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祈唄  作者:
第1章:出会い
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8.災難

 「やったよー! 委員長、本当にありがとう」


 杏奈は余程嬉しかったのか、優一の首に腕を回し抱きついてきた。


 「それは良かったですね。僕も努力が報われて嬉しいです。ですから離れてください…」

 「ありがとう〜」


 しかし、杏奈は抱きつき腕にますます力を込めてくる。


 (この女、自分のスタイルがいいこと自覚してんのか? まぁ、これくらい役得か)


 自分の体に当たる胸の感触にそう思った時、ガラッと教室のドアが勢いよく開いた。

 入ってきたのは、杏奈の彼氏で空手部主将の小野田 浩一。

 小野田と優一の目線がバッチリと合う。


 (最悪だ)


 あんのじょう小野田の目がつり上がり顔が紅潮してくる。自分の彼女が他の男に抱きついている姿を見たら普通そうなるだろう。

 彼は、ドシドシと足音をたてながら二人の側まで歩みよる。そして杏奈を優一から引き剥がす。


 「浩一? ってちょっと待って!」


 杏奈の制止より、一瞬速く、浩一のパンチが優一の顔を直撃した。


 (…………厄年なのか、いいかげんにしろよ)


 加減も何もないパンチによって優一は後ろにあった机と椅子の上にはじき飛ばされた。


 「いってー」

 「何してんのよ、浩一!! 大丈夫? 委員長」


 杏奈は優一に駆け寄り体を起こすのを手伝う。 そんな彼女を見て浩一は再度声を荒げる。


 「人の女に手を出したんだ、殴られるのは当然だろうが!!」

 「はぁ? あんた何言ってるわけ!!」

 「抱き合ってただろう」

 「馬鹿じゃない?」

 「何だと!」

 

 ガラッ!

 優一は近くにあった椅子を蹴り飛ばす。

 その音にびっくりしたのかニ人は一瞬黙り込む。そのすきに優一は、言葉をはさんだ。


 「白木は、追試に受かって嬉しさのあまり僕に抱きついただけだよ。あと白木、君も子供じゃないんだから抱きつかないの。小野田が誤解するのは当たり前」


 優一の言葉に小野田は、すぐ謝った、土下座で。


 「すっ、すまなかった」

 「ごめんなさい、2人とも」

 「とにかく僕は、保健室に行くから。教室は片付けてね」


 優一の冷たい笑みに2人は、固まりながらも頷いた。


 「任せてくれ」

 「はい」

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