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祈唄  作者:
第2章:岐路
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9.違和感

 ユウは、泣き顔を見られないように洗面所に向かった。

 そして手早くメイクをすると、入念にチェックをする。

 (うん、大丈夫。赤くない)

 それにしても玲の行動には、いつも驚かされる。自分に初めて会いにきた時もそうだが、時々その行動がおかしい。

 ただ、初めの頃と違うのは、怖さを感じないという点だろうか。

 「さてと、もう行かなきゃ」

 色々と考えたい事もあるが、ゆっくりしている暇はない。

 只でさえ、ここ最近心配をかけているのだ。これ以上はまずい。

 「玲、バイト行ってくる」

 「あぁ、いってらっしゃい」

 リンビングのドアから顔を出して声をかけると、玲はソファに座り新聞を読んでいた。

 玄関に向かいながらユウは、首をかしげる。

 (ってか、玲。仕事は?)

 自分もいつもと比べてかなりぎりぎりの時間だが、玲にとってはぎりぎりどろか完全なる遅刻だ。

 休みかとも思ったが、それはないだろう。休みの場合は、事前に申告がある。

 ユウは、再びリビングへと戻り、声をかけた。

 「玲、仕事は?」

 「あぁ、いいんだ」

 「休みってこと?」

 「そんなもんだ。いいのか? 遅刻するぞ?」

 「…………ならいいや。行ってきます」

 何だか余計に困惑しつつも、時間がせまっていたのでそのまま部屋を出た。

 足早にバイト先へと向かう中、改めて先ほど感じた違和感の正体を考える。

 大体からして、あの仕事の虫の玲が決まった休日以外に休みをとること事態おかしい。

 まぁ、会社の事を知らない自分が考えたところで理由は分からないけれど。

 (ずる休みとか? いやいや、それはあり得ないでしょう)

 「そっか、仕事の事なら菜月さんに聞けばいいか」

 今の時間だともう会社にいるだろうから、メールを送ることにする。そして手早く文を作成し、送信した。

 それと同時に、携帯に表示された時間を見て青ざめる。

 「やばい! 私が遅刻する!」

 ユウは、バイト先への中距離走を余儀なくされたのだった。

 

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