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異世界生活をお楽しみください。  作者: Alco
見習い神様誕生:《世界介入》開始
1/11

おめでとうございます。

――おはようございます。


おはよう?明るい…起きてる?あれ、何が起きた?


――おめでとうございます。あなたは選ばれたのです。


選ばれた?…懸賞に応募した覚えは無いけど。


――我々はここ最近死亡した人類の中で影響値が低い方を選び、眷属として別世界の管理を行って貰っています。


管理?眷属?いや、待って。死亡した?


――つまり、あなたは世界に干渉できるようになりました。おめでとうございます。


ありがとう。いや、めでたくない。私死んでる。


――ええまあ。でも、あなたは死んだような生活をしていたので然程違いは感じないでしょう。


ああうん、否定はしないけど。


――おっと。そろそろお時間です。後はマニュアルをお読みください。


マニュアル。世界の管理もマニュアル化。まあ、楽でいいけど。


――ではどうぞ、異世界生活をお楽しみください。





目が覚めると、全てが白く塗られた部屋だった。

家具は無く、本が一冊だけ置いてあるだけだ。

本の表紙には『異世界人用マニュアル』とだけある。

実に簡素で薄いそれを手に取る。


『この度は異世界へのご出向おめでとうございます』


死んで無ければもっとめでたいが、本に怒っても仕方ない。


『本マニュアルは研修者の文明に合わせた表現に翻訳されております』

『概念の理解が難しい物もありますがご了承ください』


つまり、個人個人で違うマニュアルになるのか。

予備知識無しでは理解が難しいのはどの仕事も一緒だ、慣れるしかないだろう。


『1.異世界研修について』

『異世界での文化、技術、その他風俗の違いに慣れることを目的とした制度です』

『異世界が初めての方でも慣れることができるよう精神体(幽霊や精霊のような状態)にします』

『精神体は神々と同クラスの耐性を得る事が可能です』

『消失、及び不可逆的な損傷を負う事は世界の機構上有り得ません』

『また、存在は初期設定では不可視であり、不可視状態では下位存在から知覚することは不可能です』

『任意で可視、不可視を設定可能です』


実に便利だ。神様並に無敵で、自由な存在か。


『2.精神体状態での世界介入について』

『精神体状態では範囲に制限がかかりますが世界への介入が可能です』

『被研修者世界での1立方メートル範囲を1単位とします。これが一度に介入可能な限界です』

『介入内容に特に制限はありません。物質、概念、法則の創造・付与・変更・削除が可能です』

『乱用が発覚した場合、介入可能な事項が制限される場合があります。必要以上に使用することの無いようにお願いします』


まさに神の如き力、か。

そんな力を与えられる神様は一体何を考えているのだろう。

暇なのだろうか。暇なんだろうな。


『3.研修期間及び世界再構築について』

『本研修には期限は存在しません。こちらで設定した目標を達成するまで行って貰います』

『本世界は研修用世界の為下界時間での五億年毎に全ての情報を消去し、再構築されます』

『また、研修者が任意で再構築を行うことも可能です』

『ただし、下記の条件のいずれかを満たす必要があります』

『・対象文明に致命的かつ不可逆的な崩壊が起こった場合』

『・対象世界に外世界侵略生命等の致命的な不具合が発生した場合』

『・研修者にとって精神的損耗が激しいと考えられる世界が構築された場合』

『・今後の文明の発展が為されないことが明確な場合』

『・研修者による再構築申請が行われ、申請が正しく受理された場合』

『これらの場合は研修者権限で世界の再構築が可能です』

『再構築した場合、前回と同じ世界になることはありません。ご了承ください』


研修用に世界を作るとはまた、スケールのデカい話だ。

本格的に何が目的か分からないが、今はこの権利を享受させて貰うとしよう。


『4.補助について』

『業務に就くにあたり、世界運営に必要な知性と知識を与えられた自動精霊一体を貸与されます』

『自動精霊は世界に関する質問に答えることが可能です』

『自動精霊は学習し成長しますが、研修者によって成長が異なります』

『マニュアル外の質問は自動精霊にどうぞ』


オマケに補助まで付くとは。

もしかしたら神様からすれば暇潰しの娯楽くらいなのかも知れない。

だとすれば随分と趣味が悪いが。


『5.本空間について』

『現在研修者がいるこの空間の全権限は研修者に一任されています』

『下位世界に接続することも可能です』

『ご自由にお使い下さい』


なるほど、だからこの部屋には何も無いのか。

全部自分で『創れ』ということのようだ。


『6.最後に』

『どうぞ、異世界生活をお楽しみください』


読み終えると同時に、白い部屋に扉が現れた。

装飾など全く無い、板にドアノブと蝶番を付けただけというただ扉としての機能しかない扉。

これも自由に改造しろということだろう。

とりあえずは現状把握とこの世界を知る為に、私は扉を開けた。

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