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ナナは『威嚇』を封印する事にした

ナナが、冒険者としてギルドに登録した日、ロックと二人でパーティを組んで討伐依頼を受けた。

ファミリアのモモも一緒だ。


ビッグラズという魔物を2頭。

ロックは、ビッグラズを豚みたいな魔物と言っていたけれど、絵姿を見ると猪だった。


これは、おいしい依頼だ。猪肉が手に入る。

”討伐する”という依頼の場合、討伐した時点で依頼達成なので、証拠の右牙以外のお肉とか皮は自分のものになるらしい。


町から近い入口から、デュシス森林に入る。


歩いていると、時々モモが「クルミがあるよ」とか「ラズベリーがあるよ」とか教えてくれる。

おかげで森の実りに目移りするが、まずは依頼を達成しないと。ナナは自制に必死だ。



森に入って1時間も歩くと、大きな木の陰から「ンゴッンゴッ」という鳴き声(鼻息?)が迫ってきた。


ズザッとナナ達の前に立ちふさがる。

突然のビッグラズ登場。


「ナナちゃん!威嚇!」


モモの声に反応するように、ナナは瞬時に動いた。


「シャーー!!ンニァァァゴゥ!!(白目)」

トットットットッ


「シャハーー!!ンナァァーゴゥ!!(毛逆立て牙むき出し)」

トットットットッ


誰よりも早くビッグラズに切りかかっているロック。


左右で威嚇を展開する一人と一匹。


ロックの視界に、トットットットッと一人と一匹が容赦なく入ってくる。


「ブフォッ・・・!ちょ、やめ」


ビッグラスは、一人と一匹をチラリとも見ない。威嚇はロックだけに効いていた。

止まらぬ笑いに震えながらビッグラズに切りかかるロック。


ふと、自分が魔法使いだと思いだしたナナが、威嚇をやめて尖らせた氷をビッグラズの頭の上に落とす。


こうして、ナナの記念すべき初討伐は達成した。



ナナは、もっとこう自分は、命を奪う宿命的な感じで平和な現代日本人らしくショックを受けると覚悟していたのに、白目顔をロックに見られたショックの方が、ずっとずっと大きかった。


ナナは、『威嚇』を封印する事にした。



2頭目の討伐に向かう途中、ロックが「ナナって、『魔力付与』あったよな?」と言ってきた。

あれから一切『威嚇』に触れてこないロックはやさしい。


「あったかも」


「俺の剣に、魔力付与できる?」


「ちょっとマイステ見てみる」

魔力付与をタップ。ナナ、だいぶ手慣れてきた。


『魔力付与』

『武器や防具などに、魔力を使って魔法効果を付与する。効果時間は20分』


「まただよ。またやり方書いてないよ。そこ一番だいじなのに、マイステめ!」

ナナが、「クウッ」と言いながら愚痴る。


「俺、魔法使いが魔力付与してる所を見た事ある。付与したい場所に触れて”炎付与”って言ってたな」


「ほんと?やった!それでやってみる!氷付与!」


「冷てえ!なんで鞘に氷を付与するんだよ」


「あ、ごめん、つい」


「火じゃなくてよかったね、ロック。火ならズボン燃えてたね」

モモが悟ったような顔でロックをなぐさめる。


本当に危ない。1秒も考えずに試してた。火じゃなくて良かった。

ナナは、氷を選んだ自分グッジョブと胸をなでおろした。


「モモ、鞘に魔力付与はいらないけどな」


「20分で消えるよ」


「ナナ、次は戦闘前に剣先にかけてくれ」


「わかった」



結果、魔力付与はすごかった。

炎をまとったロックの剣は、一撃でビッグラズを倒してしまった。


ビッグラズを倒した瞬間、お肉が焼けるいい匂いがして、ナナのお腹が鳴ったのは内緒。


こうして、無事にナナの初討伐依頼は完了したのだった。




ナナ達は、森の恵みを採りながら来た道を帰る。

麻袋をいっぱい持ってきたので、サコッシュに入れていく。


お肉の焼ける匂いとラズベリーの匂いに思いを馳せながら、二人と一匹はホクホクで帰路につくのだった。



ギルドで達成の報告に右牙を提出すると、達成報酬は口座カードに振り込まれる。

討伐依頼は1人1頭だから、こういう依頼はだいたいパーティ人数分討伐するらしい。


討伐報酬は銀貨1枚。



今日は、減る一方だったナナの口座カードのお金が少しだけ増えた、記念すべき日。


ナナは威嚇を封印しましたが、ナナとモモの威嚇、もっと書きたい。

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