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転生学園  作者: Kuroto
第一章
3/25

入学式

今回から1日一回更新しようと思います。


時間帯は、10時ごろです。


では、どうぞ。

入学式と聞くと何を連想するだろうか?


先輩達が体育館の中で座っており式の主役である新入生が入場する。拍手を受けながら並べられたパイプ椅子に座り、校長の長くつまらない話や、PTAの偉い人の話しを聞く等ではないか?


しかし、俺は入学式は式が始まったとほぼ同時に睡魔に襲われたり、起立の時に貧血で一人だけ倒れて保健室で寝てたりとあまり良く覚えてないのだが……まぁその話はどうでもいいだろう。


さて今まさにその入学式が始まる。どこかわからない知らない謎の展開に混乱しながらも。


「いきなりだが、ようこそ神立転生学園へ」


そう喋りだしたのは、白いローブに身を包んだ男だ。声からして30代後半だろうか?声にはわずかに威圧感というか風格とでもいうのだろうか、凄みがある。


「混乱している者も居るかもしれないが、ここは君たちの住んでいた世界とは違ういわば異世界と言えば理解できるかな?」


その話を聞いたとたん、周りにいた、数人がざわざわとしだす。しかし男は、そんなことは気にもしていないのか特になだめる事なく無視して話を進める。


「君たちは《転生者》であり気づいている者もいるかもしれないが、《ユニークスキル》と呼ばれる強力な力を持っている。いや獲得しているといった方が正しいか」


(さっきの空間で得た力のことか?)


ツキトは、状況を把握するために黙って男の話を聞いていたが、中にはそう冷静では、いられないない者もいた。それも仕方がないだろう。何故ならこんな異常事態に巻き込まれて冷静でいれる方が普通では無いのだから。


「おいおい!ちょっと待ってくれ!何が転生だ!そんな頭のおかしい茶番に付き合っていられるか!早く俺達を家に帰せ!」


声のする方を見ると体格の良い青年が叫んでいた。多分年齢はそこまで違わないだろう。するとフードの男が手を青年の方に向けると、


「まぁ話だけではわからない事もあるだろう……《バインド・ウィップ》」


そう言った瞬間青年の足下に魔方陣のようなものが浮かび上がりそこから複数の植物のツタが伸びその体を拘束する。


「なんだ!?」


青年以外にも驚いたような声が上がる。ツキトも他の人達も、この現象には驚きを隠せないでいた。


「これで分かったと思うがこれは《魔術》だ」


周りからは、ざわめきが起きていたがツキトは少なからず周りと違う物が頭の中を駆け巡る。


(まじかよ……おもしれーじゃんか!)


ツキトは、高鳴る気持ちをなんとか押さえ込み話を聞く。他の人達もさすがに静かになった。


「これから君たちには、魔導や、スキルを、使えるようになってもらい、立派な《転生者》になるためにこの学園で学んで貰う。細かいことは君たちが持っているディバイスに載っている。遅くなったが入学おめでとう」


そう言うと男は思い出したかの様に手を叩くとそう言えばと話を続ける。


「自己紹介がまだだったな……私はこの学園の学園長を務めている、グラフスタス・オルベインだ用がある者がいたら学園長室にいるので何時でも来てくれ」


そういうと学園長はその場を後にした。取り残された俺達は、異世界や魔術といった非現実的であり非科学的な現象を目の当たりにし、言葉を無くしていた。


『それでは、皆さん。私についてきてください!』


教師らしき人がマイクで全体に声をかける。とりあえず教師の指示に従い、みながそこに向かい歩きだす。そこで知ってい顔をツキトは見つける。


ここに来るときに心残りであった良く見知った顔の人物が二人。


一人はツンツンの短髪に引き締まった体の青年と、もう一人はボサボサの髪に男性アイドルのような整った顔のイケメンという、まぁそこそこ目立つ二人の青年。ツキトはその二人の名前を知っていた。


(タツヤにヒビキか!?)


ここに来る時にあった唯一の心残り親友達がいたのである。どんな確率なのだろうか。今起きている事態が既に天文学的な確率の出来事であるにも関わらず更に数少ない友達の二人も同じ事態に巻き込まれているのだから。


しかし、俺が感じたのは、訳の分からない事態の中で知り合いがいるという嬉しさや安心感等ではなかった。真っ先に感じたのは、二人の心配だった。


何故なら、タツヤとヒビキは俺と違い必要としている人や心配してくれる家族が居るからだ。小さい頃からの付き合いで二人の父親や母親とは少なからず交流があった。しかも三人で遊ぶときなんかは良くしてもらったりもしていた。


だからこそ、自分のような誰にも必要とされず家族にも見捨てられた社会不適合者とは違う二人が、ここにいることに素直に喜べなかった。


(あいつらは……これからどうするつもりなんだ……?)


タツヤが家族を飼い犬の事を何より大切にしていること。ヒビキが何だかんだ言って妹の事を心配していることを知っているからこそ、俺は二人に声をかけることができず、何もすることなく最後尾で列に付いていくのだった。


それを舞台の影に隠れた白いフードを被った人物が一人。この世界で、ただ一柱だけ信仰されている唯一神である女神が人知れず見つめていた。


「運命というのは……とても奇妙で、とても残酷なのはどこでもいつの時代も、変わらないのですね……」


そう言葉を溢すと、女神は何もないはずの空間に溶け込むように姿を消した。










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