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ナナの職業をどうするか問題

ナナとモモがロックの家での暮らしがはじめて1か月くらい。

ナナは、悩んでいた。


ロックが休みの日に、慣れない竈でのご飯の作り方、薪の割り方なんかを習ってはいるけど、1人で任せてもらえるほど上達してない。

手押し式の井戸は使えるようになったから、今ナナがロックの留守中にできる事は、洗濯と掃除くらいだ。


だから、家事で貢献できるまでにはしばらく時間がかかりそうだし、何より精神年齢45才の身に、ただ飯食いはツラかった。


そこでぶち当たったのが、ナナの職業をどうするか問題。

今、ナナは、冒険者になるか、アクセサリー作家を続けるかで悩んでいる。



実は、ナナは魔法を使える。まだLv20だけど。14才ならまずまずのLvらしい。


きっかけは、ロックの家に住み始めて3日くらい経った頃、野性味あふれる庭で草むしりをしていた時だった。


膨大な量の雑草を前に「これ、一気に刈れたらいいのに」とナナが呟いた。


その呟きを拾ったロックが、マイステータスに『得意魔法』という項目があったことを思い出したのだ。


得意魔法:水(氷)・火(炎)・風・金属


風魔法、使ってみたら便利だった。そして、むちゃくちゃ楽しかった。

その時はまだLv1だったから、偉力もそんなに無くて、家の壁や囲いにあたってしまっても傷つかない。

コントロールがアレなナナでも気軽に放って、スッパスッパ草を刈れた。


伸び放題だった雑草を、あっという間に高校球児の五分刈りくらいまで、スッキリ整える事ができた。


この成功体験のおかげで、ナナの魔法へのモチベーションは爆上がりである。


ナナは、生活の中の色々な事で魔法を試しだした。草むしりのスカッと感を味わうために。


火魔法で、お風呂や竈の点火ができるし、ランプやカンテラに火を灯す事もできる。

水魔法で、食器洗いくらいの水だったら盥に注げるようになった。

水魔法と火魔法で、小さな水瓶くらいのサイズなら温かいお湯が沸かせるようになった。

水魔法で、1面ずつなら外壁を水洗いできるようになった。

風魔法で、木の実を一気に落とせるようになった。

水(氷)魔法で、肉用保冷庫の氷が作れるようになった。


そんな毎日を送っていたら、マイステータスのナナの『職業』が、いつの間にか『魔法使い』になっていた。

毎日、知らないうちに魔法使いのトレーニングをしていたようで、それに伴いじわじわとLvも上がっていた。


魔法は楽しい。仕事にしたい。


でも、冒険者になって魔法を使うなら、魔法で生き物(魔物)を倒す(殺す)ことになる。

ナナは、冷静に生き物を殺せる自信がなかった。



ナナは、ヘーリオスに渡って来た時、地球で使っていたアクセサリー作成の道具を一式入れたキャリーバッグを持っていた。


地球の素材を使ったアクセサリーは、もしかしたら高値で売れるかもしれない。

でも、アクセサリーの材料は、いつかは無くなる。

アクセサリー作りは好きだけど、ヘーリオスの材料でどれくらい通用するのかわからない。


それでも、ナナはアクセサリー作りを諦められなかった。

地球のやりかたで、ヘーリオスの素材を使ってアクセサリーを作ってみたかった。


何より、会社員を入社2年目でドロップアウトしてから、20年くらいナナを支えてきてくれた仕事だ。


細々とでいいから、続けたかった。



悩みに悩んで、ナナは、ロックに相談することにした。



「両方やればいいだろ」

それが、ロックの答えだった。


「魔物を殺すのは慣れるしかない。極端な話、食べ物を食べるなら殺すしかない。

今ナナが何も殺さず肉が食えるのは、誰かがかわりに殺してるからだ。

魔法使いとして冒険者にならなくたって、どこかで魔物に襲われるかもしれないし、生活に必要な事だ。


アクセサリー作成は、ナナの持っている特技を見ると、やるべきだと思う。

ただ、慣れない環境で、物づくりで一人前になるのは時間がかかる。

それなら、冒険者をしながらアクセサリーを作ればいい。

素材を自分で集められるようになれば、きっと儲かる」


その日、『冒険者 魔法使いナナ』が誕生した。


やっと冒険が始まる予感。まだ予感ですが。


地球での町田奈々は、45歳(独身)自宅の自室をアトリエにして細々とアクセサリーを制作する作家でした。

奈々が地球に戻るのをなぜ早々にあきらめたのか、仕事用キャリーバッグをなぜ持っていたかなど、小さい謎は物語の中で、少しずつ明らかになります。ナナのペースで・・・。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「その呟きを拾ったロックが、マイステータスに『得意魔法』という項目があったことを思い出したのだ」 いつのまにかロックにステータスを見せていたんだね。
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