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祈唄  作者:
第1章:出会い
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6.恋の愚かさとは

 「そこの訳、違います」


 優一は、杏奈の解答を横から見ながら指摘する。


 「えっ、まじ?」


 杏奈は辞書を取り出し調べ始める。意外にも彼女は、真面目に勉強していた。この調子なら追試もクリア出来るだろう。


 「終わったー。はい、委員長」


 優一は、杏奈からプリントを受け取り目を通す。その様子を杏奈は、ジッと見つめている。


 「いいでしょう。これでもう補習は終わりです。明日の追試頑張って下さい」

 「サンキュー、委員長」


 杏奈は、嬉しそうに笑う。そして、いそいそと帰り仕度をすると、教室を出て行った。


 「あー、終わった。だりぃ」


 優一は、肩を左右交互に回すと自分の荷物をまとめ始める。

 ふと窓から外を見ると杏奈が校門に歩いているのが見えた、男連れで。


 (あれは、空手部の。へーあの真面目な奴と軽い女の組み合わせね)


 珍しいものを見たなと優一は、皮肉気に笑む。そして、生徒会室に向かいながら、さきほどの光景を思い出す。


 確かに噂では聞いていた、あの杏奈が夜遊びを一切止めて更正したらしいと。

 まさかそれがあの空手馬鹿が原因とは思わなかったけれども。

 何故女達は恋をすると自分の生活まで変えてしまえるのか疑問に思う。

 自分には理解出来ない。他人の為に自分を変えてしまうという行為がああも簡単に取れるのかが。

 愚かだと思う。でも、そんな風に愚かになれる人間がうらやましいと少しだけ思うのだ、少しだけ。

 


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