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伝説の男子学生は、暇つぶしに人助けをしています。

作者: 殿馬 莢

 女生徒が歩道から交差点に差し掛かろうとした時、

 交差点のちょっと先に少し蛇行している乗用車が見えた。

 かなりスピードが出ており、まっすぐ突っ込んできた。


 ギャギギギギーッ!


「きゃぁぁぁぁーっ!」


 足がすくみ、動けない。必死に手でガードするも、間に合わなそうだ。


「クッ!!」



 シュパァァァン!



 結構大きな衝突音。

 身構える。しかし衝撃は来なかった。


「え?え?」


 ぺたんと道端に尻もちをついてしまう女生徒。



「大丈夫か?アンタ」



 事故車の前に学生服を着た桃髪の男子学生が立っていた。


「剣?車を斬ったの!?」


 よく見ると事故車は真っ二つに分かれていた。


「あわわわわっ」


 運転席から中年のおじさんが慌てて出てきた。


「こっちは無事みたいっすよ?兄貴ィ」


 ヤンキー調の男子学生が叫んだ。

 桃髪の男子学生が剣を鞘にしまい、くるっと女生徒の方を向いた。


「危なかったなぁ、もう大丈夫だぜ。」


「あ、ありがとう、ございます」ポォォ

(ちょっと、カッコイイかも)

 

 女生徒は腰が抜けたまま、わずかに頬を赤く染め、うつむいた。


「ん? どれどれ、あちゃぁ、すりむいてんなぁ。【ヒール】ポゥ これでよしっと」


 桃髪の男子学生が回復魔法を掛けた。


「立てるか?」


「はい、多分」


 桃髪の男子学生が女生徒を引っ張り上げた。




「しかし、アンタも災難だったな……うん、惚れた!」ニパァ




「は?はいぃぃ!?」ドキドキドキ

(な、何言ってんのこのひと……桃色の髪って、まさか伝説の)


 とヤンキー調の男子学生がしゃべり出した。


「済まねえな、嬢ちゃん! 勘違いすんなヨ? ありゃぁ兄貴の癖だ」


「うぇ? 癖?」


「見てみな」


 ヤンキーがアゴで指した方向を見る。


「あ、ミニパトのお姉さんたち、こっちこっち」


 桃髪の男子学生が婦警を呼んだ。


「五十嵐様、ご協力、感謝します」ビシッ!


 婦警が敬礼をした。


「いいのいいの、仕事だし?つうか、お姉さんたちイイね。うん、惚れた!」ニパァ


「「きゃるるぅぅぅん」」クラッ

 婦警たちがよろめいている。


「次、向こう見てみな」

 ヤンキーが指した方で、今度は犬を連れた御婦人と話している。


「可愛いワンコだな。よし、惚れた!」ニパァ


「ふぁぅぅぅん」クラッ

 御夫人がよろめいている。


「な?そ-ゆーこった。悪いことは言わねえ、忘れろ」


「五十嵐さんって……嵐のようなひとですね」


「おうよ! 兄貴はな、伝説の『50の嵐を操る男』だからよぉ」


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