カミングアウト
また遅すぎる更新ですね……
これからも地道に更新していきますw
まさかのヒビキのカミングアウトに固まるツキトとタツヤ。しかし、ツキトの意外という意味の硬直と違い、タツヤはこの世の終わりかのような顔をしていた。
「えっじゃ誰と組むの?もしかしてサキってひと?」
なんとなくヒビキの好きそうなタイプの人を挙げてみる。まぁあくまでも予測として、ヒビキのタイプである清楚系で黒髪という漠然とした根拠のない予想なのだが。
「なんでわかった!?」
「まじ?もしかしてお前から?はー良くやるねぇ?」
「それが俺からじゃないんだな〜これが!」
ツキトとヒビキが男の恋話に花を咲かせてる間にハクアは聞き耳を立てながらも無表情を続け、タツヤはログアウトしていた。
「ちょっとまってよ?俺一人ぼっち?」
ようやく帰ってきたタツヤが現実的なことを話し始めた。
「いや、2人組を作るんだろ?ならSクラスは12人だし余りなんて出ないだろ?」
「期日っていつまでだっけ!?」
「今日まで♡」
またしても絶望の表情を浮かべるタツヤに追い討ちをかけていく。
「余ったもの同士の可哀想な組ができるだけだろ?」
「いやだぁぁぁぁぁ!」
「うるせーよ!ばか!音量考えろ!」
悲しみに叫ぶ少年の声とスパーン!と言う爽快な音が食堂に響いた。
「なぁ元気出せって。いつまでいじけてるつもりだよ?」
「だって〜ヒビキとパーティー組むつもりだったんだもん・・・」
「俺は別にお願いされたわけでもないんだけどね〜」
「まぁヒビキが好きな人と同じパーティーになるのは見てて面白そうだからいいけどねー」
「ばか!誰が好きだって言ったよ!?このばか!」
教室に向かっている途中も騒がしく叫く三人をみてハクアはクスッと小さく笑う。
「いい奴らだろ?」
ハクアの僅かな表情の変化を見逃さない。
ハクアが俺以外に心を開かないのは嬉しくもあるのだが、タツヤとヒビキの2人や他のクラスメイト達とも少しは仲良くしてもらいたくはある。
「うん・・・面白い人達♪」
「さて、明日から中間試験が始まりますが、ペアができてない人が2人いましたのでタツヤさんとリリーさんは2人でペアを組んで試験を受けてください。」
タツヤのペアになったリリーという少女は、新人戦で、その小柄な体格では想像もできないほどの馬鹿力を見せた子だ。
(タツヤは、炎の刀を召喚するだけじゃなくて遠隔操作ができるから、超近距離のリリーとは相性は悪くないし)
タツヤは異性に対して謎の恐怖心をもってはいるが、あの無邪気そうな子なら多分しっかりコミュニケーションがとれるはずだ。
何とかなるだろうと考え、授業に集中する
と言いつつも中間試験は明日に迫っている。それまでにまだ試したい事もある。授業とは関係のないところに集中力を使いながらも時間は過ぎていく。
「いや〜いつ見ても悲しい景色が広がってるねぇ〜」
黒く焼け焦げた大地には草木はおろか僅かな虫すらもいや生命を持つものの気配が全く感じられない。
吹く風は瘴気が混じっており一呼吸いや肌に触れただけでも常人なら数秒も持たずに骨すら残さず壊死してしまうだろう。そんな地獄すら生暖かく感じる大地を歩く人影が一つ。
「星が死んでるんだ、何年何十年いや数千年経ってももう元には戻らないか・・・」
何かを探すわけではなくただ気の赴くまま死の大地を歩く男がいた。
その姿は心なしか悲しみを纏っていた。
ぶらぶらと歩いていると小さな洞窟の入り口を見つける。
なぜその中に入ろうと思ったのか、わからないが気付いたら洞窟の中を歩いていた。
ただの気まぐれとも言えるし、
何かあるのでは?と思ったのかもしれない。
洞窟の中ですら外と同じ黒く汚染された砂が入り込んでいる。そんな洞窟を特に何も考えずに進む。
「・・・・・・」
特に変わった様子もない洞窟をしばらく歩いていると地面の一部分だけ黒い砂が掃けられている。
「これは・・・」
入り口からここまでは人はもちろんのこと、小動物や虫などの生物がいた痕跡はまったくなかったのだ。
ぱっと見ただけでは
黒い砂がないところにだけ僅かながらに魔力の残滓が残っているのを見逃さなかった。
「そんなはずは⁉︎……いや、まだ終わって、終わらせられてなかったというのか」
その声は後悔か悲しみかそのどちらもなのか男はすぐさまその場を後にした。
何かに駆られるように……




