがあるそうだな」

ベン親方、ナナは商売敵なのにガンガン宣伝してくれてるみたいだ。


「体力回復&魔力回復と体力回復&毒耐性、どっちも欲しいな。毒耐性&麻痺耐性は無いのか?」


今回の露店では毒耐性と麻痺耐性の組み合わせを用意しなかったから、オーダーがどんどん増える。冒険者は口コミに敏感だ。これだけ沢山の人がオーダーしたら、きっと話題になる。

ロックが、この組み合わせは露店に出さないと言ったのはこれでか。


この後も、昨日のお姉さん(オレンジのワンピース)に聞いた女性冒険者がたくさん来たり、デート中のカップルや冒険者達が立ち寄ってくれたり、ベン親方関係のお客さんが来たりと大忙しで、沢山持ってきたアクセサリーは、たった3時間半で完売してしまった。


そんなこんなで、ひまわり祭り2日目も、『67 アトリエ・ロクナナ』は早々に閉める事になってしまった。



テントの中を片付けた後、周囲を軽く掃除して、ナナのサコッシュに看板や布などをしまう。テントを閉めて『67 アトリエ・ロクナナ 完売したので終了です』と張り紙をする。


噴水広場の噴水前にいたひまわり祭り実行委員に『67 アトリエ・ロクナナ』の完売閉店を知らせる。


「せっかくなので、ひまわり娘の投票をしてって下さいよ!」

「「「「「よろしくお願いしまぁ~す♪」」」」」


ひまわり娘はマリンナに住む17才の娘さんが、自薦・他薦で立候補するそうだ。


ロックは「俺はいい」と言うので、ナナとコウが投票する。ロックが気まずそうなので聞いてみると「同級生がいるんだ」とコソッと教えてくれた。


ひまわりを手に持った候補の娘さんたちがニコニコと手を振る。娘さん達の足元にネームプレートと籠が置いてある。


ナナは、素朴で三つ編みがかわいいリゼさんに投票する事にした。渡された白い石を、リゼさんの前に置いてある籠に入れて投票する。


コウは「ナナちゃんにとうひょうする」と、ナナに手渡してきた。


ナナが「ありがとう!」と受け取って、こっそり石を実行委員に返そうとすると、彼は小さく手を振って「お持ちください」と小声で言った。


ナナは、にっこり笑って「ありがとうございます」と小声でお礼を言った。



ナナがモモを抱っこして、ロックがコウの手を繋いで、人ごみの中を歩く。お目当ては、件のでっかいドーナツ屋さんだ。昨日は売り切れで買えなかったからリベンジだ。


冷たいお茶を一緒に買って、大きな楕円のドーナツを順番にみんなでハフハフ齧る。揚げたてのドーナツは熱くて熱くて大変だけど、すごく美味しかった。


「おまつり、たのしいね、ドーナツ、おいしいねっ」

コウは、生まれてはじめてのお祭りに、この2日間大興奮しっぱなしだった。


遅めのお昼ご飯に、ナシゴレンみたいな焼き飯と、ナッツがかかった串焼きを買う。串焼きのお肉はミニラズらしい。それを皆でベンチに座って食べる。


モモが、小声で「おしゃべりできないから帰りたいな」と言ったので、屋台を覗きながら早めに家に帰る事にした。


「昨日買ったパイを買って帰るか?」


「モモは、ミートパイとミルクパイ(小声)」「私も私も!」「コウも!」


「じゃあ、それにしよう」


「あそこの腸詰買って帰りたい!あれ、絶対美味しいやつ」


「コウ、ベーコンがいい」「モモは、お肉がいい(小声)」


「じゃあ、ベーコンも買おう。肉はうまいのが家にある」


ナナがモモを抱っこして、コウがナナの裾をかるく掴んで、ロックがコウと手をつなぐ。


三人と一匹は、コウの速さでゆっくり歩く。足元には、一つに繋がった影。



今日は、ナナの夜間アトリエ活動はお休み。

早めにお風呂に入って、みんなでラグでゴロゴロして、贅沢に蜂蜜を入れたホットミルクでパイを食べよう。眠るまで、お祭りの話をいっぱいしよう。


ロックとナナとモモとコウは、今夜の楽しみにわくわくするのだった。


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