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ロックの剣のヤバい効果(2)

3日後、ナナはロックと『ベン彫金工房』にやってきた。


「こんにちは、ベン親方、トムさん」「親方、トムさん、こんにちは!」


「よう、嬢ちゃん。ロック久しぶりだな」


トムさんが、がロックの剣飾りを持ってくる。イメージ通りですごく素敵だ。


「ロック、剣を貸せ。仮止めしてやるから振ってみろ」


ロックが剣をわたすと、親方がロックの剣に飾りを仮止めしてくれる。


「違和感が少ないな。大きさもグリップの邪魔にならなくていい」


ロックが剣を振ってみる。


「振ると違和感があるが、これくらいの違和感なら、振ってるうちにすぐ慣れる」


「嬢ちゃん、接着する前に付加するか?」


「いえ、接着が済んでからにします」


「ちょっと待ってろ」


ベン親方は、念のためロウ付けしたあと、キャップを叩いて閉めてポンメルに飾りを固定した。



「切れ味の向上や攻撃力アップ、剣が欠けない効果だったよね」

ナナは、ロックの剣をゆっくり眺めて、意を決したように金属魔法をかける。


まずは、小さな羽が交差したパーツ。


「無双」

ロックが戦う時、剣を振るうと対象がスパっと切れて何でも貫く様子を思い浮かべて、一振りに効率よく力が乗って攻撃力が増すようにイメージする。

イメージそのままに、切れ味と攻撃力アップと念じながら、パーツに金属魔法を使う。


次は、キャップ部分。


「耐久」

剣を持つロックごと周りをダイヤモンドでコーティングするようにバリアを張って保護し、決して折れない様子をイメージする。

イメージそのままに、ロックごと耐久力アップと念じながら、キャップ部分に金属魔法を使う。


2つの魔法をかけた後、ロックの剣がふわっと光った。


ロックの剣に鑑定をかける。

『ロックの剣。オニキス。無双と耐久を祈願した守り剣。切れ味と攻撃力を兼ね備え、決して折れない耐久力が付加されている。ロック用』


「できたよ、ロック」ナナは、剣をロックに手渡す。


「ロック、剣をワシに鑑定させてくれ」「俺も俺も!」

ロックは、剣をベン親方に手渡す。親方とトムさんが剣をじっと眺める。鑑定しているようだ。


「おいおい、これは、嬢ちゃん大丈夫か?体は辛くないか?」ベン親方が焦ってる。心配かけちゃった。


「ナナちゃん、だいぶ負担がかかったよね?無理はダメだよ」トムさんが眉毛をハの字にして心配している。いい人だ。


「ナナ、大丈夫か?!あれほど無理するなって言っただろ!」ロックの顔がさっと青ざめる。うっ、ごめんなさいロック、そんな顔させて。


実は、剣が光った時に、ナナはちょっとフラッとした。今も、魔法を使いすぎた時に感じる疲労感がある。


「少しフラッとしました。でも、大丈夫です。疲れただけで、どこにも違和感はありません」


皆がホッとする。


「うむ。まだ剣自体に付加できるな。嬢ちゃんの金属魔法が上達したらかけてみるといい。嬢ちゃんの方法だと、ブレード(剣身)とガード(鍔)とグリップ(握り)それぞれに付加が付けられるはずだ」


「はい!やってみます!」


「今はダメだ。ワシがいいと言うまでは絶対にやったらダメだぞ」ベン親方が、ロックに剣を返しながら、ナナに釘を刺す。


「わかりました」ナナがあからさまにガッカリする。


「嬢ちゃん、何事も努力の積み重ねだ。力を付けてから挑戦するんだ。無謀な挑戦の失敗は、得るものより失うものの方が大きい」


「はい、ありがとうございます。肝に銘じます」ナナは、背筋を伸ばす。



ベン親方のリクエストで、ロックが薪用の太い木で試し切りをする。

直径50cm以上ある丸太がたいした抵抗もなくスパッと切れる。切り口がツヤッツヤだ。

あまりの手応えのなさに、ロックが唖然とする。


「これは、この辺の魔物には過剰戦力だな・・・」


「竜でもスパッとできそうな剣ですね・・・」


「嬢ちゃん、やりすぎだ・・・」


呆然とする3人に、ナナは不安でいっぱいになる。


「な、なんか、ダメだった?ご、ごめん、ロック大事な剣に!」ナナが涙目でロックの顔を見る。


「いや、違う、そうじゃない。ありがとう、すごい切れ味だった。希望通りだ」


「ほんとう?」


「本当だ。あまりの切れ味に驚いただけだ。ありがとう、大切に使うよ」


「よかったー」ナナは、ホッと胸をなでおろす。



後にロックは、切れ味より耐久力の方がずっと性能的にヤバいと知ることになるが、それはもう少し先の話。



ナナとロックは、家路をゆっくりと歩く。ドライフルーツの屋台が出ていたので、コウとモモのお土産に少し買う。


ロックは、すごい剣を持ててうれしいけれど、ナナが家族のためにサラッと無理をするのが心配だ。


「ナナ、約束して欲しい。俺の為を思ってくれるのは凄くうれしい。でも、無理はしないで欲しい」


「うん、ごめんね。心配かけたね」


「ナナが俺を大切に思ってくれるように、俺だってナナが大切なんだ。俺の為に、無理はしないと約束してくれ」


「うん、約束するよ。無理はしない。」



ロックがナナの手を、ギュッと握る。ナナも、ギュッと握り返した。


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