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転生学園  作者: Kuroto
第一章
15/25

試練

「あの~ツキトさん?」


「はい?」


「グルァ?」


俺が先ほど手懐けた巨大狼を撫でているとリリナがやって来た。

本能で従うことを選んだのか、大人しくなり今では撫でると甘えてくるほどだ。

青みがかった灰色の毛並みはふさふさでずっとこうしていたいと思うほどだ。

フェンリルは先ほどの大きさではなく大型犬程の大きさになっている。


「一体……何しをているんですか?」


訓練が終わりリリナが入ってくる。その顔に何やら疲れている表情を浮かべている。何かあったのだろうか?教師職は想像しただけで頭が痛くなるほどの仕事が大変そうだがそれは異世界でも多分変わらないのだろう。


「あーいや、何かなついたらしくてさ、もふってるんだよ。こいつふわふわで気持ちいいぞ。リリナもやるか?」


「クーン♪」


「はぁ……」


(まさかフェンリルを手懐けてしまうなんて……)


フェンリルとは、神殺しの狼と呼ばれる神獣である。ツキトが手懐けたフェンリルは、学園で捕まえたフェンリルの子供なのだが、それでも神獣は神獣なのだが今では大型犬サイズにまでその白銀の巨体を縮めてしまっている。


リリナはため息を一つこぼし報告のために学園長にディバイスで連絡する。


「学園長、ツキトの試験終わりました」


『随分早かったな……それでどうだった?』


「それがですね……」


リリナは実際に目撃したにも関わらず未だに信じられないことを全て学園長に報告した。


『なに?フェンリルを手懐けただと?』


「はい」


転生者には、毎回初めの授業でそれぞれが覚醒させた能力の性質をより詳しく見定めるために新人戦の結果を元に色々な課題を与える。

学園で捕獲してある魔物と戦わせたり、教師との模擬戦だったりだ。

特にSクラスには、他のクラスよりも難題になっている。その為ほとんどの者が敗北し、自身の課題を見つけて今後の授業で成長させるというわけだ。


(しかも今年は、3人も世界変革級のユニークスキルを発現させた子達がいるそうじゃないか。まさか、フェンリルを倒すどころか手懐けるとはな、やはりツキト君は3人の内の1人だろうな)


『くっくっく……面白いやつが今回は多いな』


「そう……なんですかね……?」


楽しそうにするグラフスタフにリリナは困惑するのだった。


それから訓練が終わりフェンリルの子供と別れてリリナに先導されながら教室に戻る。


「では全員が集まるまで教室で待っていてくださいね。私は他の方の訓練を見てきます」


そう言うとリリナはどこかへ行ってしまった。教室には誰も帰って来ておらず1人だけになってしまった。


(暇だしカタログでも見とこうかな)


自分が想像していた異世界とは違いどちらかというと元の世界とほとんど変わらないので最初こそ驚いたがもはやなれてしまった。


しかし所々魔法という概念があるからなのか現代日本をより近未来に近づけたような、幻想的な作りになっている。


デバイスでカタログを見ながら考える。


大会の景品で手に入れた商品券は何でも交換してもらえるのでどう使おうか迷ってしまう。


「やっぱり武器がほしいよなぁ……」


さっきの訓練での反省点で武器が無いのはかなりの辛いことがわかった。

自分で造り出すのも良いと思ったがそれだと完成するまでの時間と消費MPがかかるのであまり現実的ではない。


先ほども武器が無かったため最初防戦一方になってしまったのでやはり武器を用意する方が良いと思ったのだ。


(せっかく創造ってスキルがあるんだ上手く活用しなきゃな)


カタログの鉱石や魔法石などを見ながらイメージを考えていく。やはり何かを創り出すために色々考えるのは楽しい。


どんな武器を作ろうか、今までに作品で登場させた武器を再現するのもいいし、好きなアニメやライトノベル、漫画の作品の武器を作るのもいい。新しく考えて自分専用の武器を創り出すのもありだ。


「楽しみになってきた……!」


創造意欲が出てきて頭をフル回転させながら、イメージを構築していく。

この瞬間がどうしようもなく楽しい!


そんなことを考えながら1人の時間が過ぎていく。











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