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花の乙女は平穏を愛する  作者: 如月雨水
route:アルト
17/30

5

焼け野原は無事、元の草原に戻った。

ついでとばかりに花の種も植え、季節が巡る度に視界を楽しめる仕様にしておいた。ルキもしっかり、魔物が来ないようにしてくれた。

その草原だけ、だけど。

街に行けば飛空艇の近くに一緒に来た騎士団の人達がいて、アルトとオルデゥアさんの無事な姿に安堵の息をついていた。でもその後、愚痴ってもいた。

なんでも派手な轟雷と炎のせいで街の人達がパニックになって大変だったそうで・・・。結界を解け!様子を見に行く!鎮火してやる!!と、それはもう勇ましく吠えたそうな。わぁ、この街の人達って・・・。

憔悴した彼らから視線をそらした私と違い、ルキが労うように疲労回復の薬を手渡していた。小さく「いい実験体ができた」って言ってたけどそれ、まさか試作段階?

なんて恐ろしい・・・っ!

それを止めないオルデゥアさんはきっと、ルキの笑みに魅了された同僚を見捨てたんだ。

嫉妬って怖い。

その後、同僚の方々は医者の元へ送られた。どうなったかは思い出したくないけど、これだけはルキに言わなくてはと思い、口を開いた。「完成させてから使え」と・・・。

さて、余談はさておいて・・・。

怪我をしたアルトとオルデゥアさんはルキによって治療されたけど、流石に破れた服はどうにも出来ないので服を買いに店に行き――私とアルトは街を観光することになった。

ルキから重みのある財布を手渡され、「今日は二人だけでこの街の宿に泊まったらどう?二人だけで」と意味深な・・・いや、悪い顔をして言われた。つまりオルデゥアさんの家には来るな、と言うことか。そう返せば「違うわよ、馬鹿」と怒られた。

冗談だよ。

「――――半日でも、この街のことを知る絶好の機会よ・・・か」

ルキの気遣いはありがたいけど・・・と、すでに見えなくなった二人の背中を追うように、視線を遠くに向けた。

「それにしてもこれは多いよ。何、この金額」

全部使っていいわよ!って・・・無理だから。

何考えてるんだろう。何も考えてないのか。ルキならあり得て、頭が痛い。オルデゥアさんも止めてくれればいいのに、にこにこと上機嫌で・・・頭痛薬が欲しい。

「普段、金欠で困ってるくせに」

「そうなのか?」

「そうだよ。新薬開発って結構、どころかかなりお金がかかるからね。・・・で、どうしようか」

「渡されただけで、使えとは言われてないからな。預かるだけ預かってればいいだろう」

さらりと言ったアルトは私からお財布を奪い、内ポケットにしまった。

「俺達が持ってる金額で、出来ることをすればいいだろう?デートって、そんなもんじゃねぇのか?」

「・・・そう、なのかな?」

「ま、俺も初めてだからよく解んねぇけど」

初めて・・・なんだ。

視線をアルトから外し、忙しなく動く自分の手に向けた。この手、どこにやればいいのか解んないよ。

アルトの手でも握ればいいのかな?

「チラチラ見るぐらいならほら、さっさと繋げ」

「ぁ・・・う、その」

「何、照れてんの?このぐらいで照れて、どうすんだよ」

「うぅ・・・」

そう言われればそうなんだけども。

手を繋ぐ、ただそれだけの行為に顔が熱くなる。昔は何も思わず、普通に握ってたのになぁ。口をぎゅっと紡ぎ、アルトと繋いだ左手を見つめた。・・・繋いだ手に神経が集中して、なんだか鼓動が聞こえてきそうな気がする。

