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転生学園  作者: Kuroto
第一章
10/25

決勝戦と約束

 休憩時間が終わりステージに向かう。準決勝でのヒビキとの戦いで、確認したところ【身体掌握】【五感超越】の【創造】で作製した二つのEXスキルといつの間にか発現していたユニークスキル【異端者】はかなり強力なことが分かった。


まず【身体掌握】は身体能力を爆発的に強化し、脳が出す命令をほとんどタイムラグ無しに実行できるというかなり馬鹿げた能力である。脳のリミッターを簡単に外しその上で脊髄反射よりも速く動ける。強化系スキルの中では、最高峰のスキルだろう。EXスキルというほどはある。


次に【五感超越】は、【身体掌握】とかなり相性の良いスキルだ。能力はシンプルかつ強力で五感いわゆる視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の人間が持つ感覚を極限まで研ぎ澄ませることができる能力だ。そのため、僅かな空気の変化などの普通では感じ取れない情報までも拾うことができる。それには、魔力の感知ももちろんできる。


そして、問題のスキルである【異端者】このスキルは、人間の領域を突破する事を可能にする能力と考えているが本当のところはわからない。しかし、確かなのは【異端者】のスキルを獲得したあとに【創造】を使ったところ、簡単にスキルを創る事ができた。他のスキルに干渉して効果を底上げしてくれるスキルなのだろうか。


だが……


『それでは、これより新人戦の決勝戦を始めます!』


スキルについてずっと考えていたせいで、あっという間に時間が過ぎていた。アナウンスがなり控え室からステージへと向かう。


現実はそんなにうまくは行かない。そう、【創造】や【異端者】とは違い、作り出されたスキルである【身体掌握】と【五感超越】このスキルを俺は、使いこなすことができないということだ。


意識と無意識の両方でスキルによる強化を抑制してしまって十分に使いこなせないのだ。熟練度が足りないと表現するべきだろう。2つのスキルを併用することでなんとかだが5%~15%ほどなら使いこなすことができる。


(少なくともショウタは、洗脳系のスキルのはずだからそれでも十分だろう)


これから使い続けて行けば徐々に強化できる


ステージには、すでにショウタが立っており余裕の表情で待ち構えている。それはそうだろう洗脳で精神を支配さえすれば直接的な戦闘などする必要もないのだから。


(ただし、洗脳の効かなかったリリィに勝ったならまだ別の能力を持ってる可能性もある)


「ツキト君だっけ?まぁ俺が勝つだろうけど、とりあえずよろしくー」


「……あぁよろしく」


顔には出さなかったものの、ショウタの自信のありすぎる痛々しい自己紹介に呆れを通り越していっそう笑えてしまう。人は急に強力な力を手にするとこれほどまでに付け上がってしまうのかと。


(こうはなりたくないな……気おつけておこう)


『決勝戦始!』


開始と共に8%強化で、ショウタの懐に入る。8%だがそれでも人間の出せるスピードではないほどに強化されている。


相手が洗脳系等の特殊能力系のスキルと分かっているならば、相手よりも先に先制攻撃を仕掛けるのがPVPでの常套手段だ。


「はぁぁ!」

勢いを殺さずにそのまま顔面を狙って右ストレートを繰り出す。勢いの乗った拳は鋭く、ショウタの顎に吸い込まれるように打ち出される。


もしもショウタのスキルが、洗脳だけとしたらこれで致命傷になり勝敗が決まるはずだ。


不意打ち?卑怯?誉め言葉です。


「うお!」


直撃する瞬間、ショウタは後ろに下がることで拳撃の間合いから避けた。普通の人間では認識できたとしても避ける事すらできないほどの速度の拳撃を、だ。


予想道りショウタは、精神支配のスキルのほかに隠しているスキルか何かがあると確信する。しかも"それ"はリリィの馬鹿げた強化と勝るとも劣らないほど強力なスキルを。


「不意打ちを仕掛けてくるなんて卑怯な事をするんだなぁ。それともお前のスキルがゴミなだけだったか?」


ショウタは、余裕そうに挑発してくる。攻撃を誘うための分かりやすい挑発だ。本来なら無視して様子を見るのだが、ここはあえて安い挑発に乗る。


「何が卑怯だ?試合はとっくに始まっているんだよ……卑怯も糞もあるか。これはゲームじゃないんだぞ?敵の攻撃を待つような間抜けがいるか」


(やっぱり"アレ"を使うか……)


