11-5
最終話となります。
昔々あるところに、一人の強大な力を持つ女がいました。
女の力に惹かれた魔力を持つ化物たちは、こぞって彼女を慕い、その力にあやかろうとしました。
彼女の勢力は徐々に大きくなり、やがて世界の半分を支配しました。
それを恐れた人間たちは、支配を拒むために戦争を決意しました。
人間たちは女を魔王と呼び、忌むべき存在として長い戦いの間に語り継ぎました。
女は困惑しました。
なぜ自分はここまで恨まれているのか、と。
女は静かに暮らしていたかった。
誰もいない森の中で、ただ安らかに——。
しかしそんな彼女とは裏腹に、魔の者たちは欲望のまま略奪を繰り返そうとしました。
耐えかねた人間たちは、魔の者を打ち倒す力を持つ存在、勇者を作り上げました。
勇者は瞬く間に戦果を挙げ、あっという間に世界のほとんどを奪い返しました。
魔の者のほとんどはあれだけ慕っていた魔王を裏切り、散り散りとなって逃げて行きました。
残ったのは、たった三匹だけ。
三匹は魔王に完全なる忠誠を誓っていました。
魔王は三匹に言いました。
お前たちも早く自分から離れろと。
しかし三匹は決して離れようとしませんでした。
魔王は誓いました。
彼らを守るためにも、自分一人で勇者の前に立とうと。
彼女はもはや静かに眠りたいとすら思っていたのです。
そうして魔王は勇者に敗れました。
魔王の力は抑えていても勝手に敵を迎撃し、勇者に大きな傷を残しました。
それでも、彼女は勇者に負けました。
唯一誤算があったのは、勇者ですら魔王を殺しきることはできなかったということ。
魔王は封印され、死ぬことすらできない何もない空間に閉じ込められることになってしまったのです。
戦いの最中に彼女の事情を理解した勇者は、彼女に謝罪を溢しました。
——すまない……私にはもう、君を殺す力は残っていないのだ。
——……構わん。代わりに、妾はまた目覚めるかもしれんぞ? それでも良いのか。
——ああ。その時になれば、どうせ私はこの世にいない。もし君が平和な世界で目覚めることが叶ったなら、その時は……。
——その時は?
——君の、思うままに生きるといい。私ももう、疲れた。後の世界のことなど知ったことか。
「君は、自由だ」
その言葉は、魔王の胸に刃でつけられた傷よりも深い何かを残しました。
こうして魔王は封印され、世界は平和になりました。
人間は魔王が封印された地に国を造り、いつ彼女が目覚めても対応できるよう、戦力を増やし続けることを決意しました。
国の名前をリストリア、そして強さを探求する者を冒険者と名付け、魔の者と戦う力を備えました。
そしてそれから長い時が経ち————ついに魔王は復活したのです。
忠実なる三匹の僕の手によって……。
新たな歴史の主人公、テオとその仲間。
彼らと魔王たちが正式に相見えるのは、また少し後の話でした。
ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
作者である私の力不足もあり、今回でこの「社畜騎士~」は最終話となります。
これから先の内容も気になってくださっている方がいましたら、本当に申し訳ありません。
活動に余裕ができ次第番外編などを投稿していく可能性はありますが、現状は確約できないことをどうかご容赦ください。
ここまで続けられたのは読んでくださった皆様のおかげです。これからも創作活動は続けていくので、どうかそちらでもお付き合いいただければ幸いです。
2020/12/19
新作でラブコメを書いてみました。応援していただけると嬉しいです。
大人気アイドルなクラスメイトに懐かれた、一生働きたくない俺
https://ncode.syosetu.com/n2496gr/




