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転生学園  作者: Kuroto
第一章
23/25

固有魔導《ユニークアーツ》

ハクアの射撃練習が始まってすでに2時間が経過しようとしていた。

止まっている的なら的確に命中させれるようになっており、今では走り回りながら複雑に移動する的を狙っている。

その成長速度は凄まじいもので、あと数分もすれば命中率が8割を超えるだろう。


「俺も負けてられないな。見た感じ問題は無さそうだし俺も練習しますかね」


休憩もせずに練習に励んでいるハクアを休憩させるために呼び戻す。


「そろそろ休憩しとけー。もう2時間も経ってるぞー」


「ん、じゃこれでラスト・・・!」


振り返り様に5メートル先の的の中央を正確に打ち抜きとぼとぼと歩いてくる。


「かなり成長したな。まさか2時間ぶっとうしでやるとわ思ってなかったが・・・」


「楽しくて・・・」


「あーわかる、時間の概念が無くなるぐらい集中してたんだな。俺もゲームの周回とか半分意識飛ばしながらずーとやってた時もあったなー」


「でも、さすがに、はぁ・・・んっ・・・疲れた」


「そりゃあんだけ走り回ってればな、疲れて当然だ。しばらく休んどけ」


ハクアほ、止まった状態で撃つのに慣れると飛んだり跳ねたり走ったりしながらの実戦を視野に入れた練習をしていた。

ハクアにとってはFPS に新しく追加された銃を試し撃ちしている感覚だったのだろうが、現実じゃ体力にも限界がある。

頭を撫でてやると気持ちよさそうに目を細める。


「それじゃ、今度は俺のやつも試してみるか!」


「ツキトの武器・・・!?見たい!」


ハクアの期待の眼差しを受けながらツキトは布に巻かれた物を取り出す。


布に巻かれていたのは、黒と白二振りの刀だった。しかし、その見た目は本来の刀というよりも、機械的になっている。

刀身は綺麗な曲線を描き、刀に存在する波紋が一切存在しないが代りにツキトの魔力である黒とオリハルコンの青銀色とアダマンタイトの白銀色の線がいくつも走っている。

そして、鍔の上の部分には、幾つもの星を内包したような輝くペンデュラムのようなものがはめ込まれていた。


「かっこいい・・・!でも、」


「ん?でも?何だ?」


「もしかして、【黒染月蝕】《こくしげっしょく》と【銀刻白華】《ぎんこくびゃっか」》?」


「そうだけど、よくわかったな?」


この機械的でもありファンタジー的でもあるこの刀達は、かつて俺が書いていた小説で主人公が使っていた武器をモチーフにしている。

その作品は、割と気に入っていて、キャラクターデザインから武器のデザインまで自分でやっていた。確かアニメ化やコミカライズの話もあったほどだ。

今となっては、可能性の一つに他ならないが。


「でも、少しアレンジしててな?名前も違うんだ。黒いのが、

【エクスシリーズ01 黒魔刀 アズリエル】白いのが、

【エクスシリーズ02 白魔刀 ウリエル】

だ」


天使の名前から名付けた二振りの刀は、それぞれが現状俺にできる事を全て注ぎ込んだ【ルミナスヴァルツァー】にも引けを取らない最高傑作だ。


「エクスシリーズってゆうのはなに?」


「それはな?ここの光ってるペンデュラムがあるだろ?これが前言ってたオリハルコンとアダマンタイトの合金から作ったこの武器の心臓というかコアになってる部分なんだ」


武器を作る上で初めに取りかかったオリハルコンとアダマンタイトの合金。しかし、【創造】を使っての本来の刀の作り方をして本当に最高の武器が作れるのか?と、ハクアのために銃を創りながら考え直したのだ。

現状俺の使える素材がアダマンタイトとオリハルコン、そして自分自身のユニークスキル【創造】そして、この世界で手にした《魔導》という概念。

この世界で暮らしてから感じていた物、それは元の日本よりも発展した文明の力。

それを可能にした物、それが、《スキル》と《魔導》だ。

そこでソル先生に習った《魔法陣構築式魔法》と《刻印魔導》を【創造】とその他の全てのスキルを併用して作り出したのが、

神練鋼鉄エヴォリハルタイトだ。

さらに、神練鋼鉄エヴォリハルタイトを素材にして生み出したのが、

《エクスコード》である。


これを完成させた時ソル先生は、


「お前・・・まだ魔導を学んでから大して時間も経ってねーのにここまで、いやこれはお前ユニークスキルが大きいな。イメージした物を生み出す、シンプルにして絶大ともいえる能力。そして、世界最高峰クラスの素材であるオリハルコンとアダマンタイトの合金ときた。自覚はねーと思うがぁお前が到達した力は【固有魔導技術】《ユニークアーツ》と呼ばれる人類の到達点だ」


