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祈唄  作者:
第2章:岐路
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19.真偽

 「で、何が原因なの?」

 「悪いが萩原には、関係ない話だ」

 「ふぅん、ここまで巻き込んでおいてそのいいぐさな訳。ふざけんじゃないわよ」


 今現在、四人はサークルの部室に居た。あの後、物音に気付いた職員により菜月は、彼等と一緒に図書館を追い出されたのである。それも肝心な本を探し出せずにだ。



 「こっちはねぇ、レポート作成用の本が探せずじまいよ。期限に間に合わなかったら今期の出席がぱぁよ。だったら、せめて事情説明くらいしてくれないかしら?」

 「これは、斎条のプライベートに関することだから」

 「別に他人にペラペラ喋ったりしないわよ」

 「あぁ、お前がそういう奴じゃないって分かってる。けどな…………」

 「…………できちゃったかも」


 それまで泣き続けていた斎条がポツリとこぼした言葉の意味を瞬時に理解すると、当事者の男を思い切り睨みつける。だが、肝心の佐藤はというと、ただただ無反応。確かに顔は整っているし、周囲が騒ぐのも分かる。しかし、一緒にいて楽しいのだろうか。こんな能面のような男と居て。


 「あなたねぇ、自分も当事者だって事分かっているの?」

 「…………そもそも俺の子なのか?」

 「はぁ?」

 「ひどいっ」


 佐藤の一言に再び加納が声を荒げ、斎条は泣き出す。


 (人の神経を逆なでするのが得意そうね)


 「つまり心当たりがまったくないと?」

 「さぁ? 二か月前、朝起きたら横にこの女が居た。それ以来、何かと俺に干渉したがる。周りは彼女だと思っているみたいだな」

 「ふぅん、つまり彼女としたかどうか記憶がないと。彼女とはどこで知り合ったの?」

 「無理矢理つれてかれた飲み会だ。飯をただで食っていいと言われたから行った」


 つまり、酔ったところをお持ち帰りしたかされたのだろう。泣き続ける斎条にちらりと視線をやる。実のところ彼女ならやりかねない。学部の男共は、彼女に大人しいお嬢さんという評価をくだしているようだが同性からの評価はその逆だ。そもそも、本当に妊娠しているかが怪しい。彼女を信じている加納には、悪いのだが。


 「斎条さん。病院には行ったの?」

 「…………まだ。でも、遅れたことないから」

 「検査薬は?」

 「こっ、怖くて……………」

 「斎条を責めるのは、おかしいだろう。そもそもそいつがちゃんと誠意ある態度を取らないから、彼女も他人に頼らざるをえないんだろうが」


 加納には悪いが菜月からするとどっちもどっちだと思う。本来、どちらにも責任があることだろうが。女だからって完璧な被害者って考える加納の考えが少々古臭い。強姦されたのならいざ知らず、合意だったら両方に責任問題が発するはず。


 (いやいや、彼女の印象が悪いからってはなから決めつけたら駄目よね)


 「分かったわ。とにかくはっきりさせましょう」

 


 

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