ヒト種が滅亡の危機に陥っております。
管理空間。
真っ白で何も無いここだけども、趣味に合わせて改造させて貰うとしよう。
フローリング…は冷たいから畳か、後適当にカーペットにテーブル、座布団もあるといいな。
【ではそのように。精神体は睡眠を必要としませんが、寝具は必要ですか?】
一応お願いしようか。
というかそこまで自動でやって貰えるなら制限だなんだっていらなかったんじゃ…。
【完全にイメージ通り、というわけにはいきませんから】
自動精霊はそう言いつつもイメージ通りの和室を作ってくれた。
後は文明の出現待ちかな。
どんな感じになってるのかは気になるけど。
【『魔素』という、精神状態に応じてエネルギーや物質を製造する概念物質を放出しました】
概念物質。よくわからないけど凄そうだ。
自動精霊によれば物質だけど質量が無く、知覚可能だけど触れることが出来ないという、概念が物になった存在、だとか。
端的に言えば【決められた通りに動く物質】をバラ撒いたのだそうだ。
【一定以上の知性が無い限り自由に扱うことはできません。また、知性が無い動物や植物は侵食されて魔物になります】
おお、いかにも剣と魔法の世界。
そこに住む人達はさぞ苦労しそうだがまあ、恨むなら神様を恨んで貰おう。
どうせお試しの世界だ、気軽に遊ぼう。
【基本的に魔素で強化される為、この世界のヒト種は力強く丈夫にできています。勿論、その他の動物や魔物もですが】
精々苦労してくれ…と言いたいところだが武器も防具も無しじゃあ魔物に追いやられて滅びちゃうかな?
【では介入しますか?】
…しぶとい人類の事だからきっと何とかしてくれるだろう、多分。
面倒臭いし文明出来るまで放置放置。
【そうですか。現状のまま放置しますと…今発生している龍種によって滅びますが】
おっと、いきなり人類ピンチ。
いやまあ、武器も防具も文明も無しで戦えって無理なんだけどね。
さて、どうするか。ただ単に退治してもいいんだけど。
自動精霊には適当に頑張って貰おう。
【ところで一つお聞きしたいのですが】
おや、自動精霊から質問とは珍しい。
いいともいいとも、何でも答えるよ。
【世界管理業務中、私は貴方を何と呼べばよろしいでしょうか】
別に何でもいいよ。今のままでいいんじゃないかな。
おいお前、とかなんかそんなんで。
【そうですか】
どことなく残念そうに聞こえた気もしたが、気のせいだろう。
自動の割にはよく出来てる。流石神様製。
さて、まずは目先のドラゴンか。
【便宜的に《巨大龍種:グランドドラゴン》と命名します】
グランド…そんなデカいのか。
【はい。全長はおよそ50メートル程です】
うーん、デカい。これは猿からちょっとマシになった程度の人間じゃ無理だな。
こういう時こそ管理者の出番ってことか。
とはいえドラゴンか。邪魔だから殺す、ってのは流石に短絡的過ぎるか。
【単純な殺害を行った場合、およそ200年後に類似した種が発生しヒト種文明が滅ぶと推測されます】
よし、なんとか手懐けよう。何なら暇潰しの相手もして欲しいし。
思ったけど結構暇になる気がするんだよね、この生活。
【管理者は多様な文明を極力維持することが役目です。くれぐれもお忘れなきよう】
そうなんだ。初めて聞いたけどね、それ。