お姉さんの美貌は説得力がある
採ったまま麻袋に入れてサコッシュに納まっているサンザシ。森で採ったすごく酸っぱい実だ。
この酸っぱい実を何かに加工できないかと、ギルドやお店で雑談がてら聞いてみたら、コンポートやドライフルーツにしてお茶に入れると美容にいいと教えてもらった。
女は美容という言葉に弱い(当社比)。美容にいいと聞けば試したくなってしまう。
教えてくれたのが、『メリーローズ』のすっごく綺麗なお姉さんだったので猶更だ。
お姉さんの美貌は説得力がある。ナナは、サンザシを見かけるとスルー出来なくなってしまった。
討伐で森に行くたび、帰りについついサンザシを採ってしまう。
ナナは、コツコツ採取して麻袋ぱんぱんに貯まったサンザシを、ジャムにすることにした。
教えてもらったコンポートも試したかったけど、ロックの家にはサンザシをひたひたにするほどのお酒がなかった。
ジャムなら砂糖か蜂蜜と煮るだけだし、パンに乗せてもお茶に入れてもおいしい。
サンザシを半分に割って、種を取って小さな角切りにする。
小さいものを小さくカットするのは大変だ。
面倒になったので、半割にして種だけ取ったら、風魔法でざざっとカットする。
大きい欠片と小さい欠片が混ざってるけど、これはこれで、多分食感が楽しいからいいと思う。
サンザシと水を入れてくつくつ煮る。水気が少なくなったら鍋の中のサンザシの3割分くらいの砂糖と少しの蜂蜜を入れてかき混ぜて、鍋を火からおろして完成。
こちらのお店で売っているジャムみたいに、砂糖と蜂蜜をもっと入れたかったけど、どちらもお高いので自重。
水魔法と火魔法で湯煎した瓶に、サンザシジャムを詰める。サンザシ、あんなにいっぱいあったのに瓶2本に納まった。
焼きたてパンがあるから、乗っけて食べよう。お茶にも入れちゃおう。
ロックは、サンザシジャムを見て、すごくよろこんだ。
ロックのお母さんが生きていた頃、新米冒険者のロックが森で採ってきたお土産の果物で、時々ジャムを作ってくれたそうだ。
家族が亡くなって、ロックがソロだった頃は、あまり森の恵みを採ってきて家で食べたりはしなかったそうだ。
お肉は持って帰って食べるけど、見つけてもアケビや山葡萄やラズベリーを採って帰ろうとは思わなかったみたいだ。
森の恵みは、し好品が多いから、わざわざ採取したり加工したりする余裕がなかったそうだ。
ナナは、面倒くさい事が苦手なので、生で食べられる果物ならそのまま食べる派だ。
今回は、酸っぱくて生で食べられないし、美容に良いからサンザシジャムを作ったけど、普段のナナは、せいぜいお肉のソースに入れるくらい。
でも、こんなにロックがよろこんでくれるのなら、これからも時々ジャムを作ろうと思ったのだった。
面倒くさがり屋のナナは、家事に魔法を多用します。便利な家電扱いです。




