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コウ(1)

しばらく辛いお話が続きます。小さな子供が辛い目に合う話が出てきます。ご心配な場合は、「コウ」数話を読み飛ばして下さい。でも、コウは必ず幸せにします。

ピコン


『光と共に渡りし者がデュシス草原にいます。子供です』


突然メッセージの人からメッセージが来た。初日以来だから半年ぶりだ。


「わっ!ビックリした!」


ソファに寝転んでボーっと『特技:充電』でスマホを充電していたので、突然のメッセージに飛び起きた。


ナナは、討伐から帰りがてら屋台でご飯をすませて、お風呂の前に自室でゴロゴロしていたところだった。


「ナナ、どうした!」


ロックが飛んでくる。


ナナは慌ててロックに告げる。


「メッセージの人からメッセージきた」


「ナナに初めて会った時に言ってたメッセージか?」


「そう。見て」

ロックにメッセージを見せる。


「子供です?子供が1人で草原にいるのか?」


「これ、見に行ったほうがいいよね?子供じゃ水も何も持ってないかも」


「よし、行こう」


「モモも行く!」


ナナとロックは、急いで用意をして草原に向かう。お風呂入る前でよかった。


町から出て、草原を見渡す。


ピコン


『マイステータスのマップに、緑の点があります。そこにいます』


そういえば、初日に見たマイステータスのマップに、赤い点々出てたな。

ナナは、スマホのマイステータスを表示させて、現在位置をタップする。


「あ、緑の点あった」


「行ってみよう」


ナナとロックは、それぞれランタンを持って早歩きで向かう。

モモは後ろを走ってついてくる。


緑の点が示した場所に近づく。


「いた!」夜目のきくモモが駆けていく。



草原の真ん中で、やせ細った子供が体育座りをして俯いていた。


ナナとロックは、そっと近づく。


「だいじょうぶ?」

モモはタタタタッと駆けよって声をかける。


その子はゆっくりと顔を上げる。


「どこから来たの?」

モモが、スリッと子供に寄り添う。


「ベランダ」とその子は答えた。


「ベランダという国から来たのか?」


「うちのベランダ」


「ベランダって?もしかして、2階の窓とかについてる、あのベランダ?」


その子はコクリと頷く。



「俺はロックだ」


「私はナナ。この子はモモ。君のお名前は?」


「コウ」


コウは、ぼんやりとナナを見る。


「とりあえず、連れて帰ろう」


ロックが、コウを抱き上げた。


こういう時、ロックは「どうしよう」と言わない。迷わない。



帰る道すがら、ナナはコウに話しかける。


「コウは地球から来たの?」


コウは、首をかしげる。地球からじゃないのかも。


「お腹は空いてる?」


コウは、コクリと頷く。


「じゃあ、これ食べながら行こうか」


サコッシュから飴を出してコウに渡す。


コウは、ナナが手のひらに乗せた飴とナナを交互に見つめて、そおっと口に入れた後、ぽろぽろと涙を流した。


ロックは、コウをぎゅうっと抱っこして、背中をゆっくりと撫でていた。


モモは、ただ黙ってついてきて、心配そうにコウを見ていた。





「ここがウチだよ」

ナナが扉を開けて招き入れる。


「このラグに座ってるといい」

ロックがコウをラグにそっと降ろす。


「バケットまだ残ってるはずだから持ってくる、ナナは暖かいミルク作ってくれ。モモはそばにいてやってくれ」


「わかった」


「了解」



「コウ、これ食えるか?」


コウは、バター付きのバケットを眺めて、少し考えて「食べてもいいの?」と聞いた。


「いいぞ。コウのパンだ」


コウは恐る恐るかじってみる。


「コウ、ミルク飲める?ぬるめだから、すぐ飲めるよ」


コウは「ぎゅうにゅうだ」とポツリと呟いて、ミルクを少しだけ飲んで「あまい」と顔を上げた。


食べているコウをみんなで見守る。





「ロック、私お風呂温めてくるね。できたら、一緒に入ってあげてくれる?」


「わかった」


「体に傷があるかもしれないから」


「大丈夫だ。わかってる」



ナナは、お風呂の温水を魔法で作りながら、コウのことを考える。


コウ、すごく痩せてるけど、年はいくつなんだろう。小学校には上がってないよね。


ミルクをぎゅうにゅうって言ってた。やっぱり日本人?


夜なのに、ベランダに出されていたんだろうか。



メッセージの人は、どうしてナナにメッセージを送って来たんだろう。



「ロック、お風呂わいたよー」


ロックは、コウとお風呂場に入っていった。




ロックが険しい顔でコウを抱き上げて風呂場から出てくる。


「ロック、顔がこわいよ。コウが見てるよ」


「モモ、コウと一緒にいてくれるか?」


「わかった」


ロックがラグの上にコウをおろす。


モモは、コウの横で丸まる。


「コウは、ネズミとモグラどっちが好き?どっちが美味しいと思う?」


「たべたことないからわからない・・・」


「屋根裏でネズミたまに獲れるよ」



モモがサラリと暴露した衝撃の事実が気になるものの、ナナはロックと一緒にキッチンに移る。



「ナナ、コウは年がわからないそうだ。後で鑑定してみてくれるか?」


「人の鑑定したことないけど、やってみる」


「この国の法律だと、10才以下の子供を拾ったら、役所に届けを出さなきゃダメなんだ」


「そうなんだ、でもいきなり役所に連れて行くのは・・・」


「わかってる。とりあえず、明日は俺だけで行ってくる。拾ったという届けだけ出して、すぐ帰ってくる」


「うん。待ってる」



ナナは、ラグに座ってるコウに、ゆっくり近づいて座る。


「コウ、今日は私と寝る?ロックと寝る?それとも1人で寝たい?」


「モモとねたい。ここでねてもいい?」


「じゃあ、私もここで寝よっと」


ナナがラグにゴロンと転がる。


「俺もここで寝よう」


ロックも転がる。


三人と一匹は、ラグに転がって、ぎゅうぎゅうで眠った。


ロックが夜中にこっそり起きて、上掛けを3枚持ってきた。


ナナは起きていたけれど、寝たふりをしてかけてもらった。


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