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定義

 本章では、本稿を理解する上で必要な基礎的事項を確認することを主たる目的とする。

「小説家になろう」においては、一般的な定義としては十分に浸透していない定義が存在する。この定義を理解することによって、本稿での問題意識を共有することが出来る。

 そこで、本章では、小説家になろうにおける「商業化作品」、「未開拓作品」、「下流作品」、「中堅作品」、「短編作品」、「なろう系作品 (なろうテンプレート)」、「非なろう系作品(非テンプレート)」という定義を確認する。但し、便宜上、本稿における独自の定義として改めて確認する必要もあることから、その際にはその旨記載する。


 第一に、商業化作品の定義を確認する。商業化作品とは、「出版・出版社の発行する雑誌、またはそれに類似する商業活動で連載・紹介されている作品」を指す。この作品には商品としての明確な価値が認められ、改めて価値を論ずる必要は高くない。よって、本稿では比較の対象としてのみ取り扱う。


 第二に、未開拓作品の定義を確認する。一般に、小説家になろうにおいては、「これまでにブックマーク数が100以上の作品を投稿したことのない投稿者か否か」を一つの基準とする事が一般的である。この定義から、本稿における未開拓作品の定義は、「『小説家になろう』において、ブックマークが100に満たない作品」を指すこととする。

 尚、一般的には、「小説家になろう」においてブックマークを100以上にする事は大変難しく、未開拓作品が必ずしも単純に無価値な作品であるというわけではない。また、短編作品などにおいては、ブックマークを付けるものが少ないという傾向も見られる。

 上記の理由から、未開拓作品という定義は単純な作品の価値を意味するものではなく、ブックマークという一つの基準を元にした、便宜上の定義であるといえる。

 また、未開拓作品はその数の多さから最も多彩なジャンルを持つ作品群であり、その意味で最も多くの隠れた意義を発見できると考えられる。本稿において最も重視したい作品群である。


 第三に、下流作品の定義である。一般的に、下流作家の定義は、「『小説家になろう』において、ブックマークが100以上1000未満の作品を投稿したことのある作家」を指す。この定義から、下流作品の定義は、「ブックマークが100以上1000未満の作品」を指すと定義できる。

 下流作品は特徴として、「独自性の高さと親しみやすい文章乃至テーマ」の二つを満たす作品が多い傾向にあると考えられる。未開拓作品は、自身のこだわりの高さが仇となる例もあり、また、読みにくい文体などが原因となる場合が多いが、下流作品はそれらの問題をある程度解決し、自身の創作意欲と読者の需要への対応を一定程度解決した作品が多いと考えられる。

 とはいえ、商業化に至るほどの需要への適化を為しておらず、作家の持つ一定の枠内で創作する作品が多いのであろう。よって、商業化作品群ほど明確な価値を表現されている訳ではなく、一般的には知名度の低い作品群といえる。


 第四に、中堅作品の定義を確認する。一般的に、中堅作家とは、「『小説家になろう』において、ブックマーク数が100以上5000未満の作品を投稿したことのある作家」を指すとされており、下流作品との混同が見られる。そこで、本稿においては、中堅作品を、便宜上「『小説家になろう』において、ブックマーク数が1000以上5000未満の作品」と定義する。

 小説家になろうにおいて、中堅作品となる作品を投稿する事は大変難しく、数多の作品群の中でも高い技術と商業化作品同様の需要への適化が必要となる。


 第五に、短編作品の定義を確認する。「小説家になろう」における短編作品とは、「第一部分で完結する作品」を指す。よって、短文を数話に分けて記載された作品は短編作品には含めず、第一部分のみであるが長い作品は、短編作品に含まれるものとする。

 短編作品は、ブックマーク数が必然的に少なくなる傾向が見られるため、第ニから第四に確認した定義を当てはめる事は相応しくないため、別個定義する必要がある。そこで、本稿では、「小説家になろう」における定義を一応の定義として使用する。


 第六に、なろう系小説の定義を確認する。なろう系小説とは、「『小説家になろう』内において人気の高いジャンルを基礎として作られた作品群」を言う。中心的な特徴としては、1、主人公が異世界に転生又は転移し、2、主人公が何らかの理由で他に類を見ない高い能力乃至技術を得ることによって、3、異性(一般的には女性)との幅広い交際を行うものが多い。また、クラス転生(転移)ものという類似の類型も人気であり、これは、上述の1、を「主人公を含むクラスなどの小団体が異世界に転生乃至転移し」とし、4、「主人公はクラス内での羨望を受け、再評価をされる」の定義を加えた作品という事が出来る。

 また、悪徳令嬢ものと呼ばれる、客層を女性層に絞った作品群も存在し、このような作品群では、1、を「主人公が悪徳令嬢に転生乃至転移し」と書き換え、4、「不幸な運命を覆すべく行動をする」という違いがみられる。この場合には、必ずしも2、の重要性は高くないため、単純になろう系小説と一括りにすることはやや乱暴に思える。

 上記作品群には様々な考察が加えられているところであり、本稿では必ずしも考察する必要性の高いものではないが、一方で、なろう系小説に分類される作品であっても、必ずしも人気を得られるという保証がないことも事実である。その点については、別途考察の余地があろう。


 最後に、非なろう系小説の定義を確認する。非なろう系小説とは、「第六のなろう系小説には属さない作品群」を指す。非常に曖昧な定義ではあるものの、一般的な認識としては、「小説家になろう」内においては、なろう系小説の方が非なろう系小説よりも相対的にブックマークや閲覧数を得やすいと考えられており、非なろう系小説は、なろう系小説に対して需要が高くないと考えられる。

 しかし、需要の高低は必ずしも作品の意義のすべてではないことから、非なろう系小説について考察することは、本稿においてはより重要な要素である。

 尤も、非なろう系小説という定義が非常に広範にわたる事から、作品全体を俯瞰した場合には、非なろう系小説という定義そのものの重要性はあまり高くないであろう。一方で、なろう系小説と異なるという点が、本稿においては、「埋もれた価値を発掘する」という目的に合致することから、重要度が高いという事が出来る。


 本稿では、上記のような定義付けを行った。その他必要な場合においては、三章各節において定義づけることとする。

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