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小さな手と肉球で商品を渡してくれる予定

夕ご飯を食べて後お風呂を済ませたら、ナナはすぐさまアトリエに向かった。


『加工済みのアクセサリーパーツ』をチェックするためだ。


イスラエル製のベゼルワイヤーで包んだ天然石がたくさん出てくる。石座にセッティングしたものもいくつかある。

まだ金具を取り付けていないブレスレットやネックレス。革紐に通せるように通し穴を拡張した天然石ビーズは種類が多い。

メガネ留めしたドロップ型の貴石もいっぱいある。


うーん、この中だったら今回使えるのは大穴の天然石ビーズとメガネ留めした貴石くらいかな。


「あーあ、あの琉球ガラスのカレットがあればなー」


ガラス好きのナナは、琉球ガラスの工房からガラスカレットを大量購入していた。大小合わせると3Kgくらいあった。

ちまちまレジンの封入に使っていたけど全然減らなかった。今あれがあればランプワークができたのに。そういえばミルフィオリ(イタリア製の模様が入っているガラス棒)のカレットもあった。悔しい2Kgくらいあったのに。私のバカバカなんで地球に置いてきたの。

ナナは、1点を見つめて心の中で早口でまくし立てる。


「どうしたナナ、大丈夫か?声が聞こえるから誰か一緒にいるのかと思ったぞ」ロックが心配して覗きに来た。


あ、やばい声に出てた。危ない人になってる。後ろを振り向くとみんないる。気まずい。


「ナナちゃん、かべとおはなししてたよ」コウに見られてた。コウ、眉毛下がってる。心配かけてごめん。


「黒目が大きくなって瞬きしないから心配した」モモにまで心配されてた。ごめんよ。


「ナナ、瞬きはしたほうがいい」


「はい」ナナは、慌てて瞬きして見せる。



アトリエのラグにロックが座って、モモとコウが寝転ぶ。全員こっち見てる。みんなに見守られてる。心配かけて申し訳ない。


うん、ちょっと気分転換しよう。ナナは、木箱から『いろんな天然石ビーズが入った大きめの仕切りケース』を出す。


「ロック、このケースの中から好きな石を選んで」


ロックはケースをのぞき込み、ひとつひとつ手に取って眺める。


「どれでもいいのか?」


「うん。好きなの選んで」


ロックは、深い青のタイガーアイとワインカラーのタイガーアイを手に取る。


「ナナ、これでお揃いにしたらどうだろう」


「タイガーアイ、いいかも。この深い色とカットが好きなんだ。光の反射で虎の目みたいに見えるからタイガーアイなんだよ。幸運の石だよ」


ナナは作業用のプレートの上に2色のタイガーアイを並べてしばらく眺めた後、天然石のケースから水晶を2粒とパンプキン(縦筋の入ったプレスビーズ)のチェコガラスビーズを2粒取り出した。

サージカルステンレスの丸ピンに青のタイガーアイ、チェコガラスビーズ、水晶の順で通していく。


「うーん、間に小粒なビーズを挟んだ方がいいかな」


丸ピンから全部外して、チェコガラスの小さなボヘミアンビーズを間に挟みながら、青のタイガーアイ、チェコガラスビーズ、水晶の順で通していく。

丸ピンをカットして、先を丸ヤットコで先を丸めてカンを作る。そこに丸カンをつけて、ロックの方の守り石は完成。


ワインカラーのタイガーアイで、同じようにナナの分も作る。ナナの分は、18金メッキのサージカルステンレスを使った。


「ロック、どんな効果を付けたい?」


「状態異常への耐性が上がるとうれしい。それから、呪いの類を防げると助かる」


「やってみるね」


まずは、丸ピン。


「守護」

ロックの体が正常に保たれるように、悪い効果が体に入り込まないように、もし悪い効果が入ってきてもデトックスするようにイメージする。

イメージそのままに、状態異常を跳ね除ける保護と状態異常の解除と念じながら、丸ピンに金属魔法を使う。


次は丸カン。


「聖守護」

呪いを跳ね返し、ロックの心と体を光で守る様子をイメージする。

イメージそのままに、呪詛返しと呪いからの守護と念じながら、丸カンに金属魔法を使う。


2つの魔法をかけた後、手元の守り石がふわっと光った。


鑑定をかける。

『タイガーアイ・水晶。守護と聖守護を祈願した守り石。状態異常を跳ね除ける保護と状態異常の解除、呪詛返しと呪いからの守護が付加されている。ロック用』


次は、ナナの守り石。一瞬、自分用には魔法効果アップを付けようかと思ったけれど、魔法制御の微調整が効かなくなりそうなのでやめておく。

ナナは、ワインカラーの守り石にも、青い方(ロック用)と同じ効果をつけた。見た目も効果もお揃いだ。


それぞれの守り石をこげ茶色の革紐に通す。


「はい、これはロック用。長さの調整ができるように結んだから、チョーカーにもネックレスにもできるよ」


「ありがとう、普段は緩めに垂らしておいて、討伐時はチョーカーにするといいかもしれないな」


ロックとナナは、守り石が首下にくるようにお互い調整し合いながら身に着ける。


「ロックとナナちゃん、おそろいー、にあうー!」モモがナナの肩に乗ってナナの守り石にポフポフふれる。


「おんなじー、にあうー」コウは、ロックに抱っこしてもらいロックの守り石を小さな手で持って、ナナとロックを交互に見てる。


ロックの抱っこから降りたコウが、意を決したように「ナナちゃん、ナナちゃん、コウも、おみせ、てつだう」と真剣な顔で宣言した。


「モモも!モモも手伝うー」モモが床にゴロンと伸びながらゆるーく宣言する。


こうしてナナは、最強の売り子さん達を手に入れたのだった。


ひまわり祭りの『67』の露店は、かわいい売り子さんが、小さな手と肉球で商品を渡してくれる予定だ。











ロックとナナの守り石

挿絵(By みてみん)

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