重症だ、私。

「んで、最初はどこに行く?」

「んーと・・・」

ルキ達と離れた場所が街の入り口だから、適当に散策して気に入ったお店にでも入れば・・・・・・。そう言えばルキがこの街のこと、前に話してくれたような。

なんだっけ・・・えーと。

あ。

「あ、入り口近くにアクセサリーショップがあるんだって。そこの店主が職人気質で、全部オーダーメイド。一点物しか売ってないらしいよ」

「誰情報?」

「ルキ」

「ふーん・・・じゃ、そこ行くか」

うわ、満面の笑みが眼に痛いっ。

くっ・・・これだからイケメンは!ちらちらとこちらを見ていた人達が息を飲み、多くの女性が黄色い悲鳴をあげた。そして私に鋭い視線をよこす。

嫉妬、いらない。

しかし、アルトはいつの間に男性まで魅了する笑みを身に着けたんだろう。

「視線が痛いから手を放して」

「却下」

酷い。

ぐさぐさと鋭利な刃物で刺されるような視線に、泣きたい気持ちになりながらすぐ近くにあった目的地の店に入った。うう・・・視線で殺される。

からん、と錆びた鈴の音が来客を告げる。

「いらっしゃい」と、酒で焼けたような声で言われた。

「なんだ、てめぇか。何の用だ・・・インジェット家の次男坊」

「え?知り合い?」

と言うか、この街のこと知ってるの?

え、聞いてない。

店主と思わしき人物はドワーフに似ていた。と言うかまんまドワーフだ。ドワーフ以外の何者にも見えない。精霊がいるからドワーフがいてもおかしくないけど、こんな見るからにドワーフ!って人も珍しい。

精霊の一種に数えられるドワーフが人前に姿を現すはずがないから、この店主は紛れもなく人間なんだろうけど。・・・人間、だよね?

「この前、頼んだ物は出来てるか」

「ああ、出来てるよ。・・・お?俺が作ったブレスレットをつけてるとなると、その女がおめぇの」

「ああ、嫁だ」

「嫁じゃなくて婚約者ですけど!」

まだ結婚してない!

何言ってんの?何言っちゃってんの!?ああもう!顔が沸騰した!!繋いだ手を放して、顔を覆いたいのにそれが出来ないから俯いて身体を震わせた。

恥ずかしくて死ねる。

「そのブレスレットの護り、まだ効いてんのか?売ってからだいぶなるだろう。なんなら見てやろうか?金はとるがな」

「別にいい。それより頼んだ物にちゃんと効果をつけろ。不備があったら・・・な」

「笑顔で脅すんじゃねーよ、ガキが」

・・・一人、恥ずかしがってたのが馬鹿みたいに思えてみた。

二人共、すっごく仲がいいね。疎外感を感じるよ。

「ほらよ。これでいいんだろ」

アルトが私から手を放し、カウンターの前で店主さんに何かを見せてもらっている。

ここはアクセサリーショップ。売ってる物を考えて・・・・・・・・・指輪?まさかまさか、こ、婚約、ううん、結婚指輪?え、だとしたら何時、注文したんだろう。そんな時間なんてなかったのに。

「ったく、三日前にふらっと来たと思ったら、挨拶もなしにいきなり『指輪を作れ』なんて注文してくんだからな。俺だから三日で出来たんだぞ。解かってんのか?」

「ああ、これ代金」

「感謝ぐらい言えよ、このガキ。・・・で、その嫁はどうした?」

「嫁じゃないです、気にしないでください」

顔を両手で覆い、しゃがみ込んだ私を放っておいてください。後生だから。

「次も何かあったら頼むわ」

「今度、こんな無茶振りしたら料金倍にすっからな」

私の右腕を掴み、引っ張る様に歩くアルトの背に店主が冗談なのか、本気なのか判らない声でそう告げた。・・・左手で顔を覆ったまま、ちらりとアルトを見る。

視線を下に動かせば、空いた手に小さな袋が。なにそれ?

「子供が出来たら記念になんか作ってやるよ。割引でな!」

「!」何を言い出すんだこの店主は!!

「子供は二・三年ぐらいしたら作る予定だから、そん時はよろしく」

「!?」何を言い出すんだこの男は!!

反論したくとも口から意味のない言葉しか出てこない。っく、私はこんなに動揺してるのにこの男は平然と・・・なんてこと言うのさ馬鹿!

