【9月30日非公開予定】死んだ英雄
続き、いざスタートです!
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「ひ、ひぃっ!」
ザシュッ……と、肉を切る嫌な音が耳に届く。だけど、それは私にとってはもうどうでもいいことだ。
今私が思うのは、そう……ただ、この胸の中の黒いものをぶつけるだけだ。これを八つ当たりと言われても、自己満足だと言われてもいい。
これは正真正銘の、私の復讐には違いないのだから。
「ど、どうしてあなた、が……! た、助けてくれ、頼む……!」
体から腕を切り落とされた男が、涙ながらに私に助けを乞う。切断による痛みよりも、死にたくないという恐怖が勝っているらしく、痛いとは叫ばない。
そんな姿を見ても、私の心が痛むことはない。
「ごめんなさい。……あなた自体に恨みはないけど」
「……! え、英雄となったあなたがどうし……て……!」
……男の言葉が続くことは、なかった。言葉を話すための器官を切り裂き、その首を落とす。
その人物自体に、私は恨みはない。だけど……この世界に、私は恨みしかない。
「ごめんなさい……英雄は、もう死んだの」
あなたにはなんの関係もない。けれど……とても、関係がある。あなたが、この世界の人間である限り。この世界の人間が、この世界の人間である限り……!
私の日常を奪ったこの世界を、私は許さない……!
私はこの世界を、許さない……