初めての固定パーティ(ロック視点)
ロック視点です。
ロックは、12の頃からずっとソロ冒険者だった。
必要があれば臨時のパーティを組むけれど、固定のパーティで活動した事はない。
今まで何度か固定パーティ加入の誘いはあったけれど、すべて断ってきた。
ロックは、家族と暮らしたこの土地で生きていくことを決めていた。
名を上げた冒険者は稼ぎが良い。
ほとんどの固定パーティは、冒険者として名を上げるために、良い環境を求めて王都や他領に移動する。
パーティメンバーが武者修行に行くと決めた時、ロックはそこでパーティを抜けることになる。
だから、決して固定パーティには入らなかった。
ナナと暮らし始めて、ロックは初めて固定パーティを組んだ。
ナナとモモと楽しく話しながら狩場まで移動し、協力して魔物を討伐して、昼ご飯も一緒に食べる。
行きにモモが森の恵みを見つけ、帰りにナナと一緒に採取して、その日の夕飯にそれを皆で食べる。
夕飯の時には、ナナがロックの向かいの椅子に座り、モモがテーブルの端に座る。
ロックの家は7人家族だったから、テーブルが大きい。
1人になっても片付けられず、家族全員分7脚ぎゅうぎゅうに置いていた椅子は、今は4脚だけ残して別の場所に置いている。
一人じゃない冒険、一人じゃない食事。
自分の事を考えてくれる人と一緒に暮らす心地よさ。
ナナから、アクセサリーをプレゼントされた。誕生日プレゼントだそうだ。
ロックの髪色に合わせてナナが作ってくれた、ロックのためのアクセサリー。
特殊性能の付加もうれしかったけれど、ロック専用という鑑定が出た事が、ロックは一番うれしかった。
ロックは、ずっと1人だった。
家族もなく、仲良くなった冒険者は他の土地へと旅立って行く。
冒険者として名を上げて稼ぐ事より、稼ぎが少なくても家族と過ごした土地に留まる事にこだわったロックは異端だった。
そんなロックに、寄り添う者はいなかった。
ナナは、キャリーバッグがマジックバッグに変化した時、ロックも使用できるようにした。
サコッシュがマジックバッグに変化した時とは状況が違う。
スマホでロックのマイステータスを表示できるようにした。
ロックの誕生日を、来年からずっと祝うと言った。
ずっとここにいて、キャリーバッグもスマホもずっと一緒に使うという意味なのだろうか。
そうだといいなとロックは思う。
ナナは、大切なものはチキュウに置いてきたと言った。
でも、チキュウに帰りたいとは言わない。
この町は、国の端っこだ。
情報が流れてくるのは最後だし、ここまで辿りつかず入ってこない情報も多い。
王都に行けば何かわかるかもしれない。
ナナがチキュウに帰りたいと思った時は、おそらく王都に行くだろう。
その時、自分はどうするのだろうとロックは思った。
亡くした家族が何よりも大切だったロックに、新しい大切なものができつつあります。