デザインが好みだからまた来ようと思ったのに、もう来れないよ!

馬鹿、馬鹿、ばぁか!!

うぅ・・・生暖かい視線が背中に刺さる。

「んじゃ、また」

もうちょっと背が高かったら、頭突きをくらわせてやったものをっ。

悔しい思いを抱きながら、からん、と錆びた鈴の音を背に店を出た。・・・ところでどこに行くの?

「あの・・・アルト?」

返事がない。

無視された?え?

「もしもしアルトー?聞こえてるー?ねぇ、ちょっと、どこ連れて行く気?」

返事がない。

無視された。うぇぇ?

「アルトぉ」

情けない声が出た。

でも仕方がない。返事を返してくれないアルトが悪いんだ。

だって、そんなことされると不安になっちゃうんだもん。私、何かした?何もしてないよね?まさか・・・嫁って言葉を否定したから?だってまだ嫁じゃないもん!婚約者だよ?!婚約したばっかりだよ!

結婚するにしても、まだ奥さんじゃないから嫁って呼ばれるのはなんか違うと・・・思いまして、ですね。その、はい。

心の中で言い訳しつつ、視線が斜め下を向いてしまうのはどうしようもない。

だって!

アルトの顔がまともに見れないんだから!

「――――フィリア」

「っな、なに・・・!?」

「頭上に注意しろ、危ねぇだろうが」

「あ・・・え、そ、そうだね!危うく木の枝にぶつかるところだったよ。これ危ないね、ちゃんと伐採しないと他の人が怪我しちゃうね。私は花の乙女だから植物の方が避けてくれるけど。ほら、なんか枝が変な風に曲がってるし。だから抱きしめなくても大丈夫だよ、植物が勝手に避けてくれるから。私に害を与えないから」

「早口で何言ってのか解んねぇよ、落ち着け」

デコピンされた・・・。

「いくらフィリアが石頭でも、ぶつかれば痛てぇだろうが」

「それは・・・。なら、デコピンしないでくれる?痛いんだけど」

「落ち着いただろ」

他に方法があっただろうと、無言でアルトを睨んだ。

おでこ、まだ痛いんですけど。空いた手で額を摩り、溜息をついて視線を下に動かした。

「それで、どこに行くつもりなの?アルトはこの街に来たことがあるみたいだけど、私は違うんだよ?何があるか知らないし、どんな店があってどんな物を売ってるのか見たかったのに・・・・・・・・・植物の種、欲しかった」

アクセサリーショップを出てすぐにあった、フラワーショップに「これは貴重か?いや新種だ!世界を驚かす世界樹の種・・・によく似た植物の種。咲くとドライアドが生まれるよ!」って言うフレーズのアレがすっごく気になったのに。

珍しすぎる植物の種だから、興味があったのに・・・。

ドライアドって魔物だけど、人に危害を与えないしちゃんと育てれば庭を護ってくれるガーディアンになるんだよね。もっとも、森の奥深くにいるから滅多に種なんて入手できないけど。

