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第14話「星座会議と歳神統領制」

村が十二の集落――“邑”として整い始めたある夜。

アストレイアは村の中心に灯された火を前に、静かに座っていた。

その背後に、十二柱の星座神が姿を現す。


空には木星が、明るく瞬いていた。


「この村も、だいぶ姿が変わってきましたね」

最初に言葉を発したのはアクエリアだった。


「人も神も、自分の場所を持ち始めた」

ピスケスが続ける。


「だからこそ、統べる“秩序”が必要になる」

そう言ったのは、カプリオスだった。


この夜、神々は正式にひとつの議題を協議するために集まっていた。

それが――


**“星座会議の設置”と“歳神統領制の採用”**である。


議長の役を務めるのは、今回この提案を出したリーブラ。

彼女は秤を片手に、議題を読み上げた。


「現状、各邑はそれぞれ独自に動きつつあるが、今後は連携と方向性が必要となる。これを調整するため、星座神による会議体を設置し、年ごとに“木星の加護を受けた星座神”が統領役を担う、という提案です」


ジェミニが手を挙げた。

「つまり、毎年“神リーダー”が交代するってこと? おもしろそう! 飽きなくていいね」


アリエスは腕を組んだまま、やや不服そうに言う。

「その年に一番力を持つ神が決まるなら、争いの火種にもなるのでは?」


リーブラは冷静に答える。

「だからこそ、“巡る”のです。星の巡りは公平。力の集中を避ける循環です」


サジタリアが笑みを浮かべる。

「今年の木星は、私の座――射手座に入っている。つまり、私が初代歳神統領というわけだ」


レオンドラが大きく拍手をして、

「おめでとう、祝賀会を開かないとね!」


議場が軽く沸いたそのとき、アストレイアが静かに言葉を挟んだ。


「巡る役職。巡らぬ責務。私は変わらず、1万邑の再建記録者として、ここにいます」


一瞬の沈黙。

だが誰も、その言葉に異を唱えなかった。

彼女が唯一、“呪い”を背負っていることを全員が知っていたからだ。


リーブラが秤を掲げた。

「賛成多数。これより、十二星座神による“歳神統領制”を施行します」


議事は無事に承認され、

星座会議は正式に“運営機関”として幕を開けた。


会議の後、アストレイアは一人、天を仰いだ。


「……木星が乙女座に入ったら、私が統領? ふふ……村人には窒息するほど細かい制度を課すかもしれないわね」


小さく笑いながらも、彼女の手元の帳面には、

すでに来年の星座配置図が描かれていた。


彼女だけが、その先を見ていた。

星座会議と歳神統領制の導入回でした。


星の巡りによって統治者が変わるというこの制度は、神々のバランスと物語の多様性を描くうえで重要な転換点になります。


アストレイアの“変わらぬ責務”と、“巡る役職”の対比が、本作の主題そのものでもあります。


引き続き、神々と村人の営みを見守っていただけたら嬉しいです。

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