6.湧き上がる疑問
「ただいま」
「おかえりなさいませ。遅いので倒れていらっしゃるかと思いました」
迎えに出てきた竹内の言葉に優一は思わず唸る。
(だったら、墓参りなんて行かせるな)
「別に。ゆっくり戻ってきただけだ」
「それならいいのですが。もう少しで夕飯の支度が整いますので、居間でお待ち下さい」
そう言って竹内は、足早に奥へと戻って行く。
「竹内!」
「何でしょう?」
「聞きたいことがあるんだけど」
「はい」
「何で墓石に優莉の死んだ日が彫られてないんだ?」
墓から戻ってくる間、どう切り出すが考えたが結局良い考えが浮かばなかったので直球勝負に出ることにした。
「奥様の事がありますので、旦那さまが彫る必要はないと。それが、どうかしましたか?」
竹内からすぐに返ってきた答えとその表情を見て自分の考えすぎかと思ったが、どこか違和感も感じる。
「ならいいんだ。気になっただけ」
「そうですか」
「悪いけど、部屋に居るから夕飯出来たら呼んでくれ」
「かしこまりました」
竹内は優一に軽く会釈をするとそのまま奥へと姿を消した。
「やっぱり、あり得ないか。…………優莉が生きてるなんて」
死んだ妹が生きている。そんな小説か映画の様な話が現実に起こるなんてこと無いことくらい分かっていた。それでも、もしかしてと思ってしまうのだ。
もし、生きている可能性がまったく無いのなら母は、あそこまで心を病まない気がする。それに妹が死んでいるなら信心深い母の事だ、祈りを捧げて静かに暮らすことを選ぶと思うから。
では、何故母が心を病んだのか。
それは、妹の生死が不明だから。生きているのか死んでいるのか分からない、そんな状況だからこそ、母は心を病んだのではないだろうか。
妹の死を肯定する心と否定する心がぶつかり合って、今の状況があるのかもしれないとそう思えるのだ。
「まずは、加納さんに連絡だな。あの人なら何か分かるかもしれないし」
優一は、自室に戻り携帯を取り出す。そして部屋の周囲に誰も居ないのを確認すると教えて貰った番号へとダイヤルした。
「加納さん、ご相談したいことがあるんですがお時間いただけますか?」




