8.期待と落胆
ガシャン。
手元からすり抜けて落下した皿は、無残にも割れてしまった。しかし、そんな事よりも、現在の状況を理解しようとユウは必死だった。
「れっ、玲? どうしたの?」
思わず声がひっくり返ってしまったが、いつもと同じように話かける。
「…………」
しかし、返事は返ることはなく、ただ沈黙が続く。
「玲?」
もう一度、問いかける。が、先ほどと同じく返事が返ってこない。それを訝しく思ったユウは、玲の顔を見ようと首を捻る。だが、抱きしめられているのと身長差のせいでその顔を見ることは出来ない。
返事がないのとは反対に自分を抱きしめる腕の力が少し強まった気がする。
これは、もしかして怒っているのだろうか。
「ごめんなさい」
「…………何で謝るの?」
「おっ、怒ってるから?」
「理由は?」
玲が怒っている理由を必死に考え、一つの可能性に行き当たる。
「外泊したから」
「半分正解」
「え? はっ、半分!?」
「ユウ。一応、保護者としてはね、異性の友人宅に外泊を認める訳にはいかないんだよ」
その言葉にユウは、内心落胆した。
――――保護者として。
分かってはいたが、悲しかった。玲が決して自分をそういう対象として見ていないことなど分かっていたことなのに。
こうして期待と落胆を繰り返すたびにひどく心が痛む。それでも側から離れたくないと思うのだ。
「心配かけてごめんなさい。でも、昨日もこないだも一人で泊まったんじゃないよ? これからは気をつけるから」
「しばらく外泊禁止。バイトが終わったらさっさと帰ること」
「うん」
ユウの返事に満足したのか、玲は腕を解き離れて行った。残されたユウの瞳から涙が溢れていることも知らずに。
お久しぶりです。
諸事情により全ての更新を休んでおりました。
じょじょに更新を復帰していきたいと思ってます。




