コウ(4)
ラグに様子を見に行ったら、意外にもコウは元気だった。
「ノットさん、コウ、えらいっていってた」
コウが、モジモジしている。かわいい。どうしよう、すごくかわいい。
コウにとって役所の人との話し合いは、えらいと褒められた事で、良い出来事に変わったようだ。
「コウは、今日のご飯は何がいいと思う?」
「ごはん、またもらえるの?」
コウが、コウが、ナナを泣かしに来る。
「ご飯は毎日3回食べるよ。今日も明日も明後日も1日3回だよ。絶対だよ」
ナナは、涙を目に溜めながら早口で言う。
コクコクとコウが頷く。
「今日は特別にフレンチトーストにします」
「とくべつ」
「そう、特別に。ジャムも乗せます」
「じゃむ、わからない・・・」
「すごく美味しいやつです」
「とくべつにすごくおいしいやつ・・・」
「バターもおいしいよ!」モモが強めに主張する。
「蜂蜜も最高だぞ」ロックがニヤリとする。
「すごいね、すごいやつかも・・・・」
すごいやつを、ロックとナナとモモとコウで、たくさん食べた。
コウは、生まれてはじめておかわりをした。
翌日、ノットさんがお昼過ぎに家にやって来た。
「コウ君は、どうしたい?このままロックさんの家にしばらくお世話になるかい?それとも、お友達がいっぱいいるところに泊まるかい?」
「ここに、いたい。ロックさん、おせわに、ここに」
「コウ、ロックでいい。ロックさんじゃなくて、ロックだ」
「ロックさ、ロック、おせわに、ここに」
「わかった、大丈夫だ」
「ロックさん、お仕事は冒険者ですよね。日中は留守にするでしょう?朝、孤児院に連れてきてください。お預かりします」
「コウ、明日から孤児院で俺たちの帰りを待っていてくれるか?俺たちか帰ってきたら、おかえりと言うのがコウの役目だ」
「まってる。おかえりっていう」
「では、ノットさん、それでお願いします」
「わかりました。預かりの子供も多いから、大丈夫ですよ」
「よろしくお願いします。ご配慮ありがとうございます」
「ナナさん、そんなにかしこまらないで下さい。それが私の仕事です」
コウが、しばらくこの家に住むことになった。
コウは教わっていないので「ありがとう」が言えません。
コウが自然に「ありがとう」と言えるまで、もう少しかかります。




