晴れのち雨
ある晴れた朝、
男は黙ってもくもくと歩いていた。
黒いサングラスに帽子とコート、
明らかにアヤシイ姿のその男は、
すらりと背が高い。
通りすがりのおじいちゃんが
よろよろと避けていった。
てめえなめるんじゃねえよ、と
心の中で毒づく。
するとおじいちゃんが向き直った。
男がギロリとねめつけると、
おじいちゃんが入れ歯の奥から
何か言っている。
通り過ぎようとしたが
足が動かない!
「最近の若いもんは……」
お説教が始まった。
男は気圧されて聞き流す。
何でだ……
足が動かない。
おじいちゃんは昔のマフィアで、
かなり男より先輩である。
男の挑戦は続く。
いや、負けだ。
男は足を洗うことにした。
めでたしめでたし
良いことをしましょう