プレゼント
ロックの誕生日が判明した日の翌日、ナナは地球の材料でピアスを作っていた。
用意したのは、8mmサイズのラピスラズリのカボションとカン付き石座とピアス金具、8mmの石に合わせたサイズの小さな羽の飾り。
石座とピアス金具の素材はシルバー。羽の飾りはカレンシルバーだ。
カレンシルバーは、1つ1つ手作りで銀の純度がすごく高い。工業製品にはない風合いがあって、ラピスラズリと相性がいい。
ナナは、4爪の台座にラピスラズリをセットして微調整しながらヤットコで留めていく。
爪を4本とも倒してきっちり留まったら、ピアス金具と接着する。
ナナは、台座の爪を倒し終わった時点で、念のためにロックにピアスホールの位置を確認する事にした。
確認してよかった。
ロックのピアスホールは、戦闘用のアクセサリーで全て埋まっていた。
「あれ、オシャレで付けてた訳じゃないんだ」
ちょっとした毒とかを防ぐ効果があるらしい。それはちょっと、外してこっちつけてとは言えない。
かと言って、ロックに新しいピアスホールを開けさせるのも忍びない。
ナナは、ピアスは諦めてイヤーカフに仕立てる事にした。
一度倒した爪を立てると石座が使えなくなってしまう可能性がある。
これはどこかで再利用だ。加工済みのアクセサリーパーツが入った仕切りケースに放り込む。
ナナは、同じサイズの別のラピスラズリを使う事にした。
ナナは、新しいラピスラズリを見つめながら、ロックの事を考える。
ロックは、シンプルな金属の玉のピアスと輪っかのピアスを付けていた。
1つくらい存在感のあるものがあってもいいかもしれない。
ロックの見た目は、目立つ方ではないけれど、自然体な感じがしていいと思う。
雰囲気は年齢よりも落ち着いているが、見た目は日本人より少し濃いめの高校男子という感じだ。
髪は短めで色がシルバーアッシュなので、ロック自身は白髪のようだと言っていたけど、お日様の下だとぼんやりと光って見えて、素敵な色合いだと思う。
ナナは、手持ちのアクセサリー素材を眺めながら、頭の中で形にしていく。
確か、カレンシルバーの大き目の羽のチャームがあったはずだ。あれをイヤーカフに仕立てよう。
大き目の羽のチャームをイヤーカフの形にヤットコでゆっくり丸めてゆく。
丸まったら耳にあてがってみながら形を整え、ラピスラズリを接着する位置を決め、リューターで石の形に合わせて削っていく。
削った場所を研磨して、ラピスラズリを接着する。
ラピスラズリをセッティングした場所をほんの少し覆うように、小ぶりな羽飾りを接着する。
ラピスラズリと羽のイヤーカフが出来上がった。
ロックのシルバーアッシュの髪色とチャコールグレーの瞳に、藍色はとても似合っていた。
最初にピアスを作った時より、たくさんロックの事を考えて作ったイヤーカフは、きっとロックに馴染むだろう。
カレンシルバーを作っているのは、ミャンマーやタイの山間民族カレン族です。
ラピスラズリを少しだけ覆うように羽の飾りをつけたのは、石がはがれて落下するのを防ぐためです。
ナナは、レシピを残すために、スケッチブックにあれこれ書き込みながら作業します。
地球時代の癖で、修理用に最低ワンセット分は素材を確保しておきます。




