表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/229

ロックの剣のヤバい効果(1)

ロックの剣は、ロックの兄が使っていた剣だ。

ポンメル(柄頭)からブレイド(剣身)まで、何の飾りも付いていないシンプルな剣は、使い込まれて傷だらけだ。

剣士を始めた頃のロックには、剣を買うお金がなかった。

兄の力に合わせた剣はロックには重くブレイドも長かったが、ロックはこの剣を腰に差して討伐に行き、毎回へとへとになりながら剣を振るった。


いつの間にか、剣はロックの手に馴染んでいた。剣についた傷は、ロックが生き残ってきた証だ。



ある日ナナが、グリップ(握り)とブレイド(剣身)に金属魔法をかけて、特殊効果を付加しても良いかとロックに聞いてきた。


最初ナナは、剣に特殊効果を付加した飾りをつけられないかと思ったらしい。

でも、せっかくロックに馴染んでいる剣の重さが変わってしまう事を憂慮して、剣そのものに付加できないかと考えたようだ。


大きな金属への付加は難しいし大量の魔力を使うとベン親方から聞いた。特殊効果が付加されている剣は高価だ。高価な分、それだけ付加するナナに負担がかかるという事だ。


ロックは、重さが多少変わってもいいから、ポンメルに小さな飾りを付けてほしいとお願いした。


ナナは最初しぶっていたが「飾りなら2つ以上だって付加できる。ナナの髪の色のオニキスを使ってほしい」とロックが言うと、あっさり納得してくれた。


ナナは、巻き尺を出してきて、ロックの剣のサイズを測って、メモを取っていく。


ロックが希望する特殊効果を聞かれたので「切れ味の向上や攻撃力アップ、剣が欠けない効果があればうれしい」と希望を伝えたら、ナナは「まかせて!」と親指を立てた。



ナナは、ロックの剣のポンメルにつける飾りのデザインを考えていた。できたら軽い金属で作りたい。


ロックの剣の素材は鋼だ。へーリオスには合金は無いと思っていたけれど、真鍮も鋼もアルミニウム合金もあるらしい。なんとステンレス(不銹鋼)もあった。単にアクセサリーに使われていないだけだった。

錆びにくいとはいえ、サージカルステンレスではないステンレスをアクセサリーに使うのは現実的ではないので、アクセサリーに合金を使う事はひとまず諦める。


軽い金属と言えばアルミニウム(軽銀)だけど、ベン親方によると軽いが酸やアルカリに弱いらしい。ナナは考えを巡らせる。


「チタンかな」


チタンは熱であまり柔らかくならないから、加工がすごく難しいらしいけれど、ベン親方の工房でなら加工もしてもらえる。色味も鋼に近い銀灰色で違和感もなさそうだ。


そう、ロックの髪色とおなじ銀灰色。ロックの髪色の銀灰色に自分の髪色のオニキス。想像すると、なんだかドキドキするナナだった。



翌日、ナナは早速ベン親方の工房に向かった。


「親方、トムさん、こんにちは!」


「よう、嬢ちゃん、今日も元気だな」「こんにちは~」


「親方、チタンの加工って、どのくらいかかりますか?」


「大きさによるな。もしかしてロックの剣飾りか?」


「親方すごい!その通りです!ポンメルに飾りをつけたいんです。ポンメルにキャップのようにかぶせて、その先にオニキスをはめ込んだシンプルな飾りを付けたいんです」


「オニキスのサイズは?」


「できるだけ軽く仕上げたいので、12メメル(mm)くらいの小ぶりな物をと考えてます。カボションにするかファセットカットにするか迷ってます」


「飾りとしては、せめて20メメル(mm)は欲しい所だが。12メメル(mm)なら、せめて丸玉だな」


「20メメル(mm)のオニキスは手持ちがないです」


「ウチのを使っていい。原価でわけてやる」


「小さな羽を交差させたパーツをオニキスのカボションに被せてカボションを押さえたいんです」


「こっちで加工したパーツに、それぞれ嬢ちゃんが付加をつけるんだな。わかった。デザイン画を見せてくれ」


ナナは、ベン親方にデザイン画を渡す。


「これだと、銀貨2枚と銅貨6枚ってところだな。オニキスのルースが銅貨6枚、チタンが銀貨2枚だ」


「うっ(やっぱり高い)そ、それでお願いします!」


「だが、嬢ちゃんが、これから3時間ほどワシの練習に付き合ってくれるなら、全部で銀貨1枚にまけてもいい」


「えっ?!本当ですか?」


「いつも新しい付加を教えに来てくれてるからな。ロックの剣飾りにも興味があるから、付加するときは呼んでくれ」


「なんなら、受け取ったらすぐに、ここで付加しますよ」ナナがニヤリと笑う。


「そりゃあ、うれしいな!」


ベン親方に助言をもらいながらの方が、ナナも助かる。ナナは、金属魔法のひよっこだ。まだまだ知らない事ばかりだ。


「はいはーい!俺も見たいでーす!」走ってきたトムさんが、ブンッと音が出そうなくらい勢いよく手を上げる。



ナナは銀貨1枚を払い、3日後に工房に取りに来る約束をして帰宅した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