「まぁでも……そう言う割には、お前のスキルの方がショボいよな?」


「あ?」


ショウタは、目に見えてキレている。それはそうだろう。ユニークスキルは使い手の望みをスキルという形で発現するのだ。


なので、能力で大体は使用者がどんな性格かなんてのは予想がつくものだ。さらに、火に油などではなく大量の加熱性物質を投入する。


「他人を操る能力なんて望んでる時点で、お前は人間的にもいろいろ終わってるもんな」


「……れ」


「は?なんか言ったか?隠キャ?」


「黙れ!カスが!俺は選ばれた人間なんだ!お前らみたいにおまけじゃないんだよ!……見せてやる……これが俺の本当の力だ!」


その瞬間ショウタがさっきのツキトと同等の速さで、倍の距離を取った。


「何を……っ!」


紙一重でその"物"を避けた。ショウタとツキトとの距離は約30メールるほどだがその間を音よりも速く飛来する物体。本物は見たことはないがそれでも、よく知っているもの。そうショウタの手には、片手で持てる音速を越える速度で鉄の玉を発射する近代兵器拳銃が握られていた


(この世界にもあったのか!?)


そうショウタの手には黒色のハンドガンが握られていた。形はオートマチックピストルのそれに似ていた。


「これが何か分かるよな?あの奴隷にした女の金でかったんだよ。俺のスキルと会わせりゃほぼ無意識で撃っても狙いは外さねえ!近距離でしか戦えない武器を持ってねぇお前には、この射程のアドバンテージはどうしようもできねぇ!」


さらに2発立て続けに発射される。今度は、避けながらも一気に間合いを詰めるために前に出る。


ショウタがいくらスキルで強化し的確に弾丸を打つ事ができたとしても、15%強化した状態なら弾丸を避けることも難しい事ではない。さすがに怖じ気づく事なく反撃にでるとは思わなかったらしい。


「へ?」


いまだハンドガンを構えたまま棒立ちのショウタに向けて、顔面に拳撃を叩き込む寸前で止める。15%とはいえ風を置き去りにするるほどのスピードで繰り出された拳撃は寸ど止めをしても物凄い衝撃波ががショウタの顔面を襲う。


「あっあぁ……」


(ここだ!)


そこで、用意していた新たなスキルを使う。ショウタの目を真っ直ぐと見つめる。すると、次の瞬間。


「うぁ……あああ!」


急に狂ったように発狂し出したショウタは、腰を抜かしたのかその場に尻餅をつき、そのまま失禁した。


今使ったスキル【幻影げんえい】はいわゆる幻術みたいなものだ。


今ショウタには無数の人影からフルボッコにされている映像を痛みや恐怖をリアルに体験しているはずだ。


「え?……なっ!きゃぁぁ!」


声のする方を見るとミニスカメイド服を着ていたアユナが叫んでいた。


(よし……洗脳からとけたか)


そして、もう一度ショウタに恐怖を焼き付ける。


「また誰かに洗脳を使ったら分かったか?」


「うあああ!……」


恐怖のあまり一際大きく叫ぶと、事切れたかのように倒れ込んでしまった。これで今後洗脳のスキルを使おうとする度に【幻影】のトラウマが襲うことだろう。


「そこまでだ!」


何人かの教師が数人こっちに向かってくる。ショウタを抱き抱えて魔術なのだろうか?をかけている。


「容態は?」


「相当精神に来てるな。完全には治らないかもしれない」


何かを話し合ったあと、そのまま担架で運ばれって行った。


その後学園長が現れる。どうやら話があるようだ。


「優勝ツキト!だがやりすぎだ。いくらダメージを肩代わりすると言っても精神攻撃は、防げないのを分かっていてやったな?」


あくまでも制服が防いでくれるのは肉体的ダメージであって、精神的ダメージは防いでくれない。


「はい。でも理由があって考えた上でやりました」


「そうか……だが今後このようなことの無いようにな」


「はい」


「これより表彰式を始める。ステージに集まってくれ」


それから賞品として賞金の20万ポイントと豪華景品商品券を10枚もらった。この商品券は、ディバイスでっている物を無料で交換出来るらしい。こうして、入学初日から始まった新入生大会は幕を閉じた。


そしてその日の夜。ツキトは、落ち着かなかった。その理由はハクアとのやり取りを思い出したためだ。


新人戦が終わったあとは特に話しかけられる事もなく部屋まで帰ってきたが、どうすればいいのかわからずにもやもやして落ち着かないのだ。


テロン


ディバイスから着信音が鳴り、急いで確認する。


『1025室に来て』


簡潔に一言で書かれた内容のメールの送り主はハクアからだった。





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