ソルにそこまで言わせた《エクスコード》の能力それは


「あらゆるスキル、魔導を登録、保存する事ができる」


「・・・?それで?」


いまいちその能力の凄さが分からないのか頭に?を浮かべるハクアにツキトは続けて説明した。


「魔導ってのは全体的に発動までにタイムラグがあるのはわかるな?」


「うん」


魔導は段階的に魔力を体内から集め、変換、変質の過程を通るためどんなに早い高速魔術や肉体強化の魔導でも少なからずタイムラグが発生する。それは事前に魔法陣や刻印と言った特殊な手法を用いる事で魔力を通すだけで即時発動できる《刻印魔導》や《魔法陣構築式法》といえど、事前の準備無しではできないからだ。


「だけどこの《エクスコード》にスキル」魔法を登録させておく事で、後は魔力を通してトリガーとなるモーションを起こすだけ即時発動ができるって事だ、まーゲームのコマンドみたいなもんか」


「なるほど・・・!」


ようやく合点がいったのかハクアは興奮した感じで【ルナミスヴァルツァー】を眺めた。

【ルナミスヴァルツァー】にも《エクスコード》が使われている。

そのおかげで、登録されている魔導の自動弾丸生成と弾道操作の効果が引き金を引くと同時に発動しているのだ。


「【ルナミスヴァルツァー】の方は問題ないようだし、こいつらも試してみるかな!」


二、三回ほど素振りをした後に、人型の的を出現させる。


「ふっ!」


横なぎに振るった漆黒の刃は抵抗感もなく両断する。あまりの鋭さに両断されて崩れ落ちるまでに数秒のラグが発生するほどだ。


「そろそろ慣れてきたし本格的に行くか!」


今度はハクアの時と違い人型のアバターを仮想戦闘モードで出現させる。

仮想戦闘モードは、新人戦でも使われた、勝敗がついた瞬間に戦闘が始まる前の状態までリセットしてくれる便利な設定だ。

白いアバターは、一本のロングソードを構えて対峙する。スタートの合図とともにツキトとアバターはお互いに駆け出していた。

アバターの持つロングソードとアバター自身の硬度は、鋼鉄と同じに設定していた。

普通に使うだけならば問題はなかったはずだ。しかし、ツキトの持つアズリエルとウリエル。この二つは、《エヴォリハルタイト》やオリハルコン、アダマンタイトをふんだんに使用されている。

そのせいか、ツキトが放つ一撃に耐えることが出来ずに剣ごとアバターを両断してしまうのだ。


「あれ?」


「無双ゲー?」


ハクアのツッコミも的確とうなずけるほどに一撃で終わってしまう練習に、ある種の快感を覚えつつも、この二つの武器を使い慣れるためだと思い直し、様々な武器を持ったアバターを量産させる。


「うおぉぉらあ!」


かれこれ三十分ほど剣を振り回しかなり慣れ始めた頃に他の機能テストを始める。


「ハクア、今から面白いものみせてやるからな」


「?」


試した結果問題無さそうなので、実戦でも使えるだろう。


「すごい!・・・もしかして、この子たちにも?」


「ああ、そっちにもあるぞ?試してみるか?」


「うん!」


ハクアは、エクスシリーズにある奥の手とも言える機能を目の当たりにして、驚きよりも新しいおもちゃに興奮する子供みたいにはしゃいでいる。

二人で確認と練習を、主に訓練アバターの討伐数の競い合いになっていたが、当初の予定通り新しい武器に慣れるという目的は達成できている。


「時間も時間だし部屋に戻るか?部屋まで送るよ」


「うん、ありがと・・・明日も授業だし、ね?」


本来ならばここの管理担当といあか所有者のソル先生からいつでも使っていいと研究、実験用に貸し出してもらっているのでここにある休憩室で寝てここから登校してもいいのだが、ハクアも居るので部屋に帰ることにした。

実際には、休憩室は、ベッドはもちろんの事ことキッチンに作業用の大型デスクと、安いビジネスホテルよりも快適に生活出来そうな空間になっているので、冷蔵庫に食材を入れておいてここに住み着こうかとも思っている。


(今俺の部屋、素材やら試作品やらでごちゃごちゃしてるし、この際全部こっちに持ち込もうかな?)


密かに実練実験の私物化を考えつつハクアを部屋の前まで送り届け自分も部屋に戻り、晩飯と風呂を済ませてベッドに入る。かなり激しく動いたのと連日の徹夜で疲労も溜まっていたようですぐに眠りについた。


中間試験まで残り一週間


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