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ナナの誕生日(2)

「あと3日でナナの誕生日だ。ナナの好物を作って、花冠を贈りたいと思ってる。協力してくれるか?」


ロックとモモとコウは、車座に座り顔を寄せて小さな声で話す。


「ナナちゃん、ロックのトマトスープが好きって言ってた。あとステーキは、幸せな脳汁が出るって言ってた」真っ先にモモが、ナナの食いしん坊情報を提供する。


「トマトスープとステーキか、あと1品ほど付けたいな」


「ナナちゃん、ラズベリーをいれたお茶すき。はぁおいしい、しふく!って言ってた。あと、あと、ニンジンのグラッセ好き、あんまーい!って言って、だいじに食べてた」コウが、ナナの口調を真似ながらナナの好物を教えてくれる。


「トマトスープとステーキと人参のグラッセ、あとラズベリーを入れたお茶。ふふっ、赤い物ばかりだな」


ロックとコウとモモは、赤い食べ物ばかりのテーブルを見たナナが瞳を輝かせる様子を思い浮かべてくすくす笑いあう。



「あとは、花冠だな。ナナに内緒で花を買ってきて、コウとモモと一緒に作りたい」


「はなかんむり、どんなもの?」


「モモも良く知らない」


「花の冠だ。花を編んで、これくらいの輪っかを作るんだ」ロックが手指で輪っかを作る。


「わっかをつくるの?お花たくさんいる?」


「草原の小さな花で編んで、花屋で買った大きい花を編みこむ。ナナにはどんな花が似合うか、意見を出し合おう」


「「わかった」」モモとコウがコクリと頷く。


「誕生日は夕飯の時に祝う。花冠はナナの誕生日の前日に作りたい。サコッシュに入れておけば萎れないが、何日も前に用意するとナナが先に見てしまう。前日の夜ならきっとナナは気づかない。前日の夕方、今日みたいに集合して花冠を作るぞ。ナナのお誕生日大作戦だ。できるか?」


「「できる!」」モモとコウがコクコクと頷く。


「ナナちゃんは、タンポポすきとおもう。トンボだまタンポポだった。ナナちゃん、タンポポみたいだねって、タンポポはお花だっていってた」コウの力の入ったプレゼンに、ロックが頷く。


「草原で探してみよう」


「ナナちゃん、野ばらのにおい好きって言ってたよ」ロックがプレゼントした香油の香りだ。


「この辺で野ばらはあまり見かけないが、バラなら花屋で手に入る。皆でナナに似合うバラを選びに行こう」


ナナの花冠は、タンポポやレンゲやクローバーなどの野の花をベースに、バラを数本入れる事に決まった。



ナナのお誕生日前日、ロックはベン親方にナナを呼び出してもらい1人で討伐に行った。今日はすぐに狩れるビッグラズだから、素早く倒して帰路につく。


だいぶ早い時間に孤児院へコウを迎えに行き、家で待っているモモと合流すると、花屋に向かう。


花屋には、4種類のバラがあった。柔らかい黄色で小さなバラ、赤くて大きなバラ、やさしいピンクのバラ、白くて真中がグリーンのバラ。どれも綺麗でナナに似合いそうだ。


「ナナは黒髪だから、どの色も似あいそうで悩むな」


「まよう、ぜんぶいい」


「全部じゃだめなの?」


結局、バラを4種類、全部1本ずつ買う事にした。ロックとモモとコウは、バラを持って草原に向かう。


タンポポは、モモがすぐ見つけた。タンポポの近くにロックが座り、クローバーの花葉やレンゲや野菊を足しながら花冠を編んでいく。コウとモモは、ロックに編み込むバラを手渡す係だ。


小さな黄色いバラは1本にいくつか花がついていたので、小分けにしてバランスよく手渡す。


赤くて大きなバラ、小さな黄色いバラ、やさしいピンクのバラ、小さな黄色いバラ、白くて真中がグリーンのバラ、小さな黄色いバラの順番に編み込んで、花冠の完成だ。


「「できた!」」モモとコウが手を取り合ってくるくる回る。


「できたな、ナナが喜んでくれるといいな」


ロックは、持ってきた箱に花冠をそっと入れて、サコッシュにしまった。



ナナの誕生日当日は、冒険者をお休みして、ラグの住人になってみんなでのんびり過ごす。ナナに、誕生日を祝う事は話してある。


夕方になるとロックはテーブルに花を飾り、夕飯の準備をはじめた。今日のナナは、ラズベリーの入ったお茶を飲んで、ラグで待っているのが仕事だ。


テーブルに、トマトスープとステーキと人参のグラッセ、ナナが大好きなロックの料理が並ぶ。瞳を輝かせるナナを、予想通りだとみんなが笑顔で見守る。


ナナが席につくと、ロックとモモとコウが、ナナを抱きしめて口々にお祝いを言う。


「ナナ、誕生日おめでとう」「「ナナちゃん、おめでとう」」


ロックが、ナナの頭にそっと花冠を乗せる。


「ナナちゃん、きれい」コウが、ほわほわの笑顔でナナを見ている。


「みんなで、ナナちゃんに似合うお花を選んだの。やっぱり似合ってる」モモが、自信満々で胸を張る。


「ナナ、すごく似合ってる・・・」ロックの顔が真っ赤だ。


ナナは、洗面台の鏡に急ぐ。鏡を見て「キャー!すごく素敵!ありがとう!」と大喜びだ。


ナナが大好きなものだけの夕飯をみんなで食べる。


ナナは、トマトスープを一口飲んでホゥっと一息、ステーキを良く噛んでじっくり味わい、人参のグラッセを大事に食べる。人参のグラッセはナナだけ大盛だ。どれもナナの大好きなロックの味だ。


御馳走を食べ終わると、ナナは花冠を箱に大切にしまい、箱に今日の日付を書いてキャリーバッグに保存する。

ドライフラワーにして部屋に飾るか、このまま保存するか悩ましい。幸せな悩みだ。


今日は、みんなでお話ししながらラグで寝る予定だ。楽しい夜がふけてゆく。



今日、ナナは15才になった。15才最初の日は、特別幸せな1日だった。


ナナは15才になりました。

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