ドライハーブを魔法で作ろうプロジェクト
ナナは、手を抜くためなら努力を惜しまないタイプだ。
『ドライハーブを魔法で作ろうプロジェクト』
今日は朝から、水魔法でローリエとローズマリーを乾燥させようと試行錯誤していた。
せっかくみんなで採ってきたハーブを無駄にしたくないので、庭に生えてた草で実験だ。
まず、水魔法で水だけを抽出する。
これは、今のナナではすごく難しかった。
細くて薄い葉っぱの少ない水分を魔法で集めるのは、葉っぱ1枚だって難しい。
がんばれば出来るかもしれないけれど、今は1枚に10分以上かかる。とても40cmくらいある麻袋2個分とか出来る気がしない。
干す方がはるかに楽だ。それでは意味がない。
「ナナちゃん、さっきからずっと葉っぱ見つめてどうしたの?だいじょうぶ?」
水魔法で水分を飛ばした葉っぱより乾いた心が、モモの気遣いで少し癒される。
もうちょっと楽にできないだろうか、とナナは考える。
そういう時は、発想の転換だ。
ナナは、ふと思いつく。
風魔法と火魔法で温風を作ってあてたらどうだろう。
ドライヤー的なアレだ。
ナナは、水魔法と火魔法を使ってお風呂のお湯を作れるようになっていたので、組み合わせて魔法を使うのは少し自信があった。
ナナの予想では、甕の中に入れた草が、中でカサカサと舞いながら乾燥する予定だった。
しかし、予想に反して、草の量からは想像がつかないくらい大きな炎が甕から上がった。水魔法ですぐ消したけど、危なかった。一歩間違えば大惨事だ。
結論、火と風は匙加減を誤ると危ない。
どうやらナナは、同じ得意魔法でも、火魔法の方が風魔法より相性が良いようで、同じくらいの力(思い?)で魔法を使うと、火魔法が強くなってしまうようだった。
結果、今回は強い火魔法を風で煽った形になって、炎があがってしまったようだ。
風魔法を強めに、火魔法を弱めに使えれば、できそうではある。
しかし、別々の魔法を違う強さで同時に使うほどの魔法の力量は、今のナナにはなかった。
お湯を作るのは、火魔法と組み合わせるのが水だったから簡単だったのかもしれない。少なくとも燃えないから。
気が付くと、ナナの近くにいたはずのモモが、離れた物陰から心配そうにこちらを見ていた。尻尾がだいぶ太かった。
「ごめんね。モモちゃん怖がらせて」
ナナは、モモに近寄ってゆっくり頭を撫でた。
よし、わかった。今は無理だ。
今回は普通に干して乾燥させよう。逃げるんじゃない。戦略的撤退だ。
もうちょっと魔法が上達した頃に必ずリベンジすると、ナナは固く心に誓うのだった。
ロックが、直系1mくらいありそうな平かごを2つ出してきて、ガーゼのように薄い布を敷き、その上にローリエとローズマリーを薄く広げていく。
それを風通しの良い日陰の部屋に干すらしい。
枝ごと持って帰ってきた分は、スワッグみたいに少しずつ纏めてキッチンに吊るしていた。やだオシャレ。ロック素敵主婦みたい。
ドライハーブって天日干しだと思っていたけど、直射日光NGなんだって。熱で香りが飛んじゃうんだって。
ナナは、火魔法を使うのは色々間違っていたと今頃気づく。
そうか、熱NGだからロックは水魔法で水分をって言ったのか。
『ドライハーブを魔法で作ろうプロジェクト』リベンジへの道のりは遠い。
ロックが有能すぎる件について。
いっぱいお手伝いしてたんだろうな。