だからこそ――欲しい。

「後で見ればいいだろ」

「売れちゃったらどうするの!」

「・・・そん時は俺が見つけて持ってきてやるよ」

溜息をつかれ、困った子供を見るような眼を向けるアルトに口をつぐんだ。

私が我儘を言ってるみたいでなんか、やだ。

「ところでここ・・・どこ?」

なんか妙に綺麗に整備された庭園?のような場所だけど。

ま、私が手入れをしている庭や学園の秘密の花園に比べたら普通だけどね!でも良いセンスしてる。特にあの椅子とテーブルを覆うようにある巨木、いい仕事をしてるよ。

まるで傘や屋根のように育てるのは並大抵の努力じゃ無理だもん。

是非とも、この庭を手掛けた人と仲良くなりたい。そしてあわよくば、私が新しく手掛ける庭の管理人になって欲しい。

「ここ、気に入ったか」

「うん、学園長と話が合いそう」

「学園長?」

「あー・・・今度教えるね」

アルトになら、あの場所を教えても問題はないよね。頭の中で秘密の花園を思い出し、ついでに王弟の言葉も思い出した。「後悔のない道を選べ」・・・だったっけ。

本当に後悔していないか、と言われた不安になるけど。でも私がアルトを選んで、受け入れてもらった。そのことに対して、後悔はない。

・・・たぶん。

惚れた弱みと自覚した想いでよく解んなくなってるけど。いや、もうこの言葉の意味も解んない。恋って難しい。

「ここ、俺も手伝わせてもらったんだ」

「・・・え?」

どこかに行っていた思考が、アルトの言葉に戻ってきた。

今なんと?

「庭いじりが趣味の教会の神父がぎっくり腰になってな。仲が良かった俺に庭の整備を頼んできたんだよ」

「え、なんで?」

「お前のせい」

私?なんで私?

その神父さんとは逢ったこともないんですけど。・・・ないはず。

「花の乙女の幼馴染なら、庭の設備ぐらい出来るだろう・・・ってな」

「いや、それ私のせいじゃないよね?」

神父さんはいったい、何を、勘違いしてるんだろう。

「否定しても聞きやしねぇから、諦めてやったんだよ。そしたらまぁ・・・意外と面白かった」

まさかの土いじりに目覚めたとか、驚きすぎて声が出ない。

え、でもそんな姿、見たことないんだけど?冗談?ジョーク?

「それよりこっち来てくれ」

それよりって・・・。いや、私的には真実なのかどうかが知りたいんだけど。

背中を向いて歩きだしたアルトに、聞いてもはぐらかされる気がしたので止めた。言いたくなったら言うだろうし。・・・しかし、この庭をアルトがねぇ。

騎士を止めても退屈で死ぬ、なんてことにはならなそうで安心したよ。

「ん?いやだからここどこ?」

「教会の裏庭」

「神父さんに逢いに?」

「神父なら、三日前にまたぎっくりになって、孫のシスターに介護されてる」

「へ、へぇ・・・それは、大変だね。でもなんで知ってるの?」

「手紙を貰ったからだ」

・・・それって。

「言っとくが、孫はシスターを名乗ってるだけの女装癖の変態だ」

ん?

「ついでに言えば変態曰く、愛嬌のある可愛らしい笑みに、砂糖菓子のように甘い声、綿菓子のように柔らかい髪をした恋人がいるらしい。・・・残念ながら、事実だったがな」

「いや、なんで残念がってるの?空想だと思ったの?ねぇ、妄言だと思ったの?」

「ま、フィリアに比べると地味で平凡な女だったがな」

「喧嘩売ってるなら買うよ?」

私も平凡な顔立ちなんですけど。

幼馴染と弟の傍にいられる顔じゃないよね、とか何度言われたと思ってるの?そんな言葉を吐いた女子は皆、普通学科二年の仲間の反撃で撃沈してたけど。ギネアの毒舌、怖かったなぁ。

あと、何故かその場に鉢合わせたルキの容赦のない罵倒。

思い出したら寒気が。

「んぁ?!」

いきなり脇腹を掴まれた!

「なに?何?何事!?」

なんで抱き上げてるの?!両足が地面から離れて怖いんだけど!!

「ぅひゃあ・・・!」

こ、これは何だろう。

何で私、祭壇に座らされてるんだろう。ここ座る場所じゃないよね?てかこれ怒られない?神父さんか女装癖のシスターに怒られない?大丈夫なの?

混乱したままアルトを見れば、何故かキスされた。

いや、本当になんで?

そんな雰囲気だった?

瞬き、すぐに離れたアルトに疑問を口にすることが出来なかった。なんでそんな・・・焦がれる様な眼で私を見るの?

「綺麗だ、フィリア」

「・・・綺麗なのはステンドグラスであって、私じゃないよ。眼、大丈夫?」

「あんなガラスよりもフィリアの方が綺麗だよ。少なくとも、俺にとってはな」

うん、つまり他の人から見ればステンドグラスの方が綺麗ってことだよね。やっぱり眼がおかしくなってるよ。溜息をつい・・・・・・んれ?

