5.強襲―2
街中がきらきらと、がやがやとで埋め尽くされていた。ドーロを挟んで立っている建物はどれも灰色で、ガラスもどれも割れている。荒廃した風景とも言えるはずなのに、そこには活気があった。
「リュウ、早く!こっちこっち!」
エミはリュウを手招きしてから走る。足下がカラコロと鳴る。足の親指と人差し指の間が擦れて、まだ慣れない感触がある。それでもきらきらとした未知との遭遇に心が弾んで抑えられなかった。
縦横無尽に走るドーロ上に、簡易な小屋のようなものが立ち並んでいる。それらは赤やら白やら明るい色が鮮やかに配色された布を垂らし、摩訶不思議なものを陳列していた。それらを、吊り下げられた灯りが煌々と照らしている。
シャテキとは、ワナゲとはどれのことだろう。ワタガシとは、リンゴアメとはどんなものなのだろう。
昨日の昼間の、ノジマの言葉を反芻しながら、エミはあちらこちらへと目を散らせた。
「エミ、待てって!一人で行くと迷子になるぞ」
がやがやとした人混みの中、リュウの言葉が背後から飛んできた。振り返ってみると、大人の腹辺りが乱立する木々のように視界を塞いだ。木々と違うところは、それらが流動的に動いていることだ。人々の流れの奥からリュウのちょんまげが見えた。
「まいごって?」そのちょんまげに向かって声を掛ける。
「迷子が何かって?」ちょんまげの下の顔が覗き、リュウが溜め息を吐いた。「お前、ホント何も知らないんだな」
「そんなこと言われても」
「まぁいいや。逸れんなよ」
リュウが鼻先を擦りながら言う。
要は逸れなきゃいいのか。そう思ったエミは手を伸ばし、鼻先のリュウの右手を取った。
「じゃあ、こうすればいいんじゃない」