「あの・・・これ、は?」

「見たまんま」

「うん、そうだね」

ブレスレットと同じ宝石がはめられた、シンプルなデザインの指輪。

「見たまんまだと指輪だね。で、その指輪をなんで・・・・・・左手にはめたの?」

疑問を口にした途端、肩を押されてアルトの顔が近づく。足の間に足をいれられ、両腕は手首を掴まれてぴくりとも動かせない。

え・・・この状況って。

一瞬、頭が真っ白になった。

「なぁ、フィリア」

劣情の視線に耐えられず、視線が左に向く。

「俺と結婚してくれ」

「っ」

アルトの左手に、私と同じ指輪がある。

私と、同じ・・・。

視線が彷徨い、胸が苦しくなった。目頭が熱い。

本当に、アルトと結婚していいのかな?傍にいて・・・いいのかな。アルトの邪魔になるんじゃないかな。考え出したらどんどん思考がネガティブになって、自己嫌悪で吐きそう。

でも。

でも・・・。

「傍に、いてくれる?」

視界が滲む。

「私、臆病だし不安になってネガティブになっちゃうけど、呆れないで、見捨てないで、幻滅しないで、傍に・・・ずっとずっと、いてくれる?」

「ああ、いるよ」

いつの間にか解放されていた両手でアルトの頬に触れ、くしゃりと顔をゆがめた。

「死んでも離すつもりはない」

はっきりと告げられた言葉に。

左手をとって、手首に口づけを落とす姿に。

――――縋るように右手でアルトの腕を掴んだ。

「私、料理だって上手くないし・・・」

声が震える。

我ながら、情けなくて呆れる。

「植物を育てる以外に能はないけど」

ぼやける視界で、アルトに向けて想いを口にした。

「アルトと結婚したい・・・っ」

「俺も、フィリアと結婚したい。フィリア以外となんて、考えらんねぇよ」

そっと落とされた口づけに眼を閉じ、アルトの頭を両手で抱いた。

「好き、大好き、愛してるの・・・アルトを」

キスの合間に、普段なら恥ずかしくて言えない台詞が口から出た。

後で羞恥に身悶えするな、と冷静な思考が告げるけど・・・その言葉にアルトが嬉しそうに微笑から。その・・・たまには、素直に想いを口にするのも悪くないかもしれない。なんて思ってしまった。

恥ずかしくて死ねるけどね!

「誰よりも、何よりも、アルトのことが」

「平穏より?」

きょとんと瞬き、額に額を重ねるアルトを見上げた。

距離が近くて視界がぼやける。いや、涙でぼやけてるのもあるんだけど。

「・・・アルトがいてくれるなら、平穏じゃなくてもいい」

「本当に?」

「アルトが私の周りを平穏にしてくれるでしょ?」

首を傾げながら言えば、アルトが瞠目した。

え?いや、だって・・・アルトならそれぐらい出来ると思ったんだけど。無理だった?無茶振りだった?

「そうだな」

にやりと、不敵に笑うアルトに寒気を感じた。

「面倒事と邪魔者は、綺麗に片づけてやるよ」

「ひ・・・っ」

首、首にかみつかれた!?

「だからその間・・・大人しく檻に飼われててくれよ?フィリア」

あ、選択を間違えた。

こう言う時こそ、選択肢が出て欲しかったと頬を引きつらせ、がぶがぶと首を甘噛みするアルトから意識をそらした。

・・・檻って、どこの檻だろう。

実家から出ないから、それで勘弁してくれないかな?

「俺から逃げられると思うなよ、フィリア」

わぁ、素敵な悪役顔。

それ、結婚する相手に向ける顔じゃないぞ!

・・・。

・・・・・・。

・・・・・・・・・選択肢、出てこい。

お願いだから出て来て!本当、頼むから!!

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